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平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第44回
条項4.5 文書管理
- “文書管理” については4.5.1“文書の承認及び発行” と4.5.2“文書の変更・改訂” に分けてポイントを述べている。
- 文書の承認及び発行
- 1. 会社は,BS 5750 Part 1 (ISO 9001)の要求事項に関連するすべての文書およびデータを管理する手順を設定し,維持する。これらの文書は,その発行に先立ち,権限を与えられた者が,その適切性について審査し,承認する。
- 2. この管理には次の2つの事項を含む。
- ① 最新の有効文書が利用されているか。
- ② 廃止された文書は速やかに廃棄されているか。
- この文書管理を主管する組織は製図室(文書管理係)である。
- 文書の変更・改訂
- 1. すべての文書の変更は,最初に審査および承認をした同一機能・組織が審査し,承認する。大きな変更については「仕様書/設計図/手順書変更要求」によって指示される。
- 2. これらの変更指示書は,担当する機能・組織の承認または否認を経て発行される。 (QM 0020を参照)
- 3. すべての変更は,発行に先立ち,それぞれ固有の認識番号が付けられ,変更指示書登録に記録される。
- 4. すべての文書は,相当回数の変更が行われた後には,再発行される。これは文書管理係の判断において実施される。
- 管理下にある文書類
- 1. 品質マニュアル
- 2. 校正マニュアル
- 3. 教育・訓陳マニュアル
- 4. 品質手順書マニュアル
- 5. BS I規格(I EC規格)
- 6. 製造・工程仕様書(付録3参照,省略)
- 7. 技術図面(付録4参照,省略)
- 8. 認定仕様書ノ証明書
- 9. 変更指示書
- 10 .特別採用書
- 11 .顧客図面
- サポート文書類
- 特別採用書 QM 0018
- 変更指示書 QM 0020
- 仕様書管理書 QM 0026
- 技術図面管理基準書 QM 0053
- 品質マニュアル管理書 QM 0054
- 文書編集・許可の承認印 QM 0055
条項4.6 購買
- “購買”について基本的な考え方を述べた後,外注会社一覧表への言及など具体的な事項を述べている。ポイントは次の通りである。
- 1. 外注会社を使わないで完成品を生産できる企業は非常に少ない。会社の生産する製品品質の多くの部分は,外部業者(サプライヤー・リストを参照)の品質如何によって決まってくる。したがって外注会社の品質システムについてその適正な運用を会社が要求するのは当然である。
- 2. 会社は外注会社の製品・部品が当社の品質要求事項に適合していることが確認されるまでは,いかなる外注会社も活用しない。
- 3. 品質部長は購買部長とともに,すべての外注会社の評価と承認の責任を有する。
- 4. 会社の承認したすべての外注会社は「承認外注会社一覧」 に記録,登録される。
- 外注会社一覧
- 1. 購買部長は品質質問書(QA0007)を外注会社へ送付して品質システムの概要を把握し,必要があれば品質保証部と共同で品質立入監査を行う。
- 2. 外注会社が会社の基準に合致した場合は品質・購買部長の承認の下,承認外注会社一覧の名簿に掲載する。
- 3. 会社の要求品質に継続して適合しているかどうかは受入検査履歴(QA0006参照) によって記録され,加えて定期的な訪問によって品質システムの運営が検証される。
- 4. 外注会社の品質が会社の要求事項に適合しない場合は,「外注会社是正処置報告書」 (QA 0023)によって公式に通告がなされる。
- 5. 品質部長およびその部下が外注会社を評価するときのガイドラインとして「外注会社評価のガイドライン」(QAO013)が発行されている。この文書には多くの質問事項が入っている。スペース,環境,スタッフと監督者,整理整頓清潔,保管場所(倉庫), 分離場所(倉庫),品質管理活動,その他である。
- 購買データ
- 1. 外注会社の品質水準が,会社の品質要求事項に適合するかどうかを明確にするために,会社はその要求する項目を十分に定義しておかなければならない。
- 2. 暖昧さを除去するため会社の購買注文書は標準化され次の項目から成り立っている。
- ① 要求される品質
- ② 仕様。タイプ,クラス,スタイル,グレード,その他の詳細事項を含む
- ③ 部品番号
- ④ 供給形態
- ⑤ 納入日
- ⑥ 単価
- ⑦ 許容品質レベル
- ⑧ シリアルナンバー(連続した認識番号)
- ① の要求される品質には次の文書類が添付される。
- a)適用する英国規格または国際規格
- b)仕様書
- c)加工図面
- 3. 外注会社が会社の推奨した材料以外を使用する場合は,事前にその材料の仕様書を会社の品質保証部へ送付しなくてはならない。
- 4. すべての納入品は品質保証部門によって会社の規格に合致しているかどうかチェックされ,不合格品が発見された場合には是正処置と再納入のために購買部門に返品される。
- 購買品の検証
- 会社または会社の顧客が外注会社の工場に立ち入り,工程および文書管理などの実情を調査する権利は,外注を承認するときの絶対的な条件である
- この要求事項は,外注会社への標準的要求事項書(QM 0008)に詳述されている。