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平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第38回
2つのケーススタディ
ダグラス航空機会社。我々は過去に、ダグラス航空機会社(マグドネル・ダグラスコーポレーションの一事業部)が全社的なパフォーマンス改善活動を設計し、実施する手助けをする機会がありました。トップマネジメントチームは「単に別のプログラム」(BOHICA-頭を下げ、それが通り過ぎるのを待つ-)という態度と戦い、強固に品質と生産性の活動を実施すると決心していました。
彼らは彼らが会社の重要経営事項と呼んだ「初回品質をもって顧客満足を得る」を特定することから始めました。縦(ワークユニットグループ)か、又は横(組織横断的なグループ)かいずれかの自然発生的なワークグループが定期的に会合を持ち、フルタイムの推進役として教育訓練されているラインの要員によって補助が受けられる体制を作りました。そのチームはファイブフェーズのプロセスを経験しました。
リーダーは、そのチームに対して重要経営問題の活動の他社との競合における重要性を提示し、プロセスの目標と仕組みについて説明しました。
組織戦略を源に、プログラム事務所(各製品ラインを代表している)を通じて末端まで伝えた目標に基づいて、チームメンバーは彼らの顧客、製品、インプット、並びに供給者を記述するために関係マップ(第4章参照)を使用しました。そして彼らは、目標に最も大きい影響を持つと信じる製品・サービスと顧客を選択しました。主要な製品と顧客に焦点を当てながら、目標達成に向けてのチームの貢献を記述した一時的な目標を設定します。(フェーズ1と2は会社とチームの両方の組織レベルを取り扱います。)
チームは顧客組織(たいていの場合、内部のユニットである)の個人にインタビューするために1人以上の代表を選択しました。1組の体系化された質問を通じ、そのチームは製品・サービスに対する顧客要求事項を学び、現在のパフォーマンスに関するフィードバックを得ました。フェーズ2で決めた一時的な目標は、これらの要求事項に基づいて再調整され確定されました。
チームメンバーは、初回品質(伝統的な品質に関する考慮と同様に効率とコストを含む)で顧客要求事項を満たすことを可能にするプロセスを設計するために、プロセスマップ(第5章参照)を使用しました。チームは現在のプロセスと顧客中心のあるべき姿の「Should」プロセスの間の、全てのギャップを文書化しました。プロセスマップを完成した後、そのチームはそれぞれの顧客要求事項に対する数値評価と基準案を作成しました。そしてこれらの基準は顧客との2回目のミーティングにおいて交渉されました。
最終フェーズでは、最初の4つのフェーズで特定したあらゆる問題を解決しながら、チームメンバーは現状「Is」からあるべき姿「Should」のプロセスへ移行するための活動を計画し、実施しました。彼らは、顧客が承認した基準を、パフォーマンスを進行形で追跡するのに使用する測定システムに変換しました。そして彼らは、定期的に顧客のニーズとフィードバックに関するデータを集めるメカニズムを確立しました。(フェーズ3、4及びフェーズ5のこの部分がパフォーマンスのプロセスレベルを取り扱います。)最後に、彼らは、評価指標を改善し、改善されたプロセスを推進し、そして、プロセスの中で動いている個々の業務に顧客中心の考え方を埋め込む活動を推進することを約束しました。(フェーズ5のこの部分は業務/遂行者レベルを取り扱います。)
それは必ずしも欠陥のない活動ではありませんでした。人々の中には「これもまた通り過ぎる」プログラムとして扱う、BOHICAの空隙がありました。正式なプロセスでは業務/遂行者レベルは、少し物足りないと思えます。上から下へ伝えられる目標のいくつかは、特定の指針をチームに与えませんでした。またチームのほとんどは、組織横断的ではありませんでした。しかしながら、それはたぶん3万人の活動に匹敵する成功をおさめていました。それは3レベルのパフォーマンスすべてを取り扱いました。それは持続可能でした。それは顧客中心でした。それは評価に重きを置き、そして組織の自然な体制の中の人々によって実施されました。
上記の過去形の表現は、この活動を短命なプログラムのように疑義のあるものに見せるかもしれません。しかしながら、少なくないチームが今日も重要経営問題プロセスを正式に続けており、それは、その後の改善活動と5段階の間に導入されたツールの広範囲な使用を生み出しています。
GTE。パフォーマンス改善へのGTEのアプローチもまた3レベルのパフォーマンスに基づいているが、それはダグラス航空会社が行なったアプローチと全く異なっています。チームを確立するよりむしろ、GTEの活動はパフォーマンス改善のための触媒としてマネジメントチームの教育訓練を活用しました。
その活動は、GTEのビジネスのすべてにおいて最初に取り扱うべき競争上の課題として、本社のポリシー委員会が品質の特定を行なったことから始まりました。ポリシー委員会メンバー(会社のトップ7の経営幹部)は、年次の戦略的計画作成の場で、経営幹部レベルの品質訓練の強制化を決め戻って来ました。会社は、品質を高めるため正式に決めた様々な手順を踏み、かつ継続していましたが、プログラムの大部分はトップマネジメントによる深い関与がありませんでした。委員会は、この関与があらゆる品質活動の成功に重要であると考えました。
また、これとは別に、品質サービス担当副社長と幹部教育担当取締役は、品質の取り組みにおける次のステップは、経営幹部の教育であると結論付けていました。彼らは品質の訓練と教育プログラムに以前から取り組み続けておりましたが、ポリシー委員会の指令は彼らが必要とする所のもの全てでした。副社長と取締役は、次の評価基準を満たす教育訓練プログラムを開発することによって殻を破りました。
品質意識プログラムではなく、実地のワークショップである。
単なる品質ツールではなく、品質を戦略兵器とする必要性に基づいている。
各事業部門からのチームが出席し、そのチームは事業ユニットの長又は部門を担当する部門長及びその直属の部下で構成されている。
ワークセッションは、型通りの教室での教育訓練の後に行なう。チームは、彼らに活動を起こさせ約束した結果を達成させる責任があるポリシー委員会のメンバーにアクションプランを提出する。