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「平林良人の部屋」では昨年「私とマネジメントシステムそしてISO」を50回まで連載しました。この50回(2005年カルタヘナ会議)を一区切りにいったん中断し、今回からは「内部監査の実践」に戻りたいと思います。「内部監査の実践」17回(2021年4月16日)では、A社のB事業本部のQMSをISO9001:2015に沿って、具体的にどのように監査するかを、実例を中心に説明するとしていました。
その際、内部監査とマネジメントレビューに関する質問100選2019.11.1」
(https://www.technofer.co.jp/iso/mr-qa100-01/)、及び
「ISO 19011に準拠した内部監査に関する質問50選」を随時参考にするとも記しました。
(https://www.technofer.co.jp/iso/hirabayashi-room/)
前回(17回)では、A社品質マニュアルに記載されている「設計審査標準 KDR105」を内部監査対象標準書として取り上げました。
【設計審査標準 KDR105】については17回をご覧になってください。
内部監査では被監査部署へ行く前に監査で関係すると思われる規定文書を特定して、事前に規定文書を読み込んで、監査するポイントを絞ります。この作業は一人で行うのではなく内部監査チーム全員で行います。一人で行うよりポイントの洗い出しがより効果的にできます。
まず、目的を把握します。
(目的)第1条 この標準は、「品質マニュアル」で定められた設計審査(以下「DR」という)活動の基本を定めることを目的とする。
次に設計審査が規定に沿って行われていることを確認するには「何を確認するべきか」をメンバーで検討します。
(DRの対象)
第4条 DR活動は新製品またはこれに類する製品とし、主に以下に示す製品をいう。
① 新規に設計する製品
② 従来製品の仕様を変更する製品
DR対象範囲はその性格、新規性等を考慮して重要なものを的確に選定する。
設計部長は以上のことを考慮してDR対象製品とその範囲を決定する。
●チェックポイント1
DR対象製品は第4条どおり行っているか? →過去3年間に行われたDR議事録を見させてもらう。
(委員)
第8条 DR委員長は各部門から、必要な専門知識・経験を有する適切な委員を選出・任命するものとする。必要な場合、社外からの委員を選出・任命する。
●チェックポイント2
「必要な専門知識・経験を有する適切な委員を選出・任命する」とあるが、どんな基準で選出・任命しているのか? →必要な専門知識・経験を有する適切な委員の基準を聞く。
(技術的評価)
第10条 DR委員会は検討課題抽出の場とする。課題抽出後の次の検討は設計部が行い効率的な運用を図る。
・指摘事項は正しいか
・設計変更は必要か
・技術的に妥当か
② 指摘事項については、以後の設計及び製造工程に影響を及ぼさないように適切な時期までに評価を完了する。
●チェックポイント3
「課題抽出後の次の検討は設計部が行い効率的な運用を図る」とあるが;
・指摘事項は正しいか
・設計変更は必要か
・技術的に妥当か
はどの程度検討を行っているか? →議事録を見せてもらう。DRを行った製品の市場での評価を確認する。
市場で問題が出ているとしたらどんな問題か。その問題とDRの検討とに関係はあるのか、無いのか。
(フォローアップ)
第14条 設計部は、DR委員会で指摘された事項について、担当設計部門の採否を踏まえ、その具体的対策が設計に反映されたか否かを確認し委員長に報告する。品質管理部は、DR活動の実施状況を確認する。
●チェックポイント4
「具体的対策が設計に反映されたか否かを確認し」とあるが、どの程度確認しているのか? →議事録あるいは業務記録を見せてもらう。
(つづく)