10.合格は目的?目標?

本稿でこのシリーズは最終回になりますが、最後に研修コース(試験)の合格は「目的」なのか「目標」なのかという問いかけをしたいと思います。

【「目的」と「目標」の違い】

「目的」と「目標」の違いについて念のために申しあげておきますと、「目的」とは実現しようとして目指す事柄であり、将来的な大きな概念です。一方、「目標」とは「目的」にたどりつくための通過点であり、近くて具体的なものをいいます。「目的」は一つで「目標」は複数あり、「目標」を達成していくことで「目的」に到達できます。
さて審査員試験の合格はどちらなのでしょうか?

それは「目標」です。

合格を「目的」と考えてしまうと、そのための知識やテクニックを得ることだけが「目標」になりかねません。 “審査員研修コースの間だけとにかく頑張って乗りきろう” “試験に出そうなところだけしっかり覚えよう”“あまりよく理解していないけれど試験に合格できればまあいいか”といった考えになってしまうのではないでしょうか。しかし、合格したらもう規格のことは忘れ、せっかく学んだことを実務に活用せず、それで終わりにしてしまうというのはあまりにもったいなく感じます。

このシリーズの最初に、ぜひやっていただきたいこととして、なぜこのコースを受けるのか、合格して何をしたいのか、という受講の動機、もしくは目的をしっかりと考えてください、と申しあげました。会社の指示で受講するとしても、会社は合格を求めているのではなく、その知識を活用してくれることを期待しています。審査員登録をしなくても、会社のマネジメントシステムはどうなっているのか、品質向上のためにどのような施策を進めていけばよいか、この状況を放置するといずれ大きな不適合につながってしまうのではないか、といったことを考えて対処することが期待されているのです。

【おわりに】

日常の業務から離れて5日間の研修を受けると、会社に戻ってから仕事の見方がきっと変わるはずです。周囲の人も皆さんを見て,“仕事のやり方がなんだか変わったな”とか、“あの人は前にも増して頼りがいを感じるな”と感じることでしょう。どうか合格した後は研修で身に付けた知識を活かし、より高い成果につなげることを目指してください。規格は読むたびに理解が深まり、仕事の流れを改善するヒントになります。ひとつひとつの作業がどの規格に該当するのかわかるようになり、プロセスやPDCAを意識して行動できるようになってはじめて、本当に規格を使いこなせたといえます。皆様が合格で満足せず、更なる高みに向かってその後の社会人生活を充実させてくださることを願っております。 最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

おわり

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