平林良人「2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方」アーカイブ 第13回

◆このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。
今回は「2000年版対応ISO9000品質マニュアルの作り方」です。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.3 設計・開発

7.3.1 設計・開発の計画

  • (1)組織は,製品の設計と・開発を:
    • 策定する。
    • 管理する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が製品の設計・開発を策定し,管理するのかを決め,記述する。策定し,管理するための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2) 設計・開発において,組織は次の事項を明確にする。
  • a) 設計・開発の段階。
  • b) 設計・開発の各段階に適した:
    • レビュー。
    • 検証。
    • 妥当性確認
  • c) 設計・開発に関する責任及び権限。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • a)~c)を明確に計画的に織り込む。そのために7.3.1項の(1)で定めた帳票を活用するとよい。
    • “a)~c)を明確にする”ことは品質マニュアルに記述しなくてもよい(帳票をみればわかる)。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3)組織は,効果的なコミュニケーションと責任の明確な割り当てとを確実にするために,設計・開発に関与するグループ間のインタフェースを運営管理する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • グループ間のインタフェースを運営管理するために,何を行うのか記述する。
    • どのような活動項目について,どの部門が絡んでくるのかを明確にし,かつどのような内容についてインタフェースを管理するのかを記述する。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (4) 設計・開発の進行に応じて,策定した計画を適宜更新する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 帳票の改訂を行う方法を記述する。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.3.2 設計・開発へのインプット

  • (1)製品要求に関連するインプットを:
    • 明確にする。
    • 記録を維持する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰がインプットを明確にし,記録を維持するのかを決め,記述する。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2) インプットには次のような事項を含める。
    • a) 機能及び性能に関する要求事項。
    • b) 適用される法令・規制要求事項。
    • c) 適用可能な場合は,以前に類似した設計から得られた情報。
    • d) 設計・開発に不可欠なその他の要求事項。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • “a)~d)を含める”ことは品質マニュアルに記述しなくてもよい。
      しかし,インプット事項を明確にするために,規格要求事項の表現を使用して記述してもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3) これらのインプットについては,その適正をレビューする。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • レビューの方法を記述する。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (4)要求事項は,漏れなく,あいまい(曖昧)ではなく,かつ,相反することがない。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • この部分がレビューの中身に相当するならば,レビューの時にこれらの要求事項を満たすために,誰がどのような役割でレビューするか,を具体的に記述するのがよい。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.3.3 設計・開発からのアウトプット

  • (1) 設計・開発からのアウトプットは,設計・開発へのインプットと対比した検証ができるような様式で提示されている。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰がアウトプットを検証できる様式で提示するかを決め,記述する。検証できる様式である帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2) 次の段階に進める前に承認を受ける。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰から承認を受けるのかを決め,記述する。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3)設計・開発からのアウトプットは次の状態であること。
  • a) 設計・開発へのインプットで与えられた要求事項を満たす。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 規格要求事項のような状態にするために,誰が何を行うのかを決め,記述する。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • b) 購買,製造及びサービス提供に対して適切な情報を提供する。
  • c)  製品の合否判定基準を含むか又はそれを参照している。
  • d) 安全な使用及び適正な使用に不可欠な製品の特性を明確にする。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • a)7.3.3.項の(1)の帳票のアウトプットと,7.3.2項の(1)の帳票に記述されたインプットと比較する。
    • b)アウトプットとして,購買,製造及びサービス提供に対する適切な情報とは何かが決められ,提供されているか確認する。7.3.3項の(1)の帳票を活用する。
    • c)アウトプットには,製品の合否判定基準が含まれているか,または参照されているか確認する。7.3.3項の(1)の帳票を活用する。
    • d)アウトプットには,安全な使用及び適正な使用に不可欠な製品の特性が明記されているか確認する。7.3.3項の(1)の帳票を活用する。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.3.4 設計・開発レビュー

  • (1)設計・開発の適切な段階において,次の事項を目的として,計画された通りの体系的なレビューを行う。
    • a) 設計・開発の結果が要求事項を満たせるかどうかを評価する。
    • b) ・問題を明確にする。
    • c) ・必要な処置を提案する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰がレビューを行うかを決め,記述する。レビューのための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
    • “a)~b)の目的”は品質マニュアルに記述しなくてもよい(帳票をみればわかる)。しかし,明確にするために規格要求事項の表現を使用して記述してもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)レビューへの参加者として,レビューの対象となっている設計・開発段階に関連する部門の代表が含まれている。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • レビューへの参加者には,設計・開発段階に関連する部門のどんな人がいるか書く。
      そのための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3)このレビューの結果の記録及び必要な処置があればその記録を維持する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 「4.2.4 記録の管理」の一覧に示す。一覧には,誰が記録をとり,誰が承認するのかが示されていることがよい。記録のフォーマットを品質マニュアルの付録に付けるとよい。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.3.5 設計・開発の検証

  • (1)設計・開発からのアウトプットが設計・開発へのインプットで与えられている要求事項を満たしていることを確実にするために,計画された通りに検証を実施する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が検証を実施するのかを決め,記述する。検証のための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)この検証の結果の記録及び必要な処置があればその記録を維持する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 「4.2.4記録の管理」の一覧に示す。一覧には,誰が記録をとり,誰が承認するのかが示されていることがよい。記録のフォーマットを品質マニュアルの付録に付けるとよい。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.3.6 設計・開発の妥当性確認

  • (1) 結果として得られる製品が,指定された用途又は意図された用途に応じた要求事項を満たして得ることを確実にするために,計画した方法に従って設計・開発の妥当性確認を実施する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰がどんな妥当性確認を実施するのかを決め,記述する。実施するための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)実施可能な場合にはいつでも,製品の引き渡し又は提供前に,妥当性確認を完了する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 7.3.6項の(1)の帳票に妥当性確認の完了欄を設けておく。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3)妥当性確認の結果の記録及び必要な処置があればその記録を維持する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 「4.2.4 記録の管理」の一覧に示す。一覧には,誰が記録をとり,誰が承認するのかが示されていることがよい。記録のフォーマットを品質マニュアルの付録に付けるとよい。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.3.7 設計・開発の変更管理

  • (1)・設計・開発の変更を明確にする。
  • (2)・記録を維持する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が設計・開発の変更を明確にし,記録を維持するのかを決め,記述する。そのための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)・変更に対して,レビュー,検証および妥当性確認を適宜行う。
      変更を実施する前に承認する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が変更のレビュー,検証および妥当性確認を必要に応じて行うかを決め,記述する。そのための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。7.3.7項の(1)の帳票と同じでも良い。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3) 設計・開発の変更のレビューには,その変更が,製品を構成する要素及び既に引き渡されている製品に及ぼす影響の評価を含める。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 7.3.7項の(1)の帳票の中に,製品を構成する要素及び引き渡される製品に及ぼす影響の評価の欄を設けておく
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (4)変更のレビューの結果の記録及び必要な処置があればその記録を維持する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 「4.2.4 記録の管理」の一覧に示す。一覧には,誰かが記録をとり,誰が承認するのかが示されていることがよい。記録のフォーマットを品質マニュアルの付録に付けるとよい。