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平林良人「2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方」アーカイブ 第35回
◆このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。今回は「2000年版対応ISO9000品質マニュアルの作り方」です。
6. 資源の運用管理
6.1 人材配置計画
- 総務課長は,QMSのプロセスが円滑に行われ,改善が適切に進むよう,年次人材配置計画を立案し,実行する。これを“経営資源計画”と位置づける。年次人材配置計画の立案にあたっては,次のことを配慮する。
- 1) QMSの有効性を継続的に改善する。
具体的には,8.4.1項に述べる。 - 2)顧客満足を向上させる。
具体的には,8.2.1項に述べる。 - 3)各管理,業務に従事する者には,業務別,階層別に設けた教育訓練を終了した行員を割り当てる。ソフトウェアの校正,融資先審査は,資格認定された有資格者がこれを行う。
- 「資格認定記録K-23」の帳票様式を付録に付ける。
以上のことが確実に行われているかを,年1回マネジメントレビューでチェックする。
6.2 教育訓練
- 総務課長は.下記事項を確実にするため.教育訓練を計画し.実行する。
- 1) 総務課長は,品質に影響する従業員の教育・訓練に対するニーズ(従業員が持つべき力量と現実に従業員の持っている遂行能力との差)を,各課長を通じて把握し,「共通教育訓練計画」を立案する。各課長は,自部署に必要な教育訓練のニーズを従業員との面談で把握し,「各部署教育訓練計画」を立案する。
- 2) 教育訓練計画に基づいて教育訓練を実施する。特に定められた業務については,その遂行能力を認めるために,認定教育を実施し資格認定を行う。認定教育には,計測機器校正員教育,融資先審査員教育,内部監査員教育がある。
- 総務課長は計測機器校正員教育の責任,融資課長は融資先審査員教育の責任,管理責任者は内部監査員教育の責任をそれぞれ持ち,資格認定する。
- 3) 総務課長は,視覚の認定者を「教育訓練記録 K-04」に登録し,毎期首に見直しを行いう。「教育訓練記録 K-04」の帳票様式を記録に付ける。
- 4) 各課長は,従業員との面談において下記を認識させる。
- ① 自分の活動とQMSとの関連性及び重要性
- ② 品質目標達成における自分の役割と貢献。
- 手順の詳細は,「教育訓練規定T-04」に規定する。
以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。
6.3 インフラストラクチャー
- 総務課長及び守衛は,当支店の建物,設備,通信,輸送等のインフラストラクチャーを明確にし,管理,維持するために「設備管理規定T-05」の定めに従った業務を実施する。
- 以上のことが確実に行われているかを,年1回マネジメントレビューでチェックする。
6.4 作業環境
- 総務課長は,当支店の各部門が適切な業務を行うことのできる作業環境を維持する。
- 必要となる作業環境の詳細は,「設備管理規定T-05」に定める。
- 以上のことが確実に行われているかを,年1回マネジメントレビューでチェックする。
7. サービスの実現
7.1 サービス実現の計画
- 管理責任者は,当支店で本店が開発した下記新製品を扱う場合,以下のことを配慮した「品質計画書K-22」を作成し,各課長に指示し維持する。
- 1)対象新製品
- ・貯蓄預金
- ・ローン,融資
- 年金
- ・為替
- ・証券信託代理
- ・投資信託
- ・その他
- 2) サービス実現のための品質目標を定める。
- 3) サービス実現の品質目標を達成するため,必要な経営資源等を明確にする。
- 4) 該当する場合は,ソフトウェアの校正,融資先審査,考査,内部監査,合否判定基準を等定める。
- 5) 商品及びサービスの信頼感を得られるのに必要な品質記録を明確にする。
- 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。
7.2 顧客関連のプロセス
7.2.1 顧客要求事項の明確化
- 渉外課長は,次のことを明確にする。
- 1)当行の商品,サービス,顧客対応について顧客が要求する事項。
