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■大洋州各国との関係
(1)オーストラリア
2021年7月15日、第3回日豪経済閣僚対話が開催され、これに合わせオーストラリアのティーハン貿易・観光・投資大臣が訪日した。梶山前経済産業大臣とティーハン大臣が対面で参加したほか、テイラーエネルギー・排出削減大臣がオンラインで参加した。閣僚対話では、CPTPP、RCEP、WTO、サプライチェーンの強靱化等についてともに取組み、インド太平洋地域において連携していくこと、及びアジア地域における現実的なエネルギートランジションに向けて協力していくことを確認した。2021年11月15日、萩生田経済産業大臣は、ティーハン貿易・観光・投資大臣とTV会談を行い、CPTPP、RCEP、WTO等の通商分野の連携について議論を行い、インド太平洋地域における諸課題の解決に向けて戦略的な連携をより一層強化していくことを確認した。
(2)ニュージーランド
2021年5月24日、梶山前経済産業大臣はニュージーランドのオコナー貿易・輸出振興大臣と会談を行い、戦略的パートナーである両国の連携を一層強化していくことを確認するとともに、2021年のAPEC議長であるニュージーランドへの支援、二国間関係・地域の諸課題について意見交換を行った。
(3)島嶼国
2021年11月24日、第9回太平洋・島サミット(PALM9)の関連行事として、第3回日本・太平洋島嶼国経済フォーラムがTV会議方式で開催され、石井副大臣が出席した。フォーラムにおいて、島嶼国側からは、日本企業に期待する貿易相手・投資先としての島嶼国の魅力が説明されるとともに、日本経済界からは島嶼国の問題解決等につながる技術等が紹介され、双方の交流が深まった。
(萩生田経済産業大臣の東南アジア出張)
萩生田経済産業大臣は、2021年1月9日から14日にかけて、各国の関係閣僚等の二国間会談等を行うため、インドネシア共和国、シンガポール共和国、タイ王国を訪問した。バイ会談と合わせ、現地企業等と意見交換を行ったほか、ASEAN各国との経済関係の深化に向けて、ポストコロナを見据えた日アジアの協力の方向性として、「アジア未来投資イニシアティブ(AJIF)」を現地で発表した。
1.インドネシアでの用務
インドネシアでは、アリフィンエネルギー鉱物資源大臣、ルトフィ商業大臣、アグス工業大臣、ルフット海洋・投資担当調整大臣及びアイルランガ経済担当調整大臣との会談を実施し、AJIFの考え方も踏まえた二国間経済関係の深化へ向けた取組や、エネルギー・トランジション等について幅広く議論を行った。また、リムASEAN事務総長と会談を実施し、RCEPや日ASEAN経済協力等について意見交換を行った。
(1)アリフィンエネルギー鉱物資源大臣との会談
会談では、インドネシアが今年議長を務めるG20での協力を含め、エネルギー分野での協力をより一層深化させることで一致した。また、石炭輸出の一時停止措置に対して、輸出の早期正常化を働きかけ、インドネシア政府から措置の緩和方針が発された。さらに、アリフィンエネルギー鉱物資源大臣と萩生田経産大臣の間で、脱炭素化に向けたインドネシアの事情を踏まえ、幅広い技術・エネルギーを活用した現実的かつ多様なトランジションを進めるため、エネルギー・トランジションの実現に関する協力覚書に署名し、アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)の下での両国の連携を確認した。
(2)ルトフィ商業大臣との会談
会談では、日インドネシア二国間経済関係の強化に向け、AJIFに基づく日本としての取り組みを説明した。また、インドネシアにおける事業環境の整備やG20、日インドネシアEPA、RCEP等などの通商政策に加え、幅広く個別の産業政策等について意見交換を行った。
(3)アグス工業大臣との会談
会談では、ルトフィ商業大臣との会談同様AJIFに基づく取り組み等を説明したほか、インドネシアにおいて実施している人材育成等を含む裾野産業の協力や、自動車産業など幅広い個別の産業政策等について意見交換を行った。
(4)リムASEAN事務総長との会談
会談では、AJIFに基づき、サプライチェーン、連結性、デジタル・イノベーション、人材等の分野で未来志向の新たな投資を積極的に行っていく旨を説明し、日ASEAN関係の深化について意見を交換した。また、本年1月1日に発効したRCEP協定の完全な履行の確保に向けて日本とASEAN事務局とで緊密に連携をしていく旨を確認した。
(5)ルフット海洋・投資担当調整大臣との会談
会談では、他閣僚との会談同様、AJIFに基づく取り組みを説明したほか、インドネシアにおける事業環境の整備やAETIの下でのエネルギー分野の協力など個別の産業政策を含む幅広い観点から意見交換を行った。また、石炭輸出の一時停止措置に対して、輸出の早期正常化を働きかけ、インドネシア政府から措置の緩和方針が発表された。
(6)アイルランガ経済担当調整大臣との会談
