平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第25回

4.インタフェースマネジメント:プロセスマップ(図5.2)は、1つの機能(部門)(マップの横のバンド)が、製品あるいはサービスを別の部門へ引き渡す点を明確に表示します。これらの各点には顧客-供給者のインタフェースがあります。第2章で述べたように、これらのインタフェースはしばしばパフォーマンス改善の最大の機会を提示します。プロセス志向のマネージャーは、慎重にインタフェースを監視して、有効性と効率に対するどんな障害も取り除きます。
Computec社のプロセスマップが示すように、販売と生産管理の間、および生産管理と組み立てとの間のインタフェースは、オーダー遂行プロセスの成功に特に重要です。経営幹部とプロセスオーナーは、この「空白」に特別な注意を払わなければなりません。適切な注意を確実にするために彼らは、これらのインタフェースにおける品質と効率を示す評価指標を確立し、監視しなければなりません。
プロセスマネジネントの質問は、以下の通りです。

プロセスの適切な下位目標は設定されましたか?
プロセスパフォーマンスは運営管理されていますか?
十分な資源が各プロセスに割り当てられていますか?
プロセスのステップ間のインタフェースは経営管理されていますか?

表5.2  Computec社のオーダー遂行プロセスの目標に基づいて選択された機能(部門)目標


要約

組織では、主要プロセス、補助プロセス及びマネジメントプロセスによって業務が行われています。もし業務が行われる様を理解し、それを改善し、いかに業務が行われるかを運営管理したいならば、あなたの注意と活動の焦点をプロセスに合わせなければなりません。プロセスの視点から経営問題を見ると、目標、ビジネスシステムの設計及びマネジメントの実践において、根本的な変化の必要性が明らかになることがしばしば起こります。プロセスレベルのパフォーマンスは、以下に対し著しい影響があります。

組織目標を個人のパフォーマンスに連係させ、ビジネスで実際に起こっていることを評価し、他の会社のパフォーマンスをベンチマークし、競争優位を確立し、合併と吸収の影響を評価し、組織構成の代替案を評価するためにプロセスの見方とツールを用いることができる経営者。
品質、コスト及びサイクルタイムのギャップを明確にして解消し、他の部門および自部門内のインタフェースを経営管理し、変化を起こし、そして効果的に資源を配分するために、プロセスの見方とツールを用いることができるマネージャー。
ビジネスニーズを診断し、組織のパフォーマンスに著しい影響を与える改善を提案し、彼らが取るように頼まれた活動を評価し、改善チームの支援を行うために、プロセスの見方とツールを用いることができるアナリスト。

ほとんどの組織にとって機会が最大であろう領域として、3レベルの内の1つを選ぶなら、それはプロセスレベルだと思います。なぜならば、それは恐らく最も理解されておらず、したがって最も運営管理されていないだろうパフォーマンスレベルだからです。その理由は、恐らく業務がプロセスを通して行われ、プロセスレベルは中間に位置し、組織レベルと業務/遂行者レベルの目標と、設計と、マネジメントの間の連結ピンとして役割を果たすからだと思われます。あるいは、プロセスツールの適用が、組織が直面する最も基本的なニーズのいくつか、例えば、顧客志向の組織構築、新しい状況に素早く知的に適応し、変化を起こし、部門間の障害を破壊することに利用できるからかも知れません。
理由にかかわらずプロセスレベルは、多くの大きな未開発の可能性を持っています。結果を運営管理することだけでは十分ではありません。それらの結果がいかに達成されるか(プロセス)も重要です。もし結果が達成されているならば、我々はその理由を知る必要があります。もし結果が達成されていないならば、我々は同様にその理由を知る必要があります。どちらの場合も、多くの場合、答えはプロセスにあります。効率的に組織目標を満たすように設計され、運営管理されるプロセスを確立したならば、次章に含まれている、業務/遂行者レベルのニーズを取り扱うことができます。