- 2)当行の商品,サービス,顧客対応について当行が独自に決めている事項。
- 3)当行の商品,サービス,顧客対応に関係する法令・規制要求事項。
- その詳細は,「顧客管理規定 T-9」に定める。
- 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。
7.2.2 サービスに関連する要求事項のレビュー
- 渉外課長は,新商品を顧客に提供する前に,次のことを確認,実施する。
- 1)新商品は,窓口業務の観点から適切に定められ,説明のポイントは文書化されている。
- 2)渉外課,窓口業務課の担当者は,従来商品との差異を顧客に的確に説明できる。
- 3)渉外課,窓口業務課の担当者は,顧客に新商品を的確に説明できる。
- 4)レビューの記録を作成し,「窓口業務記録 K-11」として保管する。
- 5)渉外課,窓口業務課の担当者は,新商品に変更のあった場合に確実に内容の理解をする。
- その詳細は「契約管理規定T-06」「業務管理規定T-07」に定める。
- 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。
7.2.3 顧客とのコミュニケーション
- 渉外課長,窓口業務課長は,顧客とのコミュニケーションのために,次のことを明確にし,実行する。
- 1) 当支店の商品・サービス情報を,業務案内書,カタログ,松陰説明書にまとめ広く開示する。
- 2) どこの部門が,見積もり方法,契約方法,変更の伝達方法等の窓口業務を実施しているのかを業務案内書に明確にする。
- 3) 顧客からのクレームや評価の窓口は,渉外課,窓口業務課であることを明確にして,実際の対応については「顧客相談記録 K-17」にまとめられ,その対応をはかる。
- 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。
7.3 設計・開発
- 当支店には,該当するプロセスがないため,適用除外とする.この品質マニュアル 2.適用範囲にその理由を記述してある。
7.4 購買
7.4.1 購買プロセス
- 総務課長は,購買品が要求事項に適合するよう,次のことを行う。
- 1) 供給者が,当支店の購買要求事項に対して,それらを満たし得る能力及び実績があるか否かを,「購買管理規定 T-08」に基づいて定期的に評価し,選定する。
- 2) 選定された供給者を「取引先評価記録K-07」に登録し記録する。
その詳細は,「購買管理規定T-08」に定め,維持する。 - 「取引先評価記録K-07」の帳票様式を付録に付ける。
- 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。
7.4.2 購買情報
- 総務課の担当者は,購買品の発注にあたり,「購買注文票K-08」で購買先へ注文する。
- 当支店で扱う購買品には,物品と役務があるが,購買情報としては以下のものがある。
- 1) 物品
- 購買注文票には,「形式」「種類」「品名」「数量」「納期」等を記載し,その他必要に応じて仕様書,図面,技術データなどを添付する。
- 2) 役務
- 購買注文票には,「役務内容」「人数」「契約期間」等を記載し,役務によっては「資格」を要求する場合もある。
- 供給者のQMS規格名称,番号および版を記載する。
- 「購買注文票K-08」は,発行に先立ちその適切性について,所属課長の承認を得る。
- またソフト開発等の依頼や,高額で重要な機器や設備などの購入の場合は,支店長の承認を得る。
- 「購買注文票K-08」の帳票様式を付録に付ける。
- 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。
7.4.3 購買製品の検証
- 発注部門の受入担当者は,購買品の受入時に品名,表示及び数量の確認により受入検査を行う。場合によっては,更に供給者からの成績表,仕様書の確認,現品の検査により受入検査を行う。受入検査で合格になった購買品には合格の識別を行う。受入検査で不合格になった購買品には不合格の識別を行う。購買品は受入検査が終了するまでプロセスに投入しない。供給者先で購買品を検証する場合は,検証基準と出荷許可方法を「購買注文票K-08」に規定する。
- 詳細は,「購買管理規定T-08」に規定する。
- 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。