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平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第41回
条項4.15 品質記録
- 品質記録の中身を定義し,かつ品質記録に関する基本事項を述べている。
- 1.会社は,記録を保管する目的には2種類あると認識している。
- ① ISO 9002に適合している証拠として,また顧客との契約上の要求事項として必要である。
- ② 会社の品質システムの効果的な見直しと,それをどのように改善していけばよいかを判断するときの経営ツールとしてである。
- 2.本品質マニュアルの4.9項“検査及び試験” に記述したように検査および試験の記録を保有する。加えて品質システムの有効性を実証するために,経営管理の実証記録を保管する。その実証記録とは次のようなものをいう。
- ① 検査および試験装置の校正
- ② 内部監査記録およびシステム見直し記録
- ③ 欠陥および誤データの分析
- ④ 修正,再加工,廃棄,特別採用
- ⑤ 顧客クレーム
- ⑥ 是正処置
- ⑦ 技術データおよびシステムの変更
- ⑧ 外注会社認可
- ⑨ 顧客注文書
- ⑩ 購買注文書
- ⑪ 試験および出荷証明
- ⑫ 従業員評価と教育・副陳
- 3.新たに外注会社を認可する場合,会社は,有効な品質記録の提出を外注会社に要請する。
- 4.会社は,外注会社の記録を含め,すべての品質記録は,読みやすく,保存性がよく,移動性に優れた保管がなされていることを保証する。
- 5.会社は,品質記録を5年間保管する。
- 顧客が,契約において,より長期の保管を要望した場合には,会社は特別の手配をする。
条項4.16 内部品質監査
- 年間内部品質監査計画を作成し,すべての部門が順番に年2回の監査を受けるようスケジュールを組んでいる。監査は,たとえば2部門ずつといったように毎月行われる。
- 1.会社は,文書化された品質システムが正しく運用されているかどうかを確認するために,年間の計画にそって,内部品質監査を実施する。
- ① 会社は,われわれ自身の問題は,第三者に指摘されるまえに自分たちで発見しその対策を講じることを旨としている。
- ② 会社は,すべての部門が,1年に2回の監査を受けるよう年間計画を策定している。この監査は,便宜主義的に実施されるのではなく,日常の業務として,ごく当り前に実施されることが望ましい。
- ③ 内部品質監査の計画は,その部署の直接責任者からは独立した,十分に訓陳を受けた監査員によって策定される。
- ④ 内部品質監査は,仕事量を平準化し,かつ監査を受ける部門の仕事への影響を最小にするために,毎月,実施される。
- 2.内部品質監査によって発見された事項は,被監査部門の責任者に報告される。
- ① 責任者は,その課題を明確にして,是正処置をとる。
- ② すべての不適合事項と是正処置は記録され,経営会議に回覧される。
条項4.17 教育・訓練
- 会社の品質目標達成のために不可欠な教育・訓練について述べている。
- 1.会社は,品質に影響を与えるすべての従業員が,その担当する職務に十分な能力を有することを保証する。
- 2.すべての従業員は,会社の就業規則や品質システムなどを含む教育・訓陳を受けなければならない。
- 3.従業員がその職務を遂行するのに不足する技能や知識は,会社の実施する教育・訓練によって補完される。
- 4.組織変更に伴う教育・訓陳の追加の必要性については,人事・総務部の見直しにより,順次実施にうつされる。
- 5.安全試験などのように,訓陳の証明書の発行を伴うものは,その記録がとられ,保管,維持され,その有効性が確保される。
- 6.すべての従業員の教育・訓練は記録される。
条項4.18 統計的手法
- 会社内で活用されている統計的手法について述べている。
- 1.会社は,当社の品質を顧客の要求事項に適合させるために,最大の努力と最小の消費によって目標を達成するために,統計的手法を活用する。統計的手法として,抜取検査と工程管理図が活用される。
- 2.抜取検査はMIL STD 105 Eのサンプリング・プランを用いて実施されるが,必要な場合には,顧客とのあいだで合意されたAQLを使用して実施される。この抜取検査手法を活用しようとするもの全員は,この抜取検査計画と指示書を使うことができる。
- 3.契約でうたわれている場合,製造を開始するまえに,製造における重要特性とその要因の監視について,顧客とのあいだで同意を得る。
- 4.会社は,作業者が実施している統計的手法について,作業者だけでなく,課長,主任にまで拡張した教育計画を実施する。