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前回から、A社【計測器類管理標準 KQM117】に基づいた「二八(にっぱち)監査」※を採用した内部監査実践例を説明しています。
※ 二八(にっぱち)監査:ナラティブ内部監査の一方式で、内部監査員は2割の時間を使って聞く、被監査者は8割の時間を使って答える監査方式。正式には「被監査者による適合証明監査」と呼び、被監査者が「自分の仕事がルールに適合していることをエビデンスによって証明する」監査方式をいう。二八とは、内部監査員は2割くらいの時間しか質問に使わず、残り8割の時間は被監査者が適合性証明のために使うことからこう呼んでいる。
≪前回まで≫
- (被監査者)
- はい、いままでに検出した問題について続けさせていただきます。検出した次の問題は、計測器の管理状態が悪いという問題です。使用職場の管理者から注意、周知をしていただきたいと思いますが、使用したら元の場所に戻すという事が徹底されていません。また油で汚れています。計測器に貼られている校正期限を示すラベルも剥がれています。
≪今回≫
- (内部監査員)
- 整理整頓は多くの職場で問題になっていますね。これについても記録しておきます。
他にもありますか。 - (被監査者)
- はい、あります。
これは技術的な問題と管理的な問題の二つが関係していて、私が把握している問題で一番力を注いでいかなければならない問題だと思っています。
当社には総台数82台の各種計測機器があります。種類ごとの台数は「測定器管理台帳」を見てください。
購入価格の一番高いものは三次元測定機ですが、自動形状認識装置、圧力計、はかりなどがそれに続きます。購入価格とは必ずしも比例しませんが、精度を維持するための「校正」については、複雑で高精度な機能が求められる機器には定期的に外部校正機関にキャリブレーションをお願いしています。
問題は2,3年に一度校正外れが出ることです。校正外れとは、必要とされる精度で測定が出来ていないことを示します。この校正外れが出ると次のアクションを取ることが規定で決められています。- ① 該当する機器で測定した製品の品質を確認する。
- ② 以前構成した時点から校正外れが発見された期間の間で何時から精度の保証が出来ていないかを推定する。
- ③ ①で確認した品質の悪さ加減によって、②で推定した時点からの製品をリコールする。
私が担当になってから校正外れになったことが3回あります。しかし、①~③のアクションを取ったことは一回もありません。
- (内部監査員)
- それは指摘事項として記録しておきたいと思います。
(つづく)