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2012年に、ISOマネジメントシステム規格の世界の大きな変革がありました。
附属書SLと業界内で呼ばれる文書が発行されたのです。附属書SLはあくまで業界内用語で、皆様に向けて発信する情報の中に入れ込むのは不適切な文言ではありますが、弊社に限らず多くの関係者が用いている現状を踏まえて、この用語の説明を入れておきます。
この文書は、ISOマネジメントシステム規格を作るうえでのベースとなる、共通テキスト文書といわれるものです。2012年に発行され、ISOのルールとして、2012年以降新規制定あるいは改訂されるISOマネジメントシステムは、この共通テキスト文書に規定された内容を用いて、ISOマネジメントシステム規格を作ること、というものが出来上がりました。章立て、使っている言葉が原則変えてはならず、分野ごとの個別対応で条項や文言を追加することは認められる、というものです。序文から始まり、「4.組織の状況」からいわゆる規格要求事項と言われる内容になり、「10.改善」まで、章立てについてはどの規格も同じ構造です(一部規格で若干のタイトル文言の追加はおきています)。そして、共通テキスト文書である附属書SLでは、各条項に付随する規格要求事項も骨格部分が決められています。その骨格部分に基づいて、それぞれの規格に応じた要求事項の肉付けを行って、規格が策定されています。
この共通テキストの誕生によって、今まで例えばISO 9001とISO 14001規格を見比べると、かなり近しいことを言っている感じもするが、どうも同じとは言い切れないな、と感じていた方がほとんどだと思うのですが、今度はベースとなる章立て、言葉の使い方が統一されたことで、非常に対比しやすいものになったと私たち業界関係者は感じています。一方で、共通テキスト文書をベースに肉付けしていくことには特に制約はないため、例えばISO 9001とISO 14001では箇条8.運用のところはずいぶんと違った趣の規格になっています。ISO 9001では箇条8.の部分がとても大事な内容であり、ISO 9001品質マネジメントシステムの根幹をなす部分であるというスタンスからかなりの量の内容が規定されています。一方で、ISO 14001では箇条8.運用は非常にシンプルに書かれています。その影響から、ISO 9001はISO 14001と比べて要求事項の数、そのボリュームは相当に大きなものになっています。
このように各規格で、それぞれの特徴に合わせた肉付けをしていくことになりますので、実際の出来上がった規格を初めてみる方にとっては、規格自体は似ているけれどやはりずいぶん違うものだな、と感じられることになるでしょう。
少し専門的な話を最後にしておきます。
附属書SLはISO規格策定者のための文書です。一般の方にみてもらうことを前提にしているものではありません。
しかしこの附属書SLはマネジメントシステムの骨子を理解するうえではISOに関係するすべての方にとって一読の価値があります。
日本規格協会のサイトから無料でダウンロードできますので、是非一度アクセスしてください。
規格協会のサイト内検索で、「ISO/IEC専門業務用指針」で検索してみてください。英和対訳版に行き着くことができます。
タイトルを記載しておきます。
ISO/IEC専門業務用指針第1部及び統合版ISO補足指針 英和対訳版
その附属書SLの中の更にAppendix2にISO共通テキスト文書が規定されています。その章立て(構造)は下記のようになっています。
- 序文
- 1.適用範囲
- 2.引用規格
- 3.用語及び定義
- 4.組織の状況
- 5.リーダーシップ
- 6.計画
- 7.支援
- 8.運用
- 9.パフォーマンス評価
- 10.改善