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平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第29回
業務マネジメント。業務/遂行者レベルを運営管理することは、図6.1で表現されるヒューマンパフォーマンスシステムの5つの構成要素を運営管理することで、6つの要因がヒューマンパフォーマンスシステムの有効性と効率に影響するのがわかっています。これらの要因を図6.3に示します。
業務マネジメントの目的は、有能な要員を彼らの業務目標の達成を支える環境に置くことです。図6.3の要因5と6は業務遂行者の能力に関してです。要素1~4はあるべき環境の要因を示します。
パフォーマンス仕様とは、業務目標を形成するアウトプットと基準です。プロセス志向の業務目標を参加型で確立するマネージャーは、この要因の背後にある質問の答えが肯定的であることを確実にする手順を踏んでいます。対照的に、売ろうとしている製品群について十分な知識を持ち合わせていない販売担当者にとって、答えはノーです。彼らのパフォーマンス仕様に欠陥があります。
業務サポートは、業務設計に部分的に関連します。うまく構成された仕事(適切に構成されたプロセスによる)は、容易に認識される質の高いインプット、最小量の干渉及び論理的な手順から成っています。タスク妨害を最小限にしたいマネージャーは、追加の1ステップを踏みます。業務をするために適切な資源を彼らの要員に提供します。例えば、多量のペーパーワークが、販売員の本来の責務である販売に費やすべき時間の多くを奪っているかもしれません。もしそうなら、彼らの販売パフォーマンスはタスク干渉によって妨害されていることになります。
考課は業務目標の効率的な達成を支えなければなりません。戦略(組織レベル)目的達成のために、販売員の業務目標の1つとして新製品を一定量販売することが考えられます。古い製品を売ることをサポートする歩合制になっているとしたら、販売員に対する考課は必要なパフォーマンスをサポートするように整合されていません。また考課は、担当者にとっても意味を持つものでなければなりません。ある販売員は営業マネージャーへの昇進をプラスの考課として認識しないかもしれません。最後に、考課は継続的な活動の中でインセンティブが提供できる様、迅速におこなわなければなりません。営業マネージャーになりたがっている販売員は、もし彼か彼女がその考課を5年以内に提示される期待が持てないなら、彼らが、考課によって動機づけられることは殆どありません。昇進は望まれるパフォーマンスをサポートするよう調整されなければならないが、それ自体が一つのインセンティブとして活用できるくらい短期に起こせるものではありません。
フィードバックは担当者にパフォーマンスを変えるべきか、或いは、同じ方法で働き続けるべきかを伝えます。フィードバックがなければ良いパフォーマンスは軌道から外れ、そしてお粗末なパフォーマンスは改善されないままで残ります。効果的なフィードバックは、図6.3に示される基準を満たしています。もしフィードバックが販売部隊全体だけについてなされるなら、個々の販売員はそれを自分達に関連するものとして認識しないし、彼らのパフォーマンスの指針としてそれを使用することもできません。もしフィードバックが年次のパフォーマンスレビューの時だけ提供されるなら、それはたぶん十分時宜を得ておらず効果的ではないでしょう。フィードバックが具体的でない(「良い業務」か「次回は、十分な予測をしてください」)なら、それがヒューマンパフォーマンスシステムの有効性に貢献することは無いでしょう。
スキルと知識はどんな仕事にも必要です。それがなければ、業務パフォーマンスが損なわれ、教育訓練が必要となるでしょう。このカテゴリに含まれているものには、業務を行う公式の方法だけではなく、業務遂行者が模範になることを可能にするヒントや手っ取り早い方法(「部族の知識」)も含みます。販売員は製品・サービスのラインナップを理解し、販売のテクニックに熟練している必要があります。
個人の能力には、業務遂行者の内部能力を含んでいます。いかに環境(要素1-4)のサポートがあり、教育訓練が有効であっても(要素5)、目標を達成するための物理的、精神的、又は感情的な能力を欠いておれば、彼らは、彼らの仕事をすることができないでしょう。拒否を受け入れられない販売員は、個人能力に欠陥を持っている可能性があります。
人々は、時折、要素が欠けていると言います。彼らは、主要なパフォーマンス変数は動機(又は願望、又は向上心、又は態度、又は士気)であると指摘します。我々は動機が重要であることには同意します。しかしながら、それは兆候に過ぎません。弱い(又は強い)動機の背後にあるものを見れば、6つの要素に気付きます。能力があり(要素6)、よく教育訓練され(要素5)明確な期待の下で人々が配置され(要素1)、業務サポートが有り(要素2)、前向きな考課が行われ(要素3)そして適切なフィードバック(要素4)が得られる状況に置かれて、初めて彼らは動機づけられることになります。