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第50回
下記報告書は2005年5月にコロンビアのカルタヘナで行われたTC176/SC2会議の様子を記しています。
カルタヘナでは故住本さんのホテルが角部屋で10階位の高さからカリブ海がきれいに眺望できたことをよく覚えています。
ISO/TC176国内委員会委員SC2エキスパート
平林良人
1. はじめに
ISO9001/SC2/WG18 TG1.16は、2005年5月2日~6日の5日間コロンビアのカルタヘナで開催された。そのtaskは、ISO9001:2000規格の追補(amendment)の設計仕様書を作成することであった。ISO9001:2000規格の追補版の発行は2008年を目標にしているが、投票に向けて設計仕様書案を作成するのが、今回TG1.16のカルタヘナ会議の目的である。
今回の会議には15ヶ国、26名を超えるエキスパートが出席した。日本からは平林が登録メンバーとして出席した。
今後の予定は次の通りである。
- 2005/05/末 設計仕様書案完成
- 2005/06/01~08/31 3ヶ月投票
- 2006/07 CD投票へ
- 2007/01 DIS投票へ
- 2008/01 FDIS投票へ
- 2008/年内 IS発行
2. 設計仕様書案
TG1.16に与えられた課題は、ISO Guide 72:2001(マネジメントシステム規格作成のガイド)の要求事項に沿って、設計仕様書を作成することである。今回の設計仕様書は、Justification study からのアウトプットを規格作成要求事項に翻訳するものである。
TC176ブカレスト、クアランプール総会の議論とSystematic reviewを通じて、今回の修正は「限定的」なものにすべきであるとされている。
(1) 使用者のニーズと影響利便評価
Justification studyは使用者のニーズとして次のものを上げている。
- Systematic review:2003~2004に実施されたISO9001:2000に関するもの(N676R)
- ISO/TC176/WG 規格解釈グループからのフィードバック(N683)
- ISO/TC176/SC2/WG18で世界的に広くISO9001と9004実施したユーザーフィード調査(N681)
ISO TC176 SC2 N307で作られたISO9001:2000のオリジナル設計仕様書は、使用者と使用者のニーズを明確にしているが、これを採用する。
Justification studyでは、ISO TC176 /TC207 JCGからのアウトプットにおいて使用者ニーズとして優先度高いと指摘されている両立性を重要視する(セクション4.0両立性)。
Systematic reviewからのコメントは吟味され、この設計仕様書の作成に考慮される。
世界的に広く集められた個々のコメント(約1,400件)、各国調査からのコメントは第一次分析の後採用される(セクション8.0)
Justification study では、ISO9001の修正は使用者への影響を考慮して最小のものにすべきであるとされているが、利便性向上との関係について潜在する使用者の影響を評価するツールをAnnexBで与えている(マトリックス表)。
(2) 日本のシステマチックレビューでの報告
- 1)ISO 9001:2000 規格の移行が終了してまもなく大きな変更をすることは適切ではない。
- 2)しかし、過去3年間の活動を通じて、規格の正しい理解のためにはより明確にした方がよい幾つかのポイントが存在することも事実である。
- 3)したがって、要求事項を変更することなく、規格の誤解を避ける幾つかの変更を提案したい。例えば、次のような変更である。
- ①規格の整合性を高めるために順序を変える。
「8.2.4 製品の監視及び測定」と「8.3 不適合製品の管理」の2つの項は、8章から7章へ移動する。 - ②概念の明確化
- a)プロセスアプローチについて (0.2):
PDCA サイクルとの関係を明確にする。マネジメントシステムは、管理、製品実現(主要プロセス)そして支援活動(支援プロセス)からなる。 - b)アウトソースはガイダンス文書N544R2の内容を反映させる。
- ③要求事項の明確化
- a)製品の Note(1.1 Scope, General)
”product”に続いて‘where used independently’という言葉を挿入する。 ‘purchased product’ とは、顧客に提供されるものだけを意味すると考える誤解を避けるため。 - b)品質マネジメントシステムの計画 (5.4.2 a)
4.1に規定するQMSに合致する計画とは何か、品質目標に合致する計画とは何かを明確にする。 - c)内部コミュニケーション (5.5.3)
“appropriate communication processes”を “appropriate communication activities”に変更する。 - ④他の規格との整合性
- a) 内部監査 (8.2.2):
ISO 19011規格との整合性のために、“objectivity and impartiality”を “independence”に変更する。
(3) 規格執筆者への推奨事項
POTG(Planning and Operation Task Group)からのアドバイスによって、多くあるインプット文書の中から、TG1.16として推奨する項目を以下のように纏めた。しかし執筆者は、一覧表にある推奨事項以外の追補事項を所定の確認プロセスを経て提案することができる。
3. 今後の予定
- (1) 5月31日までに設計計画書案を完成させる。
- (2) 6月1日から3ヶ月投票により設計計画書の承認を得る。
- (3) 10月17日~始まるISO/TC176の総会(パナマを予定)におけるTG活動により具体的なISO9001:2008規格の草案作りに入る。
以上