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平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第48回
第11章 プロセス改善の七つの大罪の克服
-誤りは死傷者として償われます、そして、軍隊は
指揮官のどんな大失敗も見逃しません。
– Dwight David Eisenhower
生産性が70年代の流行語であり、品質が80年代の最新の話題であったように、90年代では今までのところプロセスが皆が口にする言葉です。
過去5年の間に、すべての規模とあらゆる産業に所属する会社は、製品開発、注文遂行、計画、配送、請求、雇用、顧客サービスなどの業務プロセスを改善する必要があると気付くようになりました。みんな、「プロセス改善」、「プロセス再構築」又は「プロセスリエンジニアリング」を行っているか、もしくは少なくとも検討はしています。
他のパフォーマンス改善活動(例えば、TQM、自主管理活動チーム、在庫のジャストインタイム)同様、ほとんどの組織が活動の成果を、コスト削減、品質改善、及びサイクルタイムの短縮に向けることができます。しかし、ステーキ以上にジュージューと焼く音の方がずっと大きく、出した結果以上の活動を要しました。
我々の経験では、プロセス改善の投資に関して可能性のある効果を出し切れないのは、我々が7つの大罪と呼ぶもののいくつかが原因に因っています。
注意: 本章は、Aran P.BracheとDow Chemical社の会長とCEOであるFrank Popoffによって共同執筆された雑誌「Chief Executive」の1994年6月号に掲載された「プロセス改善の7つの大罪」として著されたものです。それは、Chief Executive出版社の雑誌「Chief Executive」©1994の許可のもとここに掲載します。出版社住所、733Third A venue、21stFloor、New York NY 10017。 不許複製。章の相互参照は、読者がこの本の他の章との関連を分かるように加えたものです。
大罪1:プロセス改善が、事業が直面する戦略的課題に連動していない。
食品業界のある会社は、70の組織横断型プロセス改善チームを自慢しています。結果に関して尋ねられると、経営者は「カルチャーチェンジ」と「権限委譲」に関してあいまいなことを言います。
疑いなく、立派な取り組みでしょうが、株主価値は上がっているのでしょうか?
エンジニアリング複合企業の数十の事業体の殆どが、プロセスを文書化していました。どのようにこれらの「マップ」を使用したか尋ねられると、実は「マップ」を使っていないと認めます。
あまりに多くのプロセス改善チームが、重要課題に集中していないか、又は組織全体の優先事項リストでは高くない自ら選んだ「手近な裏庭」(しばしば部門内の)課題を検討するために召集されています。我々は、「QCサークル」の時代に、電子レンジの位置と壁の色は殆ど事業の結果に影響を与えないことを学びました。
プロセス改善プロジェクトは、利益性、市場でのシェア、法規制の遵守、安全、又は顧客満足などのような、組織にとって重要な課題によって動かされるべきです。また、プロセス改善プロジェクトは、(35%から38%へシェアを増やすとか、保証クレームを販売の3%以下とするとか、購入品のコストを4000万ドル削減するとか、製品の開発導入期間を6カ月に短縮するような、)測定できる目標に連動させるべきです。これらの例のように、ほとんどの重要経営課題は、組織横断的なプロセスに取り組むことを要求します。
我々の経験では、測定可能な戦略的課題によって動かされていないプロセス改善活動は、トップマネジメントと実務者チームのサポートを失ってしまいます。「世界最強の競合企業になれ」とか、「効率を改善せよ」とか、「企業文化を変えなさい」は、賞賛すべきビジョンではあるが、改善に向けての焦点を与えていません。チームの数とフローチャートの数は、成功の評価指標であるべきではありません。
プロセス改善の投資からの最大の見返りは、戦略を実施するためのツールとしてプロセス改善を使用することから生まれます。CEO(最高経営責任者)は、対象を絞った賢明な戦略を確実に実施させなければなりません。同様にCEO(最高経営責任者)は、核となるプロセスが、重要成功要因(第10章参照)及び組織と戦略的ビジョン達成の間にある課題に対応するようなプロセス改善プランの立案を確実にしなければなりません。良い計画がそうである様に、プロセス改善プランは活動項目、名前、及び期限を含むべきです。
もしプロセス改善活動を事業が直面している戦略及び重要課題に連動させていないなら、多くの成果は期待できません。(第10章で説明したフェーズ0を堅実に実施すれば、この罪を避けるのに役立ちます。)