平林良人「2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方」アーカイブ 第14回

◆このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。今回は「2000年版対応ISO9000品質マニュアルの作り方」です。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.4 購買
7.4.1 購買プロセス

  • (1) 組織は,規定された購買要求事項に,購買製品が適合することを確実にする。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が購買製品が適合することを確実にするのかを決め,記述する。そのための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)・供給者及び購買した製品に対する管理の方法と程度は,購買製品が,そのあとの製品実現のプロセスに及ぼす影響に応じて定める。
  •   ・又は,最終製品に及ぼす影響に応じて定める。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • どういう製品どういう供給者に,それぞれどんな管理の方式と程度を当てはめるのか,の要求を記述する。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3)組織は,供給者が組織の要求事項に従って製品を供給する能力を判断の根拠として,供給者を:
    • 評価する。
    • 選定する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が供給者を評価し,選定するのかを決め,記述する。評価し,選定するための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (4)選定,評価及び再評価の基準を定める。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 7.4.1項の(3)の帳票には,選定,評価及び再評価の基準欄を設ける。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (5)評価の結果の記録及び評価によって必要とされた処置があればその記録を維持する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 「4.2.4記録の管理」の一覧に示す。一覧には,誰が記録をとり,誰が承認するのかが示されていることがよい。記録のフォーマットを品質マニュアルの付録に付けるとよい。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.4.2 購買情報

  • (1)購買情報では購買製品に関する情報を明確にし,必要な場合には,次の事項のうち該当する事項を含める。
    • a) 製品,手順,プロセス及び設備の承認に関する要求事項。
    • b) 要員の適正確認に関する要求事項。
    • c) 品質マネジメントシステムに関する要求事項。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が何を買うのかの区分を記述し,a)~c)に関する情報を明確にするのはだれかを決め,記述する。明確にするための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
    • “a)~c)を含める”ことは品質マニュアルに記述しなくてもよい。しかし,明確にするために記述してもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)組織は,供給者に伝達する前に,規定した購買要求事項が妥当であることを確実にする。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 7.4.2 項の(1)の帳票には,妥当であることの欄を設ける。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.4.3 購買製品の検証

  • (1) 組織は,購買製品が,規定した購買要求事項を満たしていることを確実にするために,必要な検査又はその他の活動を:
    • 定める
    • 実施する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が検査またはその他の活動を定め,実施するのかを決め,記述する。活動を定めるための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
    • “定め,実施する”ことは品質マニュアルに記述しなくてもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2) 組織又はその顧客が,供給先で検証を実施することにした場合:
  • 組織は,その検証の容量を購買情報の中に明確にする。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が明記するのかを決め,記述する。明記するための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • また,購買製品のリリース(出荷許可)の方法を購買情報の中に明確にする。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.5 製造及びサービス提供

7.5.1 製造及びサービス提供の管理

  • (1)組織は,管理された状態で製造及びサービス提供を:
    • 計画する。
    • 実行する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が管理された状態で製造及びサービス提供を計画し,実行するのかを決め,記述する。
    • 計画するために帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2) 管理された状態には,該当する次の状態を含む。
    • a) 製品の特性を述べた情報が利用できる。
    • b) 必要に応じて,作業手順が利用できる。
    • c) 適切な設備を使用している。
    • d) 監視及び測定の機器が利用でき,使用している。
    • e) 規定された監視及び測定が実施されている。
    • f) リリース(次工程への引き渡し),顧客への引き渡し及び引渡し後の活動の規定された通りに実施されている。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰がa)~f)を,何をして管理された状態にするのかを決め,記述する。
    • 管理された状態のための帳票を,品質マニュアルの付録に付ける。7.5.1項の(1)の帳票と同じものでもよい。
    • “a)~f)を含む”ことは品質マニュアルに記述しなくてもよい。
    • 計画段階で定めたものがあり(「7.1品質計画書」に相当するもの),それに従うことが管理された状態になるのなら,品質計画書を引用した管理をする,と記述してもよい。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.5.2 製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認

  • (1)製造及びサービス提供の過程で結果として生じるアウトプットが,それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な場合には,組織は,その製造及びサービス提供の該当するプロセスの妥当性確認を行う。
  • これらのプロセスには,製品が使用され,又はサービスが提供されてからでしか不具合が顕在化しないようなプロセスが含まれる。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が該当するプロセスの妥当性確認を行うのかを決め,記述する。妥当性確認するための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
    • “製品が使用され,又はサービスが提供されてからでしか不具合が顕在化しないようなプロセスが含まれる”については,そうなっていればよく,品質マニュアルに記述しなくてもよい。しかし,状況を明確にするために記述してもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)妥当性確認よって,これらのプロセスが計画どおり結果を出せることを実証する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • いわゆる特殊工程に該当するプロセスに何があるのかを記述する。
    • そのプロセスをどのように管理するのかの具体的な方法を記述する。
    • 誰が実証するのかを決め,記述する。実証するための帳票を品質マニュアルの付録に付ける。7.5.2項の(1)の帳票と同じものでもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3)組織は,これらのプロセスについて,次の事項のうち適用できるものを含んだ手続きを確立する。
    • a) プロセスのレビュー及び承認のための明確な基準。
    • b) 設備の承認及び要員の適格性確認。
    • c) 所定の方法及び手順の適用。
    • d) 記録に関する要求事項。
    • e) 妥当性の再認識。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰がa)~e)を含んだ手続きを確立するのかを決め,記述する。確立するための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。7.5.2項の(1)の帳票と同じものでもよい。
    • “a)~e)を含む手続きを確立する”ことは品質マニュアルに記述しなくてもよい(帳票をみればわかる)。明確にするために記述するならばそれはそれでよい。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.5.3 識別及びトレーサビリティ

  • (1)必要な場合には,組織は,製品実現の全過程において適切な手段で製品を識別する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が適切な手段で製品を識別するのかを決め,記述する。識別するための帳票を品質マニュアルの付録付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)組織は,監視及び測定の要求事項に関連して,製品の状態を識別する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 未検査品,検査済み適合品,検査済み不適合品は混在しやすいが,誰が何をして識別するか決めて,記述する。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3)トレーサビリティが要求事項となっている場合には,組織は,製品について固有の識別を:
    • 管理する。
    • 記録する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が,どの製品のどこのプロセスで固有の識別をつけて管理し,記録するのかを決め,記述する。管理するための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
    • 「4.2.4 記録の管理」の一覧に示す。記録のフォーマットを品質マニュアルの付録に付けるとよい。