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平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第38回
条項4.2 品質システム
- 会社の品質システムの拠るべき規格がISO9002であることを明確に示している。
- 1.会社は,ISO 9002-1987, EN 29002-1987に準拠した,文書化した品質システムを運営する(条項4.4 “文書管理” を参照)。この文書化した品質システムは,製品の品質に影響を及ぼすであろうすべての活動-購買,サービス,製造,出荷-などの運営方法とその責任の所在を明確に規定する。
- 2.品質保証部の管理の下,品質システムの組織的見直しが実施される。
- ① 現状のシステムが当社品質システムの手順書と指示書に適合しているかを検証する。
- ② 手順書と指示書が,目的とする製品品質の作り込みに十分かどうかを評価する。もし,改善点が存在すれば直ちに改善を実施する。
- 3.すべての記録は,正しく保管される。
条項4.3 契約内容の見直し
- 顧客との契約について,その中身の見直しについて述べている。
- 1.会社は製品品質の善し悪しは,顧客の満足度によって決まると考えている。
- ① 顧客のニーズがどこにあるのか,顧客からもたらされる諸情報を,仕様書,注文書などの文書類で的確に把握する。
- ② 顧客の要求を正しく把握するために,ときどき顧客要求の定義付けの見直しを実行する。この顧客要求見直しの活動は,多くの場合,新規顧客の現れたときに実施される。
- 2.会社は,新規顧客との接触の最初から,顧客要求事項の明確化に責任を持つ。 顧客の要求事項を明確にした後,その要求事項が会社の現有能力で対応可能かどうか,または新たな手段を必要とするかどうかの検証を行う(もし当社の現有能力が顧客の要求事項の作り込みに不十分な場合は,当社のみならず顧客にも不便を与えるからである)。
- 3.顧客から注文があった場合,社内所定の手続きをとって対応する。 これらの対応はすべて記録に残され,標準規格の契約内容の見直しとして保管される。
条項4.4 文書管理
- 会社の文書管理について詳しく説明し,会社の文書体系を具体的に示している。
- 1.文書化された品質システムを確立し,維持していくために,後述5.項で記述する文書体系を構築する。この文書体系に組み込まれる社内の文書類には,次のものがある。
- 品質マニュアル
- 部門マニュアル
- 手順書・作業指示書
- 品質計画書
- 仕様書
- 図面
- 2.上記文書類は,顧客の要求事項を満足させるためには最も重要なものの1つである。したがって,上記文書類の管理は,十分な配慮の下に実施されなければならない。文書の制定および改訂の責任者ははっきりと決められている。
- 3.文書発行の責任者は,改訂後不要になった文書の廃棄についても責任を有している。不要文書は記録のために「旧文書」とマークを入れ保管されるか回収または廃棄される。文書のコピー配布先が配布リスト一覧と異なる場合は, リストの見直し,加除訂正を行う。すべての文書改訂の記録は,文書化されるか,またはマスター文書に記録される。
- 4.それぞれの部門の担当部長は,次の文書の発行について責任を有する。
- 部門 管理文書記号
- 品質保証部 DQA
- 技術部 DTE
- 購買部 DPR
- 生産管理部 DPC
- 人事・総務部 DHA
- 第1工場 DP-1
- 第2工場 DP-2
- 5.文書体系
略 - 6.品質保証部長は,1次文書の責任者であり,他のすべての文書がこの品質マニュアルに適合しているかどうかをチェックする権限を有している。
- 7.文書類の改訂は,すべて正式変更手順(次項を参照)にそって進められる。
- 8.文書の正式変更手順は次の通りである。
- ① マニュアルおよび手順書
- a)すべてのマニュアルと手順書は,発行部門による独立した連続番号を有している。発行番号と発行日は,発行部門によって明確に記録される。
- b)文書の改訂は,正式変更手順によって実施される。文書が変更されると前回配布した部署にコピーが配布される。この配布コピーには,旧文書廃棄の指示が記載されている。
- ② 図面
- a)すべての部品図と組立図には,技術部門による識別番号が付され,管理
台帳によって管理される。一般生産品とは異なる特定顧客向け製品の仕様書は,OEM管理台帳によってその識別番号が管理される。 - b)これらの図面および仕様書の変更は,技術部門によって記録し,保管
される。すべての技術的変更点は,所定の期日から変更が実施できるよう,関係するすべての部署に連絡される。
条項4.5 購買
- 会社の購買方針を述べ,そのボイントを挙げている。会社の購買はすべて,認定された会社のみに対して行われることを明記している。
- 1.会社の購買基本方針
- ① 会社は基本方針として,すべての材料・部品は認定外注会社からのみ購買する。
- ② 外注会社の認定は,当該外注会社に関する知識と,会社および第三者による正式な評価活動によって行われる。
- ③ 会社の当該外注会社に関する知識は,その外注会社からの購入実績と,品質実績とから成り立っている。
- 2.新外注会社の認定
- ① 認定された外注会社からの購買が不可能な場合,1回の購入のために,暫定的な外注会社認定が行われる。
- ② 新外注会社からの初回受入れにおいては,工程内で追加検査を実施したり,監視活動を強化することによって品質の確保をはかるとともに,リスクの低減に努める。
- ③ 会社の品質システムにとって既に実績のある外注の品質を維持していくことと,新しい外注の品質を検証していくことは,両方ともに重要なことである。
- 3.注文書
- ① すべての購買は,必要項目が明確に文書化された注文書によって実行される。
- ② 注文書には,要求事項の規定とともに,検査指示書が添付されている。
- ③ 会社は,注文書の記述あるいは添付文書が不明確なために,購買部品の品質に不適合を起こさせないようにする。
- 4.もし顧客が契約にうたい,かつ要求した場合には,会社の工場および外注会社の検証に応じる。しかし,顧客のこうした検証活動が,規定要求事項に適合するための会社の努力を軽減するものでない。