内部監査はJIS Q 19011に沿って行うことが推奨されています。「平林良人の部屋」に掲載されている「内部監査とマネジメントレビューに関する質問100選」に加え、内部監査でのポイントをJIS Q 19011:2019に沿って分かりやすく解説します。

E:監査における処置
ここでは内部監査の処置段階の質問を扱います。
【質問47】
手順書どおりに仕事をしないという不適合は、どのように改善すればよいのか教えてください。
【回答47】

この質問にある不適合は多くの組織で直面している問題であろうと思います。内部監査は、組織が日常の活動について「人々が仕事を標準通りに推進しているか」を内部監査員が確認する活動です。
質問は、不適合の原因が手順書どおりに仕事をしなかった、ということですので、質問された方の組織での内部監査は定石、型どおりに行われていると評価できます。

問題は組織には多くの標準書(手順書)が存在していますので、内部監査で総ての標準書について「仕事が標準書通りに行われているのか」を確認することは出来ない、という現実があることです。

一つの不適合が発見されたということは同様なことが他の仕事にもあると考えなければなりません。したがって、まず発見した不適合について原因を探り、対策を取ります。対策を取るということは、探り当てた原因を除去することを意味します。その原因及び対策(原因の除去)が他にも存在するという前提で、すべての部署の責任者に同様なことが無いか見直し及び処置をお願いすることが大切になります。

手順書通りに仕事をしていないという不適合については、一般に次のステップで原因を探ることが良いと思います。「JIS Q 9026 日常管理の指針」に書かれている「図6 標準に基づく原因追及フロー」を示します。

JIS Q 9026 日常管理の指針 図6 標準に基づく原因追及フロー

< Q 19011:2019の該当する部分> 下線は筆者が追加した
6.7 監査のフォローアップの実施
監査の成果には,監査目的によって,修正若しくは是正処置の必要性,又は改善の機会を示すことができる。このような処置は,通常,合意した期間内に被監査者が決めて行う。適切な場合には,被監査者は,これらの処置の状況を,監査プログラムをマネジメントする人及び/又は監査チームに知らせておくことが望ましい。
これらの処置の完了及び有効性は,検証することが望ましい。この検証は,その後の監査の一部としてよい。成果は,監査プログラムをマネジメントする人に報告し,マネジメントレビューのために監査依頼者へ報告することが望ましい。
(つづく)

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