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■中国への対応

(方針)
中国はGDP世界第2位の経済大国であり、日本と緊密な経済関係を有する重要な隣国でもある。その上で日中関係については岸田総理から、2022年1月の施政方針演説で、「中国には、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めていきます。同時に、諸懸案も含めて、対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力し、本年が日中国交正常化五十周年であることも念頭に、建設的かつ安定的な関係の構築を目指します。」と発言している。

経済産業省は、中国に対して、ビジネス環境整備の要請とビジネス協力の具体化の両輪で政策を展開している。具体的には、輸出管理法・データ関連規制といった国内法制度の予見可能性向上や外商投資規制の緩和等を通じた公正・公平な競争環境の実現を求めるとともに、省エネ環境分野や介護サービス分野等の日中が共通の課題を抱える分野での協力強化に向けた取組も行っている。

(主な進捗)
エネルギー分野では、2021年11月26日に、経済産業省と中国国家発展改革委員会で「第1回脱炭素化実現に向けた日中政策対話」を開催した。日本側からは「第6次エネルギー基本計画」について、中国側からは「2030年までのカーボンピークアウトにおける行動方案」等を紹介し、相互に関心のある分野の取組について意見交換を行うとともに、本政策対話を今後も定期的に開催することを合意した。2021年12月26日には、経済産業省、一般財団法人日中経済協会、中国国家発展改革委員会及び商務部、中国駐日本国大使館の共催で、日中のエネルギー・環境分野の協力プラットフォームである「第15回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催した。新型コロナウイルスの影響により、2020年と同様に東京と北京を繋いだオンラインでの開催となり、日本側からは、萩生田経済産業大臣、山口環境大臣、宗岡日中経済協会会長ほか、中国側からは、何立峰国家発展改革委員会主任、任鴻斌商務部副部長、孔鉉佑中国駐日本国特命全権大使ほか、約700名の官民関係者が参加した。全体会合では、萩生田経済産業大臣から、今回のフォーラムの重点として、「カーボンニュートラルを目指す多様な道筋と日中の協力」を挙げ、日本のカーボンニュートラルの実現に向けた取組について紹介するとともに、円滑なエネルギートランジションの推進といった両国共通の課題解決に向けた日中の連携の必要性について述べた。また、省エネ分野と水素分野における日中協力の具体例について紹介し、更なる協力拡大への期待を表明した。

また、フォーラムでは、エネルギー・環境分野での日中企業間の協力案件が新たに11件創出され、2006年の第1回フォーラムからの累計案件数は413件となった。全体会合に続いて、「エネルギー効率の向上(省エネ)」、「自動車の電動化・スマート化」、「水素・クリーン電力分科会」、「日中長期貿易(水環境対応と汚泥処理)」の4つの分科会を開催し、日中双方の政府部門・主要企業等が意見交換を行った。さらに、フォーラムの同日、萩生田経済産業大臣と何立峰国家発展改革委員会主任との間でバイ会談を行い、日中の政府間での脱炭素に関する協力の重要性を確認するとともに、政策対話を加速化させることについて議論した。加えて、両国の経済政策全般について意見交換を行った。

コンテンツ分野では、2021年10月27日に、「第14回日中韓文化コンテンツ産業フォーラム」をオンライン形式で開催した。今回の会合では、ポストコロナ時代における三国の文化コンテンツ産業の新たな発展方向や直面する課題、発展を促進するために取り上げた新たな施策及び三国間の協力に向けての展望について議論した。また、日中韓の政府間による情報交換の促進、企業・業界団体間の交流促進をはかる支援プラットフォームの構築、プロジェクトとビジネス連携の奨励、デジタル文化コンテンツ産業協同インキュベーション・メカニズムの構築支援を行うことに合意した。

ヘルスケア分野では2021年12月21日に、経済産業省主催で日本への医療インバウンド推進を目的とした「日中医療渡航商談会」をオンライン形式で開催し、日本側から日本の受入医療機関の各特色や強みに関する情報発信や、日本側医療機関と中国側の医療渡航支援事業者とのマッチング支援を実施した。加えて、JETROと協力し、中国の上海市、天津市、江蘇省、広東省、四川省で「地方都市高齢者産業交流会」を実施し、日本の介護サービス・福祉用具の事業者と中国現地企業とのビジネスマッチングを行った。

知財分野では、2021年11月29日に特許庁と中国国家知識産権局(CNIPA)が「第28回日中特許庁長官会合」、同年11月30日に、韓国特許庁(KIPO)を加えた「第21回日中韓特許庁長官会合」をそれぞれオンライン形式で開催した。日中特許庁長官会合では、AI事例の比較研究を進めることを確認する等、日中の協力について議論するとともに、改訂日中協力覚書の署名を行った。また、日中韓特許庁長官会合では、三庁の口頭審理比較研究のとりまとめを確認する等、三庁間での協力について議論した。さらには、「コロナの情勢に直面した日中韓の知財政策と法律の最新の進捗状況について」をテーマとした日中韓特許庁シンポジウムをオンライン形式で開催し、日中韓の各庁担当者が講演を行った。

サービス産業分野では、2022年3月31日に、経済産業省、厚生労働省および中国商務部、教育部、中医薬管理局で「日中サービス貿易政策対話」を実施した。2018年に「サービス貿易協力強化に関する覚書」が締結されてから初の会談となる本政策対話では、日中双方のサービス産業の生産性向上に資する取組やサービス貿易・教育サービスの現状について情報交換等を行った。

(つづく)Y.H

(出典)経済産業省 通商白書2022
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2022/index.html