平林良人「ISO 9001 有効活用のためのビジネス改善ツール」(2005年)アーカイブ 第9回

ベストバリュー(Best Value)

活用方法

要素 コメント
ISO 9001との関連 MR RM PR M&A Imp
活用範囲 公共組織
サービス
機能
システムにおける変化の度合い
人々に関する変化の度合い
利益レベル
参加レベル 推進母体として
成熟レベル 初心者
時間尺度 6~12ヶ月
投資レベル
実施方法 プロジェクト

背景

ベストバリューは、イギリス労働党政権下の選挙後の1997年に、地方自治体政策として導入されました。この政策は、地方自治体が単なるサービス提供者ではなく、組織として機能するように、地方自治体のサービス提供の仕方を再構成するように計画されたものです。

それぞれの地方自治体は、組織的な構造及び内部マネジメント情報要求事項を含めて、自分達が機能するにはどんな方法があるのか、綿密な調査を行っています。ベストバリューは、戦略的意思決定、説明責任、透明性、健全な統治、市民の視点の自覚等を強調する、数多くの地方自治体改革と一致したものです。

原則

ベストバリューの指針は、管理者が目的と手段を設定し、改善機会が最も大きい領域を優先的に実施するよう提案しています。優先的な事項は“4Cs”の原則を活用しながら設定されるべきであるとしています。

  1. 挑戦(Challenge):「なぜこれを行っているのか?」、今のパフォーマンスの「何を」と「なぜ」を学ぶことが、この対象であるべきである。
  2. 比較(Compare):政府はベンチマーキングの概念を促進する。
  3. 相談(Consult):サービスを改善するためにユーザーと顧客に相談する。
  4. 競争(Compete):この4番目の“C”は、強制競争入札(Compulsory Competitive Tendering)のCにもなる。

アプローチ

ベストバリューは、プロジェクトとして位置付けられた課題を完成させるために設けられた会議体、それ自身が推進母体となってすすめるアプローチです。

一般的にプロジェクトは、最初の会議で次のような主要概念に注目し、組織構造に関する議論をします。すなわち、戦略的意思決定、品質の概念、ベンチマーキング、サービス提供オプションの再構成、そしてパートナーシップアプローチについてです。この最初の会議では、次のような多くの視点を具体化するために、ブレーンストーミングを行います。

  • 組織構造を変更する必要性の認識
  • 決定は戦略的に行われず、委員会が逐次的に前例踏襲型の運営で決めがちである。
  • 予算とサービス提供に関する問題について、地域委員会と他の種々の決定との間に存在する連携不足。

二番目の会議は、規制を行う環境、すなわち実績ベース原価計算の追求、3ヶ年間予算、パフォーマンス評価システム、そして組織における個人を取り巻く環境のような、大きな範囲に注目します。

会議の主な機能は、組織の文化を変えるための推進課題を確立することです。これらが決まれば、価値観を共有することができ、より良いコミュニケーションを促進することができます。