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平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第31回
4.6 購 買
4.6.1 一般
- ☆購買品の品質確保に関しての 一般事項を記述する。
- 1. 購買部は技術部からの購買要求書に基づき,購買部品の仕様,要求される品質を文書で明確にする。
- 2. 購買部は購入先と,一般取引契約書と併せて,品質契約書を締結する。
- 3. 品質保証部は,品質契約書に基づき,品質保証要求書を取引先に提示し,品質保証体制の確立を求める。
4.6.2 下請負契約者の評価
- ☆下請負契約者の能力の評価と,その記録の保管について記述する。
- 1. 購買部は下請負契約者(取引先)のリストを作成し,維持,保管する。
- 2. 下請負契約者は,定められた標準により2回/年,品質・コスト・納期について評価される。
- 3. 新規下請負契約者の選定は,購買部が技術部と協働して,情報収集,調査,評価を行い,決定する。
- 4. 品質保証部は最低年に1回,それまでの品質記録の説明を行い,下請負契約者への立入監査を行う。
4.6.3 購買データ
- ☆購買時に必要となる承認図,技術標準類,検査規格,限度見本について記述する。
- 1. 技術部は次の文書を制定し,担当課長の承認後,下請負契約者に技術通知をもって発行する。
- ① 購買品の仕様書
- ② 購買品の図面
- ③ 購買品の工程要求書
- 2. 品質保証部は,購買品の検査指示書を制定し,担当課長の承認後,下請負契約者に品質保証通知をもって発行する。また必要ある場合には限度見本を発行する。
- 3. 上記文書類は社内の文書管理標準の適用を受ける。
- 4. 購買部は,品名,数量,納期の記入された注文書を担当課長の承認後,下請負契約者に購買通知をもって発行する。
4.6.4 購買品の検証
- ☆購買品の検証(立入検査など)について記述する。
- 1. B事業部のOEM客先または代行者(審査登録機関など)は,契約上,下請負契約者を立入調査することができる。
- 2. B事業部はOEM客先が実施した立入調査の結果を,下請負契約者が効果的な品質管理を行っているかどうかの証拠とはしない。
- ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
- 購買要求書発行標準 KBJ 101
外注契約書標準 KBJ 102
取引先管理標準 KBJ 103
取引先評価標準 KBJ 104
外注品質監査標準 KQM 111
製品・部品コード管理標準 KTM 104
4.7 購入者による支給品
- ☆客先から支給される物品の確認,保管,維持について記述する。
- 1. OEM客先から支給される物品の受取りについては,本社営業部が契約時に文書にて取り交わす。
- 2. 生産管理部はOEM客先からの支給品の窓口となり,受取り確認の記録を残す。
- 3. 品質保証部は契約に基づいた受入検査を実施し,もし物品に不適合が発見された場合には,不適合記録を作成して生産管理部へ報告する。
- 4. 製造部は,製造中に購入者から支給された物品に不適合を発見した場合,次の対応をする。
- ① 契約に定められた不良率以内の場合は,「品質不良票」を添付して,生産管理部へ返品する。生産管理部は,客先へ返品して,客先の指示に従う。
- ② 契約に定められた不良率以上の場合は,「工程品質異常連絡票」を発行して,生産管理部へ報告する。生産管理部は,本社営業部へ連絡の上,客先と調整する。
- ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
OEM客先支給品管理標準 KPC 103
工程品質管理標準 KPT 101
4.8 製品の識別及びトレーサビリティ
- ☆製造のすべての段階における現品の識別およびトレーサビリティについて記述する。
- 1. 製造部は,全製造工程を通じて,過去に製造された製品について製造履歴が追えるようにロット管理標準(KQM 115)にそった識別管理を行う。
- ① 現品の識別
製造工程中の部品,サブ組立ユニットは,ロットごとに部品名と部品コードをもって識別表示する。 - ② 現品への表示
標準に定められた主要部品には,ロットナンバー,製造年月日を表示するとともにそれを記録に残す。 - ③ 最終検査上りの製品は,ロットごとに合格品,不合格品の表示をして保管する。
- 2. 完成した製品には製品シリアル・ナンバー,製造年月日を表示し,品質問題が発生した場合に,製造工程にまで遡って製造ロットを追えるようトレーサビリティ管理を実施する。
- 3. 品質保証部はOEM客先からの契約に基づく識別管理要求がある場合には,管理内容を明確にした標準書を発行する。
- 4. 記録の保管:製造部はロット管理標準(KQM115)に基づく記録を3年間,保管する。
- ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
ロット管理標準 KQM 115