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平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第47回
条項4.11 検査,測定及び試験の装置
- “検査,測定及び試験の装置” について基本的な考え方を述べている。ポイントは次の通りである。
- 1. 製品およびサービスに関する評判は,会社が顧客の品質要求事項に適合していることをいかに明確にさせるかにかかっている。
- 2. 工程管理と製品品質の評価にはいろいろな種類の測定が関与してくる。これら測定装置の精度は,測定装置の選択と,その正しい使用法および管理と校正システムによって決まる。
- 3. 会社の校正システムおよびその手順はB S 5781に基づいており,これが会社の校正能力を評価するときの基本となっている。
- 測定装置の明確化と装置計画
- 1. 会社は,製品ならびに部品・材料の測定項目と許容値を,図面,製造仕様書および品質計画書に規定する。
- 2. 全体として製品の検査および測定の要求事項は品質計画書のなかに述べられる。
- 装置の明確化および校正
- 1. すべての検査および試験装置の所在は,連続した個別番号と部門コードによって明確にされる。
- 2. この装置は,国家標準および国際標準とのあいだに法的に有効な関係をもつと認定された方法で校正される。
- 校正手順と記録
- 1. すべての装置の校正は,記述された手順書によって実行される。この手順書には次の事項が記述されている。
- ① 装置のタイプ
- ② 工場の識別番号
- ③ 位置
- ④ 校正周期
- ⑤ 許容基準
- ⑥ 不合格時の処置の仕方
- 検査,試験,校正および保管場所
- 1. すべての検査,試験および校正の場所は適切に管理される。
- 2. これらの場所として,適切な環境条件を確保する。
- 3. すべての装置を目的に合うよう維持することは極めて大切である。すべての装置を使用し取り扱う担当者は,それゆえに正しい取扱方法を訓練される。
- 保護シール
- 1. 校正後に調整されないように,その可能性のある装置にすべて保護シールが貼られる。このシールには「もしこのシールが破損すれば校正は無効になる」との印刷がなされている。
- 2. 校正ソフトウェアには保護コードがかかっており,許可のない者はアクセスできないようになっている。
- 検査補助具としてのジグ,取付具
- 1. これらのジグ,取付具は,ピン形のセンターチェック具として使用される。
- 2. すべての取付具は適合性がチェックされ,連続した識別番号がふられている。
- 3. すべてのジグ,取付具は,あらかじめ定められた間隔で,その適合性がチェックされ,その結果は校正記録として残される。
- 外部での評価
- 特定の検査・測定装置で,会社内で十分に校正できないものは,外部の専門機関に校正を依頼する。
- 校正の状態
- 1. 満足する校正がなされた証拠として,校正ラベルをすべての校正済み装置に貼る。このラベルには,次の事項の記述がなされている。
- ① 校正日
- ② 校正責任者
- ③ 次回校正日
- 2. 装置が使用されておらず,倉庫に保管されている場合には,「使用禁止校正対象外」と明確に識別しておく。
- 校正記録
- 1. すべての検査・測定・試験装置の校正記録は,保管維持される。
- 2. これらの記録は,校正の歴史として,または校正と校正の間隔を決めるデータとして,活用される。
- 校正不合格となった装置
- 1. 装置の校正が不満足だった場合には,その装置で検査,測定した製品を追跡する。たとえば,最終検査記録票には,実施した製品タイプ,検査日が記録されており,その記録から製品の検査・測定日を割り出す。
- 2. この情報は,顧客に正しい処置をとってもらうため,顧客へ連絡される。
条項4.12 検査及び試験の状態
- “検査及び試験の状態” について具体的に識別の仕方を述べている。
- 1. 部品,材料,製品の検査と試験の状態は,次の方法で識別される。(略)
- この識別を行う理由は,部品,製品がどのような状態にあるかを常に知っておく必要があるからである。
- 2. どのような状態とは以下のものをいう。
- ① 検査されていない。
- ② 検査に合格している。
- ③ 検査に不合格である。
- サポート文書類
- 製品検査・試験書 QM 0029
- 最終検査および試験書 QM 0036
- 製品品質計画書-2 QM 0039
- 欠陥品管理書 QM 0047