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第12回
「私とマネジメントシステムそしてISO」の第12回目です。第5回に述べたTQC特徴6項目について話が進んでいます。
TQC特徴6項目とは、第5回目でお話しした次の6項目です
5.1 全員参加の品質管理
5.2 品質管理の教育・訓練
5.3 QCサークル活動
5.4 QC診断
5.5 統計的方法の活用
5.6 国家的品質管理推進活動
今回は5.3「QCサークル活動」から始めることになります。
5.3 QCサークル活動
諏訪精工舎へ入社して5年くらい経ち係長に昇進しました。そのときに出会ったのがQCサークル活動です。QCサークル活動は日本式TQCの特徴として、一時海外に広く紹介された日本に独特の活動です。諏訪精工舎には、当時の300くらいのQCサークルがあり、それぞれのサークルに好きな名前を付けて活動をしていました。日科技連にQCサークル本部が設立されたのが1963年ですが、それ以来、QCサークルの数は全国にどんどんと増加し、最盛時の1980年代には、100万の数にまで及んだと聞きます。
QCと聞けば、1960年当時はデミング賞を思い浮かべたものです。デミング博士は、1900年10月14日に、USAアイオワに生まれた数理統計学者です。ワイオミング大学(1921年)及びコロラド大学(1924年)を卒後後、アメリカ農務省、商務省、大統領府予算局等に勤務しましたが、1947年連合国総司令部の要請で統計使節団の一員として訪日し、日本の国勢調査(人口調査)を行いました。その傍ら、日本の産業を興すべく産業界の品質管理手法や効率的経営の手法について指導・助言を行いました。それらの日本に於ける講演活動や著書出版に伴う収入を基金として、1951年にデミング賞が創設されました。このデミング賞は、デミング博士の功績を記念して日本科学技術連盟が設定した賞で、品質管理の理論や普及・実践に成果をあげた個人、企業に贈られるものです。1951年以来、毎年1回選考委員会が開催され、業績を上げた個人、企業を選んでいます。デミング博士は1993年12月20日ワシントンで没しました。
私たちが実際に職場で進めたQCサークル活動は、このデミング博士の教えてくれたPDCAを現場に応用した日本独自の活動です。QCサークル活動は、実際に行った経験からいって、まさに何にも優さる「小集団改善活動」であったと思います。諏訪精工舎でも関東支部長野地区中信ブロックとしてQCサークル活動は大変活発に活動していました。我々は、中信ブロック代表サークルを目指して、さらに長野地区代表サークルを目指して、また更に関東支部代表サークルを目指して活動を行いました。こうして最後には、全日本優秀サークルを目指して、サークルは勿論、管理・監督者も必死に活動したものです。QCサークル活動の発展・向上と、中信ブロック代表幹事会社としての活動には強い思い出があります。
(1) QCサークル綱領
QCサークル本部では、1970年「QCサークル綱領」をまとめ、QCサークルの正しい方向付けと推進上の思想統一をはかりましたが、海外でのQCサークル熱に応えるために綱領は英訳もされていました。後年、イギリスでこの英文の綱領を使ってETLの中でQCサークル活動を展開することになります。
以下は、この「QCサークル綱領」からの抜粋です。
「QCサークルとは、同じ職場内で、品質管理活動を自主的に行う、小グループである。この小グループは、全社的品質管理活動の一環として、自己啓発、相互啓発を行い、職場の管理・改善を継続的に全員参加で行う。
・QCサークル活動の基本理念
全社的品質管理活動の一環として行うQCサークル活動の基本理念はつぎの通りである。
①企業の体質改善・発展に寄与する。
②人間性を尊重して、生きがいにある明るい職場をつくる。
③人間の能力を発揮し、無限の可能性を引き出す。
・QCサークル活動の心がまえ
①自己啓発
②自主性
③グループ活動
④全員参加
⑤QC手法の活用
⑥職場に密着した活動
⑦QCサークル活動の活発化と永続
⑧相互啓発
⑨創意工夫
⑩品質意識、問題意識、改善意識 」
QCサークル活動は海外にも普及し、1980年代には特に東南アジア諸国から日本の発表大会に参加する企業が随分ありました。
以上