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平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第49回
条項4.15 取扱い,保管,包装及び引渡し
- “取扱い,保管,包装及び引渡し” についてポイントを簡潔に述べている。
- 会社は,物品の取扱いと輸送方法に関して,誤用,損傷,劣化を防ぐ手段を講ずる。
- 誤用
- 1. すべての部品・材料は,その受取り時に正しい識別を行う。
- 2. 部品番号と受入れ番号とが,入荷前に,容器,包装上に記入される。
- 損傷
- 不適切な取扱いによって部品・材料や半完成品,完成品が損傷を受けないよう対策を講じる。
- 1. 特別設計の包装と容器
- 2. 適切な購入容器
- 3. 特別設計のトロリー
- 4. 型によって作製された緩衝材容器
- 劣化
- 1. 部品・材料,半完成品,完成品が保管中に劣化しないよう環境に配慮する。
- 2. すべての保管場所は,塵壌がなく,乾燥しており,温度は5℃~35℃以内に管理される。
- 包装
- 包装材料は,会社が別に定める基準に従って購入,使用される。
- 引渡し
- 1. 契約に定めがある場合,会社の製品を顧客先に配達する責任は会社にある。
- 2. 会社は外部の運送会社を使って配達を実行するが,次の事項を確認する。
- ① 中身が明示されている。
- ② 正しい書類が添付されている。
- ③ 満足な状態になっている。
- ④ 納期通りである。
- サポート文書
- 取扱い,保管,包装および出荷基準 QM 0058
条項4.16 品質記録
- “品質記録” について述べている。記録の保管期間は,製造製品の性格から非常に長くなっている。
- 1. 会社は,品質記録の識別,収集,見出し付け,ファイリング,保管,維持および廃棄のための手順を確立し,維持する。
- 2. これらの記録は,BS 5750 Part-1に準拠する,会社の品質システムと顧客の要求事項に適合することを証明する,客観的証拠となるものである。
- 3. 会社は,データが即座に検索でき,製品品質の分析ができ,かっ効果的な品質管理システムの運用を可能にする,組織的な品質記録の設計,活用,保管を行う。
- 4. 記録がコンピュータ・ファイルに保管されている場合,アクセス・コードはシステム全体の保全を前提に活用される。
条項4.17 内部監査記録
- “内部品質監査” については,名称を「内部監査記録」と変えて説明している。
- 1. 会社は,継続した改善活動推進のためにその品質システムの改善活動を展開する。
- 2. 内部品質監査の実行と記録は,品質手順書に記述されている。
- ① 製品ごとの内部品質監査の実行と記録
- ② 部門ごとの内部品質監査の実行と記録
- ③ システムごとの内部品質監査の実行と記録
- ④ 工程ごとの内部品質監査の実行と記録
- 3. これらの手順書には,次の詳細が記述されている。
- ① 監査の実施
- ② 監査の推進者は誰か
- ③ どんなことを監査するか
- ④ どのように, どこで監査が実施されるか
- ⑤ 誰が結果を報告するか
- ⑥ どのように対策を実施するか
- 4. 内部監査は,その経験のある品質部門の担当者によって実施される。
- サポート文書類
- 部門品質システムの審査基準書 QM 0002
- 製品の品質監査基準書 QM 0003
- 製品評価基準書 QM 0030
条項4.18 教育・訓練
- “教育・訓練” についてポイントを簡潔に述べている。
- 1. 会社全体の教育・訓陳の総合責任は社長にあるが,それぞれの部門長は,その部門における教育・訓陳に責任を負う。
- 2. 会社グループの産業教育・訓練委員会の会社代表としては,人事部長がその任に当たる。
- 3. 会社の推進している教育・訓陳に電子機械,半導体機械を使用しているが,技術の進歩を考慮して,機械設備類は年々更新されていく。
- 4. 教育・訓練方針には,ラインばかりでなくスタッフの訓練も含まれている。会社は,教育・訓陳計画を運営し,すべての部署の従業員に,公式の職場内教育・訓陳を実行する。
- 5. 会社は,定められた周期で,部門長による監査を行う。また,時により要望にそって,正式に権威ある監査者による監査を行う。
- 6. 会社の教育・訓陳方針と計画は,全グループの産業教育・訓練委員会の審査と承認を受ける。
- 7. すべての教育・訓練の記録は,教育・訓陳基準QM 0052の手順に従って維持する。
- サポート文書類
- 教育・訓陳基準 QM 0052
条項4.19 付帯サービス
- “付帯サービス” については,ほとんど触れられていない。
- 付帯サービスが契約にうたわれている場合,会社はその行うサービスが,規定要求事項に適合しているかどうかを検証する手順を確立し,維持する。
条項4.20 統計的手法
- “統討的手法” について簡潔にポイントを述べている。
- 1. 会社は,適切でかつ実際的な場合には,抜取り手順書を活用する。これらの手順書は,BS 6000, BS 6001規格に準拠している。
- 2. 統計的手法の正しい使い方を維持することは,非常に大切なことである。統計的手法の間違った使い方は,製品品質レベルの誤った見方を導くので,これを避けるために,会社は,抜取り方法について文書化し,手順化する。
- サポート文書類
- 抜取検査適用基準書 QM 0019
- 統計的工程管理
- 適切な場合,会社は,製造のすべての段階において,統計的手法を活用する。これらの管理の結果は,種々の図面に記録される。
- 1. x管理図
- 2. R管理図
- 3. p管理図
- 4. ヒストグラム
- 文書化された手順に従ってこれらは実行される。
- サポート文書
- 統計的工程管理基準書 QM 0021
条項4.21監査対応
- 最後にISO 9000シリーズ規格の条項にはないが,監査対応について記述している。会社は,外部第三者機関による監査の実施に際し,次のような対応をとり,その便宜をはかるものとする。便宜とは,次の事項を含む。
- 1. 事務処理のためのオフィス・スペースの提供
- 2. 十分な作業場所
- 3. 試験装置
- 4. 必要な工程,検査,試験へのアクセス
- 5. 必要に応じて,文書,指示書,部品,サービスの提供