会談では、インドネシアが2022年のG20の議長国であることから、担当閣僚であるアイルランガ経済担当調整大臣に、日本としてG20の成功に最大限協力していく意向を伝えるとともに、G20の貿易、デジタル、エネルギー・気候変動の各会合へ向けた意見交換を行った。また、他閣僚との会談同様AJIFに基づく取り組みを説明するとともに、イニシアティブに基づく取り組みを、インドネシアの実状に即したより具体的な取組にしていくために官民対話を立ち上げる「日インドネシア・イノベーティブで持続可能な経済社会の共創パートナーシップ」を設立した。
2.シンガポールでの用務
シンガポールでは、ガン・キムヨン貿易産業大臣と会談を実施し、二国間関係やRCEP、CPTPP等について幅広く議論を行った。また、コワーキングオフィスを訪問し、ベンチャーキャピタルやスタートアップ、日系企業等の方々との意見交換を行った。
(1)ガン・キムヨン貿易産業大臣との会談
会談では、インドネシア同様AJIFに基づく取り組みを説明したほか、通商分野やエネルギー分野における二国間の協力等、幅広い分野で意見交換を行い、連携の方向性について共同声明を公表した。また、脱炭素化に向けたシンガポールの事情を踏まえつつ、アジアのエネルギー・トランジションの加速化に向けて、トランジション・ファイナンスのあり方も含め、低炭素技術に関する協力覚書に両大臣が署名し、AETIの下での両国の連携に合意した。
3.タイでの用務
タイでは、プラユット首相を表敬するとともに、スパッタナポン副首相兼エネルギー大臣、ドーン副首相兼外務大臣、アネーク高等教育・科学・研究・イノベーション大臣及びスリヤ工業大臣とそれぞれ会談を実施し、二国間関係やAJIF、エネルギー・トランジション等について幅広く議論を行った。また、トヨタの現地工場を視察した。
(1)プラユット首相への表敬
表敬において、長年にわたる両国の貿易・投資・人材交流等による強固かつ良好な二国関係を確認した。その上で、インドネシア・シンガポールでの各閣僚との会談同様、AJIFに基づき、未来志向の新たな投資を積極的に行っていく旨を説明、また、日本のグリーン成長戦略とタイのバイオ・サーキュラー・グリーン(BCG)経済モデルとの連携、エネルギーや産業分野での協力について議論を行った。加えて、プラユット首相立ち会いの下、持続可能な成長及び温室効果ガス排出削減を成し遂げるため、AETIを踏まえた多様かつ現実的なエネルギー・トランジションを加速すべく、萩生田大臣とスパッタナポン副首相兼エネルギー大臣との間で「日本国・経済産業省とタイ王国・エネルギー省間のエネルギー・パートナーシップの実現に関する協力覚書」に署名した。
(2)スパッタナポン副首相兼エネルギー大臣との会談
会談では、長年培ってきた日タイの二国間関係をより深化させていくため、AJIFの考え方も踏まえながら、「未来志向の新たな投資」を推進する意向を伝えた。また、イノベーション推進、競争力強化、安定的な経済成長を確保するとともに、AETIに基づく現実的なエネルギー・トランジションなど、日タイ両国の経済関係を深めるための様々な意見交換を行った。
(3)ドーン副首相兼外務大臣との会談
会談では、タイが2022年のAPEC議長国であることを踏まえ、日本としてAPECにおいて、タイが設定したテーマ「オープン、コネクト、バランス(Open Connect Balance)」に沿い協力していくこと及びAPECの優先事項としてタイが掲げる、①社会的課題への対応等の新たな貿易課題に関する議論、②バイオ、サーキュラーエコノミー、環境問題への対応等を中心に成長を目指すBCG経済モデルについて日本は支持していくことを伝えた。その他、RECP協定の完全な履行に向けた協力等通商政策について意見交換を行った。
(4)アネーク高等教育・科学・研究・イノベーション大臣との会談
会談では、イノベーションのインキュベーション機能を所管するアネーク大臣に対し、AJIFに基づき「未来志向の新たな投資」を積極的に進めていくこと、ASEANの企業との協業などを通じて、イノベーションを共に創造していく「共創」を進めていくことについて説明を行うとともに、日本のグリーン成長戦略と同大臣がイニシアティブをとるBCG(Bio-Circular-Green)経済モデルグリーン成長戦略の連携の在り方について意見交換を行った。加えて、今後の両省間のさらなる協力関係の構築に向け協力枠組み文書の交換を行った。
(5)スリヤ工業大臣との会談
会談では、日タイが多くのサプライチェーンを共有する重要なパートナーであることを確認し、引き続き、人材育成の協力や、サプライチェーン強靱化などに取り組んでいくことについて意見交換を行った。また、両大臣による、「協力フレームワーク文書」の交換、更に、両大臣立ち会いのもと、ジェトロ・バンコクとタイ自動車研究所による協力文書の更新にかかる署名が行われた。
(つづく)Y.H
(出典)経済産業省 通商白書2022
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2022/index.html