044-246-0910
平林良人「品質マニュアルの作り方1994年対応版」アーカイブ 第33回
このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。今回は「品質マニュアルの作り方1994年対応版」全200ページです。
先に1987年版対応の「品質マニュアルの作り方」をお届けしましたが、今回はISO規格の改訂に伴い、全面的に1994年版規格に合わせた内容に更新したアーカイブです。
4.13.1 一般
- 会社は,使用に適合しない部品および製品を管理する手順を維持する。この手順書には,不適合品が認可なしに使用されたり,出荷されたり,適合品と混入したりすることを避けるための,識別についての規定が記述されている。
- 不適合品は,定期的に開催される品質会議において,定期的に見直しされる。
4.13.2 不適合品の内容確認及び処置
- 工場は,不適合品について次のいずれかの処置をとる。
- ①再加工
- ②特別採用
- ③再格付け
- ④廃棄
- 工場は,再加工した製品については必ず再検査を実施する。
是正処置と予防処置についてその目的と手順,実施部門について述べている。
4.14.1 一般
- 品質保証部は,検査結果,製品監査,再加工,廃棄などの記録を,すべて保管,維持する。
これらの記録は,統計的手法を用いて分析され,欠陥または不適合の識別のために活用される。
4.14.2 是正処置
- 品質保証部は,製品の不適合原因を調査し,迅速な是正処置をとる。また品質システムの改善を必要とする場合は,直ちに実施する。
- 是正処置の活動は,会社内のすべての部門で行われると同時に,必要な場合には,外注会社においても実行され,その形態は,手順書,工程,設計,材料および管理の改善という形をとる。
4.14.3 予防処置
- 是正活動の効果と永続性についてはよく考慮されなければならない。
是正活動を必要とする場合,それを実行する責任部門は,- ① その欠陥が存在した部門,
- ② その欠陥を生む原因となった部門,
- ③ その欠陥システムの存在している部門,
の3つの部門になる。
- 上記3部門は以下の予防処置を実施する。
- ① 不適合の潜在的原因を調査,解析する。
- ② 解析された原因を除去する。
物品の取扱い,保管,包装,保存および引渡しに関するシステムについてポイントを述べている。
4.15.1 一般
- 会社は,製品品質を作り込む努力を,製品の取扱い,保管,包装,保存および引渡しに至るまで実施する。後工程のちょっとしたミスによって,せっかく作り込んだ品質を台無しにすることほど,従業員の士気を減じるものはない。
4.15.2 取扱い
- 技術部は,正しい製品の取扱いのために,製品の受け取りから完成品を顧客にひきわたすまでの,製品の移動にあたって適切な取扱い方法を手順書に規定する。
4.15.3 保管
- 会社は,製品の保管のために,安全性,保存期間,移動性を考慮した適切な保管場所を設定する。
- 壊れやすいもの,温度・湿度管理を必要とするものは,それぞれ個別の保管場所で保管される。
- 保管期間のあらかじめ判明している製品は最小限の期間保管され,「先入れ先出し」のシステムで管理される。
4.15.4 包装
- 技術部は,製品の仕向け先ごとに適切な包装を実施するための標準書を制定する。
- 会社の包装に関する標準書には,ラベルの添付,同包書類などに関する記述も含まれており,顧客の規定要求事項に適合するよう文書化されている。
4.15.5 保存
- 会社は,保存期間および保存状態によって,製品品質が劣化しないように保存手順書に従い製品の保存を実施するとともに,定期的に製品の保存状態を確認する。
4.15.6 引渡し
- 会社は,出荷した製品が顧客に引き渡されるまで,会社の敷地内にあるときと同じ考え方で製品の品質保証を実施する。
- 製品の引渡しにあたっては,適切な手段によって顧客の正しい住所まで届けられるだけでなく,取扱い,包装および識別が正しく実行されることが重要である。
条項4.16 品質記録の管理
品質記録の中身を定義し,かつ品質記録に関する基本事項を述べている。
- 会社は,品質システムの有効性を実証するために,経営管理の実証記録を保管する。
その実証記録とは次のようなものをいう。 - ① 検査および試験装置の校正記録。
- ② 内部監査記録およびシステム見直し記録。
- ③ 欠陥および誤データの分析記録。
- ④ 修正,再加工,廃棄,特別採用の記録。
- ⑤ 顧客クレーム記録。
- ⑥ 是正処置記録。
- ⑦ 技術データおよびシステムの変更記録。
- ⑧ 外注会社認可の記録。
- ⑨ 顧客注文書の控え。
- ⑩ 購買注文書。
- ⑪ 試験および出荷証明書。
- ⑫ 従業員評価と教育・訓練の記録。
- 新たに外注会社を認可する場合,会社は,有効な品質記録の提出を外注会社に要請する。
- 会社は,外注会社の記録を含め,すべての品質記録は,読みやすく,保存性がよく,移動性に優れた保管がなされていることを保証する。
- 会社は,品質記録を3年間保管する。
顧客が,契約において,より長期の保管を要望した場合には,会社は特別の手配をする。
条項4.17 内部品質監査
年間内部品質監査計画を作成し,すべての部門が順番に年2回の監査を受けるようスケジュールを組んでいる。監査は,たとえば2部門ずつといったように毎月行われる。
- 会社は,文書化された品質システムが正しく運用されているかどうかを確認するために,年間の計画にそって,内部品質監査を実施する。
- ① 会社は,すべての部門が,1年に2回の監査を受けるよう年間計画を策定している。この監査は,便宜主義的に実施されるのではなく,日常の業務として,ごく当り前に実施されることが望ましい。
- ② 内部品質監査は,その部署の直接責任者からは独立した,十分に訓練を受けた監査員によって実行される。
- ③ 品質保証部は,内部品質監査の推進責任者として全体計画を策定する。
- 内部品質監査によって発見された事項は,被監査部門の責任者に報告される。
- ① 責任者は,その課題を明確にして,是正処置をとる。
- ② すべての不適合事項と是正処置は記録され,経営会議に回覧される。
条項4.18 教育・訓練
会社の品質目標達成のために不可欠な教育・訓練について述べている。
- 会社は,品質に影響を与えるすべての従業員が,その担当する職務に十分な能力を有する教育訓練を実施する。
- すべての従業員は,会社の就業規則や品質システムなどを含む教育訓練を受けなければならない。
- 人事・総務部は,組織変更に伴う教育訓練の追加の必要性について見直しを行い,順次実施にうつす。
- 人事・総務部は,安全試験などのように,訓練の証明が必要な資格には資格書を発行し,その記録を保管,維持する。
- すべての従業員の教育訓練は記録される。
会社内で活用されている統計的手法について述べている。
4.20.1 必要性の明確化
- 会社は,当社の品質を顧客の要求事項に適合させるために,最小の努力と最小の消費によって目標を達成するために,統計的手法を活用する。
統計的手法として,抜取検査と工程管理図を活用する。
4.20.2 手順
- 会社は,抜取検査にはMIL STD 105 Eのサンプリング・プランを用いて実施するが,必要な場合には顧客とのあいだで合意されたAQLを使用して実施する。抜取検査手法を活用しようとするもの全員に,この抜取検査計画と指示書が活用される。
- 契約でうたわれている場合,製造を開始するまえに,製造における重要特性とその要因の監視について,顧客とのあいだで同意を得る。
- 品質保証部は,統計的手法について,課長,主任,担当者ごとに階層別の統計的手法の教育訓練を実施する。