Q25 : 内部監査員の再教育を集合教育によって社内で実施しました。教育効果がでているのかどうかを評価する方法を教えてください。

A25 : まずどんな教育をしたのかを仮に決め、その結果の評価方法を述べたいと思います。監査員の再教育を集合によって教育する教育項目は以下のような項目が多いと思います。これらの項目をグループ研修、ロールプレー等によって身に付けていく方法がとられます。

  • ・ 監査事例、問題事例
  • ・ 指摘の仕方
  • ・ 是正処置を考慮しての適用条件のあり方
  • ・ 組織固有の重点項目
  • ・ 人間関係の考慮
  • ・ 監査時間の管理
  • ・ 是正処置報告書の見方
  • ・ フォローアップにおける結果の追求

教育効果の評価は、実際の監査をレビューして、適切な指摘、是正処置をタイムリーに行うことができるようになったかによって行います。是正処置によって得られた効果からスタートして、指摘が適正であったかどうかを監査員一人一人評価します。指摘が適正に行われていれば、教育効果はあったと評価します。指摘がまだ適正でないとすると、教育は十分でないと判断し、教育方法の改善を行うことにします。

Q26 : 監査員として必要な資質及び能力にはどのようなものがありますか。

A26 : 内部監査員の 個人的特質に以下のようなものがあります。

  • ・心が広く分別があること。
  • ・健全な判断力、分析力、粘り強さをもっていること。
  • ・現実的に状況を把握し、広い視野から複雑な業務を理解していること。
  • ・組織全体における個々の部署での役割を理解する能力をもっていること。

さらに、内部監査員は、人の話を聞き、判断し、自分の考えを伝え、説得できることが必要です。そのために以下の能力を必要とします。

  • ・ 基本である日本語力
  • ・ 質問による情報収集
  • ・ 情報に対する判断力
  • ・ 抽出された課題に対する問題解決力
  • ・ 物事を公平に見る能力
  • ・ スケジュール管理能力
  • ・ 論理的に説明できる能力

Audit(オーディット)という言葉は、オーディオ(聞く)という言葉の派生で、ここには聞くという意味が含まれています。内部監査員にとって、聞き上手であることが最も必要な資質であり、能力です。

Q27 : 内部監査員の資格はどのようにして決めればよいでしょうか。また、どのような点に留意して、内部監査員を選任すべきでしょうか。

A27 : 内部監査員資格の認定は、例えば次のような要件を満たす人を選出して内部監査責任者又は経営者が行うのが一般的です。

  • (1) 専門の教育機関又は自社の監査員教育を修了している。
  • (2) 監査員としての資質を保有している。

監査員教育を受け、修了していることは、必要条件です。これを修了するには、まず、マネジメントシステム規格についての十分な知識をもっていること、監査員教育で監査技術に関する知識をもっているとともに、これを実技を含む演習によって習得しなければなりません。
監査員としての資格認定を受けただけでは、満足のいく内部監査は行ない得ません。監査の経験を積む事が必要です。品質活動に対して、それを阻害する要因は何かを判断し、問題点を根本的に是正するように、指摘することが求められています。そのため、実際の内部監査にあたっては、次に示す人を監査員に選任します。

  • (1) 前向きに、仕組みの改善を念頭において監査する人
  • (2) 他人の話を良く聞く人
  • (3) チームとして行動できる人
  • (4) 被監査部署の業務内容を理解している人
  • (5) 被監査部署から独立していて、その部署の業務の実施状況を冷静な目で見ることができる人
Q28 : 内部監査の指摘をみせて貰うと、監査員によって指摘が偏っています。指摘の偏りは避けたいと考えていますが、どんな方法を採ったらよいでしょうか。

A28 : 監査員の過去の経歴、経験、現在の職務、マネジメントシステムに対する理解の深さ、監査員としての経験の度合い等によって指摘に偏りを生じます。その偏りも、指摘事項の問題だけで無く、指摘の深さとして現れることがあります。
したがって、次のような配慮が必要です。

  • (1) 部門毎に監査員の固定を避け、いろいろな人をあてる。
  • (2) 監査チームに職場経験・業務経験の違う人を組み合わせる。
  • (3) 定期的に先任監査員の立会いを行い、偏りを指摘させる。

有効な品質監査であるためには、真の問題点を見つけそれが適切に是正されるような指摘ができるように全監査員が成長していくことが望ましいことです。

Q29 : 専門分野の知識が必要な設計部門の監査に適切な方法はどんな方法でしょうか。

A29 : 監査員としては次の方法が考えられます。

  • (1) 設計出身が監査する。
  • (2) 後工程である製造部門の人が監査する。
  • (3) 設計部門間で監査する。
  • (4) 内部監査員とその分野の業務知識を十分持つ専門家とペアーを組む。

設計部門の業務は外部からは分かりにくいものです。このことから、この部門、設計部門の監査には、設計分野の業務について知識のある人があたることが望ましいのです。設計業務経験者が、マネジメントシステム規格をしっかりと理解し、かつ、設計の過去の不適合事例を把握した上で、監査をするとよいでしょう。
なお、QMSの設計部門への監査にあたって、設計審査、設計検証、設計の妥当性確認の意味の混合があるようです。以下のように考え、区別します。

  • 設計審査:
  • 設計の適切な段階で多くの機能の代表者・専門家による審査。その段階の設計のアウトプットの品質要求事項を満たす能力を評価する。問題があれば、それを明確にして、解決策の提案をする。
  • 設計検証:
  • 設計のアウトプットが、インプットの要求事項を満たしていることを調査によって確認する。
  • 設計の妥当性確認:
  • 用途に対する特有の要求事項が満たされていることを調査によって確認する。
Q30 : 監査に関する情報は共有化すべきでしょうか。すべきとしたらどのようにしたらよいでしょうか。

A30 : 内部監査は1回で終わるものではありません。毎年積み重ねていくものです。これを実施する監査員は、必ずしも同じ人ではありません。仕組みを継続的に改善していくには、入手した情報を蓄積し、活用することが必要です。監査員間での監査に関する情報の共有化は必須です。
また、特定の部署で発見された不適合情報は、関連するすべての部門に関係が出てきます。よくある話ですが、同じような不適合が同時多発的にいろいろな部署で起こっていることがあります。このような時には、早急な情報の伝達が重大な事故を防ぐことになります。
情報の共有化は、情報の収集と伝達が問題となります。監査情報の収集は、内部監査報告書が内部監査責任者に提出されることから、内部監査責任者が主導的に行なえるはずです。ただし、同時に多くの部署で監査をしている場合や、重大な不適合で早急な是正が必要と考えられる場合などは、内部監査報告書を待ってはいられません。監査員は、時期を失しないように、チームリーダーに直接連絡すべきと考えます。
伝達については、内部監査責任者が、内部監査の開始前に監査員に十分な情報を提供すべきです。また、関連する部署にも提供します。内部監査報告書の内容及び指摘事項は一覧表にまとめます。過去の指摘事項や他部署の指摘事項と関連があれば、そのことを記述します。再発防止につながるように、そのことを強調して、一覧表を配付又は回覧して下さい。

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