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本シリーズ「内部監査の実践」では、A社のB事業本部のQMSをISO9001:2015に沿って、具体的にどのように監査するかを、実例を中心に説明したいと思います。
その際、内部監査とマネジメントレビューに関する質問100選2019.11.1」
(https://www.technofer.co.jp/iso/mr-qa100-01/)、及び
「ISO 19011に準拠した内部監査に関する質問50選」を随時参考にしていきます。
(https://www.technofer.co.jp/iso/hirabayashi-room/)
品質マニュアルは従業員全員が知っているべき文書ですが、実際は品質マニュアルを使う場面が来ないと読まないのが現実だと思います。内部監査員も監査の時に品質マニュアルを改めて読むという方が多いと思います。
品質マニュアルは内部監査の基本文書となるもので、内部監査員は事前に必ず読んでおくことが必要です。加えて、品質マニュアルに記載されている標準書を事前に読んでおくことが推奨されます。
A社B事業本部の品質マニュアルの続きです。
【品質マネジメントシステム構成事項】
4 設計
4.1 全般
設計業務の業務ステップは次の通りである。
1.製品企画書作成
2.製品仕様書作成
3 製品試作設計
4.試作および評価
5 設計審査
6 製品仕様書制定
7 量産設計
標準書の制定・技術標準・部品受入検査標準・製品出荷検査標準・作業指示書
8 量産試作評価
9 量産認定
☆設計業務標準 KDR 102 量産試作標準 KTM 101
製品企画標準 KDR 103 量産認定標準 KTM 102
設計試作標準 KDR 104 市場調査標準 KPN 101
設計審査標準 KDR 105
4.2 設計及び開発の計画
(1) 設計計画は設計部長が,企画室の制定する新商品推進計画に基づき年間計画として事業年度当初に制定する。
(2) 設計計画には,新商品である製品の特性ごとに活動テーマ,担当,スケジュールが含まれ,開発部長と技術部長の合議を必要とする。
(3) 設計部長は技術部長と協議の上,設計計画に基づいて新製品商品化計画を制定して, 関係部門に連絡する。
4.2.1 活動の割当て
(1) 設計計画に制定された活動テーマには,そのテーマを推進するにふさわしい力量のある設計担当者を割り当てる。
(2) テーマにふさわしい力量は,設計課長が教育訓練標準(KHR 103)に定められた資格能力から見て判断する。
4.2.2 組織及び技術上の相互関連
(1) 技術部との相互関係 : 設計活動は設計部のリーダーシップのもと技術部と協働して推進される。設計部は,製品企画書制定,製品仕様書制定,設計,設計試作を担当する。技術部は技術標準書制定(加工図面,整備仕様書など),量産試作を担当する。
(2) 製造部との相互関係:設計部は,新製品の設計を推進するにあたり,過去の類似製品の問題点を製造部と協働して拾い上げる。
(3) 品質保証部との相互関係:品質保証部は,新製品の市場における安全性,法規対応を調査し,設計部にレポートする。また製品仕様書,技術標準書に基づき部品受入検査標準(KQM 107),工程内検査標準(KQM 108),製品出荷検査標準(KQM 109)を制定する。
☆部品受入検査標準 KQM 107
工程内検査標準 KQM 108
製品出荷検査標準 KQM 109
教育訓練標準 KHR 103
設計計画標準 KDR 106
試作評価標準 KDR 107
4.3 インプット
設計へのインプットは次のものである。
① 性能特性。たとえば環境条件,使用条件,信頼性など。
② 官能特性。たとえばスタイル,色,味,匂いなど。
③ 据付特性。たとえば大きさ,重さ,取扱いやすさなど。
④ 法的規制。
⑤ その他。
①~③については設計部が企画室,開発部と協働して製品企画書にまとめる。
④は品質保証部が製品企画書に基づき調査を行い,設計部にレポートする。
4.4 アウトプット
設計からのアウトプットは次のものである。
① 製品仕様書。
② 設計図面(試作図面,量産図面)。
③ 設計計算書。
④ 試作品。
4.5 設計審査
設計審査,試作品評価,計算確認などの設計アウトプットを検証する手段は、次のとおりである。
設計業務の業務ステップにおいて設計のアウトプットを検証する。
1 製品企画書作成
2 製品仕様書作成
3 製品試作設計
4 試作および評価
5 設計審査
6 製品仕様書制定
7 量産設計
8 量産試作評価
9 量産認定
4.6 設計変更
(1) 設計部は設計図面の変更をするときには設計通知をもって周知する。この場合,最初に設計を実施した組織(チーム,課)が審査,承認,改定を行う。
(2) 技術部は設計変更通知を受けて,必要がある場合には技術通知を発行して技術標準書の変更管理を行う。
☆設計通知管理標準 KDR 108
技術通知管理標準 KTM 103
次回もA社品質マニュアルの続きを示します。
(つづく)