平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第28回

3.0 会社概要,対象範囲

  • ☆会社の歴史,現況,その他バックグラウンドについての概要を記述する。
  • X社は,昭和21年に現在のA社のB製品工場として分離独立した。
    B製品の生産を続けるかたわらC製品,D製品を独立に開発した結果,その技術の独創性のゆえに市場で飛躍的な発展を遂げ,現在は国内で10事業所,海外に2工場,国内外に30営業拠点を持つまでに至った。
    当社の理念は次の通りである。
  • 1. 社会に貢献する。
  • 2. 社員を大切にする。
  • 3. 独創性を伸ばす。
  • ☆この品質マニュアルがカバーする対象組織,対象製品を記述する。
  • この品質マニュアルは,X社B事業部が製造するB製品・C製品の設計からサービスまでの品質保証活動に適用する。
  • 〔対象組織〕 X社B事業部 住所
  • 〔対象製品〕 B製品,C製品

4.0 品質システム構成事項

4.1 経営者の責任

  • 4.1.1 品質方針
  • ☆経営における品質に対する会社の方針,目標,責務をできるだけ具体的に記述する

    B事業部はX社の「理念」に基づき,事業部長が品質方針を制定している。この品質方針は,全従業員に徹底するために各部門の部屋に掲示されている。また『社員ノート』にも「理念」とともに記載されており,従業員全員がいろいろな機会に利用できるようになっている。
  • B事業部品質方針
    • 1. 顧客第一優先の徹底すべての品質は顧客のためにあり常に顧客の品質ニーズに適合する活動を進める。
    • 2. 全従業員の品質保証活動への参加品質は工程で作り込まれる。全従業員が自分自身の持ち場の品質を保証する。
    • 3. 最新技術の開発とその応用当社の独創性尊重の気風を重んじ,常に新しいものヘチャレンジしていく。
    • 4. B事業部の品質システムはISO 9001 (JIS Z 9901)に準拠している。
    • ☆組織体のトップがサインする。
    •  社長名
    •  サイン
  • 4.1.2 組織
    • ☆部門単位(部門制をとっていない会社では課単位)の組織図を掲載し,会社の指示命令系統を簡潔に示す。
    • ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
      組織標準 KHR 101
  • 4.1.2.1 責任及び権限
    • ☆組織図に記載された社長以下各部門長の責任・権限を記述する。
    • B事業部における職位の責任は次の通りである。
    • 事業部長:会社の経営指針,方針に基づき事業部方針を制定し,その実行のすべてに責任を負う。所属する部長を管理・監督することに
    • より目標の達成をはかるとともに人材の育成をはかる。
    • 工場長:事業部長方針に基づき工場長方針を定め,所属する部長の管理・監督を通じて工場長方針の達成をはかる。以下の項目に対して責任を負う。
      • ① 工場の安全衛生。
      • ② 製造で担当している分野に関する製品品質。
      • ③ 部下の人材育成。
    • 部 長:事業部長方針に基づき部長方針を定め,所属する課長の管理・監督を通じて部門方針の達成をはかる。以下の項目に対して責任を負う。
      • ① 部門の安全衛生。
      • ② 部門で担当している分野に関する製品品質,サービス品質。
      • ③ 部下の人材育成。
    • ☆品質に関する会社の分課分掌の一覧を掲載する。
    • 品質に関する各部門の業務内容と責任権限は次の通りである。
    • 〔企画室〕
      • ① 事業展開の企画立案と推進フォロー
    • 〔総務部〕
      • ① 福利厚生,安全衛生業務
      • ② 建物営繕,電気などエネルギー管理,施設工事,公害防止業務
      • ③ 業務改善活動事務局
    • 〔人事部〕
      • ① 人材採用業務
      • ② 組織変更,人事考課業務
      • ③ 教育訓練業務
    • 〔開発部〕
      • ① 商品企画,市場調査業務
      • ② 商品開発業務
    • 〔生産管理部〕
      • ① 生産計画の立案とその推進フオロー
      • ② 国内外注会社管理業務
      • ③ 海外生産計画の立案とその推進フォロー
      • ④ 倉庫業務
    • 〔購買部〕
      • ① 購入先の調査,選定,管理業務
      • ② 購買に関する業務
    • 〔設計部〕
      • ① 設計に関する業務
      • ② 設計試作品の製作,評価業務
      • ③ 図面の発行,改訂,管理業務
    • 〔技術部〕
      • ① 技術標準類の制定・配布・改訂管理業務
      • ② 新製品大日程計画の制定,推進,フォロー
      • ③ 材料,設備,加工技術の調査,改善業務
      • ④ 外注会社技術指導業務
      • ⑤ 技術試作品の製作,評価業務
      • ⑥ 不良解析,調査業務
    • 〔品質保証部〕
      • ① 品質システムの確立,維持改善業務(品質マニュアルの維持管理)
      • ② 市場クレーム対応,調査改善業務
      • ③ 検査標準書の制定・配布・改訂管理業務
      • ④ 受入検査,出荷検査業務
      • ⑤ 安全,環境などの法規制調査,対応実施業務
      • ⑥ 計測器の校正管理業務
      • ⑦ 長期信頼性など製品品質保証業務
    • 〔製造部〕
      • ① 製造作業指示書の作成・制定・改訂管理業務
      • ② 工程管理, 4M変動管理業務
      • ③ 工程内検査業務
      • ④ 設備・装置のメンテナンス業務
    • ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
      分課分掌標準 KHR 102
      品質システム監査標準 KQM 102

    4.1.2.2 検証の手段及び人員

    • ☆設計番査,検査,内部品質監査および検査,監査の独立性について記述する。
    • 1. 以下のそれぞれの活動に訓練された人員を割り当て,顧客の要求仕様に合致した製品を設計し,製造する。
    • 〔設計審査〕
    •  設計部が主管し,関係部門の参加を得て,新製品企画段階,設計段階で行う。また技術部門が主管し,関係部門の参加を得て試作段階,初回量産段階で行う。
    • 〔検査〕
    •  品質保証部において材料,部品の購入時に受入検査を,また製品出荷時に出荷検査を行う。製造部においては工程内検査を行う。
    • 〔内部品質監査〕
    •  品質マニュアルに規定されたシステムが確実に実行されているかどうかを品質保証部が主管して内部品質監査を行う。
    • 2. 検査,監査の信頼性を高めるために,検査,監査の独立性を維持する。
    • 〔設計審査〕
    •  部長,課長または実際に設計を担当した者でない独立した者が行う。
    • 〔検査〕
    •  工程内検査は,その製造工程に携わっていない者が行う。
    • 〔内部品質監査〕
    •  監査対象の部門の者でない独立した者が行う。
  • 4.1.2.3 管理責任者
  • ☆管理責任者を明確に記述する。
    この品質システムの管理責任者は品質保証部長とする。