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ISO審査員及びISO内部監査員の皆様にキャリア開発に関する各種有用な情報をお届けします。
ISO9004:2018は「組織の品質」を扱っていますが、箇条9.2には「キャリアプラン」という用語がでてきます。
■キャリアプラン:ISO導入だけでは、組織の活性化につながらない
テクノファという社名は、Technology Transfer(技術移転)をその由来とし、最初は国際規格ISOのマネジメントシステムを日本に紹介することからスタートしました。組織のマネジメントシステム構築にはいろいろな資源が必要になるのですが、研修を数年行ってみると、マネジメントシステムの質を決めるのは、やはり組織の人材であるということがよく分かりました。 当社は、最初からそのように考えてマネジメントシステ構築のカギとなる人そのものに焦点を当てて研修を実施してきましたが、今一つ深く分析できていませんでした。
世の中は、多くの側面でどんどん変化していますので、経営に影響を与える側面を観察し、その変化に対応することは経営者の大きな責任です。と同時に組織に存在するすべての人には変化への的確な対応が求められます。この世の中を変化する側面からみますと、マネジメントシステムは使い方を間違えるとネガティブな結果をもたらすことになります。すなわち、マネジメントシステムを導入することは、組織のやり方を固定化してしまい変化に柔軟に対応できないという思わぬ結果を生じてしまうことがあります。ISOが提案する各種マネジメントシステムは、創業間もない開発主導の組織には、組織活動が流動的であるがゆえに適しないことがあります。これまでの当社のマネジメントシステム導入の顧客は、大企業が多く社歴が長く組織固有のシステムがきちんと作られていましたので、その弱点はあまり表面化しませんでした。しかし、そういう大きな組織においては、個人が組織の中に埋没してしまっているという、異なったネガティブ要素を多く見聞しました。
以下はテクノファ キャリア開発支援のためのメールマガジンからの引用です。https://www.tfcc.jp/
「初めまして、
私がテクノファのキャリアコンサルタント養成講座を卒業してから14年が経ちました。
当時、大手企業の有望な若年層の受講者が多い中、私のような50代の中年女性が何とか無我夢中で講座を受け、無事卒業できたことは多くの先生方のお陰だと思っております。出来の悪い受講生でしたが、客観的な自己特性や対人関係のスキル、習得能力などを無意識から意識レベルに引き出していただきました。この講座を受講しようと思ったのは、自分の子供の不登校をきっかけに、児童心理学に関する情報にアンテナを張り、さまざまな活動を見聞きし、それらを自分で取捨選択しておりました。
周辺地域から県内、全国組織へと情報交換・共有を広げながら、自分の居場所を作り、複数年、地域でフォーラムを開催して教育機関へ働きかけながら、講演、助言などを行ってきました。私は現在ハローワークの職業相談員として、日々様々な状況にある求職者の方や在職中の方の相談をさせていただいております。キャリアカウンセリングは直面した問題だけに関わらず、人が生き方を全うしようと試行錯誤する時、お互いが少しでも明るい未来を考える気持ちを根底に持っていることが大切だと思っています。例えば、転職の相談一つでも、相談者を取り巻く諸事情を聴きとる事から始めます。自己都合、家庭の事情、勤務先の事情、一人一人の背景を探りながら、自分の言葉で今の課題である荷物を降ろしてもらいます。
ハローワークに来る多くの相談者は、それまでの環境に信頼して聴いてもらえる人がいなかった故に、自己開示を諦め、可能性の糸口をつかめず、狭い範囲で判断して、自分で納得できないまま方向を決めてしまう経過をたどっています。ある程度の阻害要因は、相談者はそれなりに分かっていますので、その時その場所でどう感じて来たか、少しずつ振り返っていただき、その時の感情の絡まりをほどいていくことで、自分自身を語っていただきます。そして、過去のその時の自分は「そうだったんだよね」と肯定していくようにしていただきます。
相談の現場では、他人では想像し得ない経過を言葉にしていく作業を続けていくことで、そうせざるを得なかった理由が物語として自然と受け止められる、そんな時間が訪れる時があります。つまずいた自分、うまくいかなかった自分、低評価され落ち込んでお腹が痛くなったあの時、周囲に相談出来る人もいなく、どうしたらよいか分からなかったことを話します。自分がダメだったから、自分が出来なかったから自分が悪いと語る人もいます。自分を理解してくれない、評価してくれない周囲が悪いと話し続ける人もいます。
この場所は、なんでも語ることができる所、と思っていただけることが一番大事なのではないかと思います。どのような内容であっても、相談員が経験から培ってきた考え方で受け止めると、今ならもっと他に方法があったのに、と振り返る事が出来ます。また一方で、生活のために苦しくとも頑張り続けてきた姿も浮かび上がってきます。試行錯誤を繰り返しながら、自分の希望と現実との折り合いをつけようと進んでいく様子が伺えるようになると、不安はあっても、ダメもとで行なってみようかなと踏み出していきます。踏み出すことができたのは、ほかでもない相談者自身に元々備わっていた力があったからです。相談者が自分を信じてみようと行動に移す時は、相談員は心底から応援をしたいと思うようになってしまいます。今日も私はキャリアコンサルタント養成講座で勉強したことを基に同じようで、違う毎日を送っています。(T.N)
世の中、人はいろいろな仕事をし、いろいろな悩みを持っています。ISOの世界でも、ISOマネジメントシステム導入だけでは、組織の活性化につながらないのではないか、さらに一歩踏み込んで組織で一番重要なインフラストラクチャーである「人に係わる研修」ができないかとの思いに至りました。マネジメントシステム導入の課題を社内で議論している中、アメリカで「チェンジ・エージェント」というキーワードで研修を行っているという事例を知りました。「チェンジ・エージェント」とは、チェンジ(変化)に対応できる人という意味ですが、単に変化に身を任せるだけでなくもっと積極的に、自らチェンジを引き起こす人、自ら先頭に立って会社の文化や風土や仕組みを変化させていく人になろうではないかという研修であるということを知りました。変化というキーワード、変化に翻弄されて自分を見失う人、組織そのものが時代の要請において変化せざるを得ない世界の到来にマネジメントシステム導入とともに人のマインド(心)に関係する研修を探し求めました。その思いの中で知ったのが「キャリアコンサルタント」という存在で、キャリアコンサルタント養成講座を始めたきっかけでした。
(つづく)平林良人