平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第53回

条項4.13 不適合品の管理

  • 不適合品についての識別,記録,分離,処置について具体的な処置の仕方を述べている。 受入検査,製造,完成品,返品それぞれにおける不適合品については,それぞれの部門手順書にその詳細を定めている。
  • 4.13.1 不適合品の再審及び処置
  • 1. 不適合品の再審の責任,およびその処置の権限は次の通りである。
    • ① 受入検査に関する不適合品:品質課長
    • ② 製造に関する不適合品:製造課長,試験課長,品質課長
    • ③ 完成品に関する不適合品:製造課長,試験課長,品質課長
    • ④ 返品に関する不適合品:品質課長
  • 2. 不適合品は次のいずれかの処置がなされる。
    • ① 再加工する
    • ② 特別採用とする
    • ③ 廃棄する
  • 3. 契約で要求されている場合,規定要求事項に適合しない製品の使用あるいは補修の提案は,その特別採用について,顧客またはその代理人に報告する。
  • 4. 合格とされた不適合および補修の内容については,実際の状況を示すために記録しておく。
  • 5. 補修または再加工した製品は,手順書に従って再検査する。

条項4.14 是正処置

  • 会社の是正処置に対する考え力を述べている。ポィントは次の通りである。
  • 1. 不適合品の原因の調査および再発の可能性のあるすべてのレベルで是正処置を行う。これらの活動は,十分に有効的にまた確実に行わなければならない。
    (8.製造手順書,12.製造技術手順書,13. 14. 16.操作手順書,15.試験手順書,9.品質手順書を参照)
  • 2. 不適合品の潜在的原因を検出し,除去するために,すべてのエ程,作業操作,特別採用,品質記録,顧客の苦情分析を行う。(9.品質手順書を参照)
  • 3. 手順の変更の実施を行い,かつその記録をとる。(9.品質手順書を参照)

条項4.15 取扱い,保管,包装及び引渡し

  • 製品・部品の取扱い,保管,包装などについてポイントを述べている。
  • 4.15.1 一般
    • 会社は製品の取扱い,保管,包装および引渡しの手順を確立し,文書化し実行する。特に従業員服務規程については徹底する。(7.教育・訓練手順書)
  • 4.15.2 取扱い
    • 部品の受入れから製品の出荷までのすべての段階で,損傷または劣化を防ぐ方法および手段を確立する。その方法と手段は,部門手順書のなかに必要に応じて記述される。
  • 4.15.3 保管
    • 1. 会社は,出荷待ちの製品・部品の損傷または劣化を防ぐために保管区域または貯蔵室を確保する。このような区域での搬入,搬出を承認する手順を規定する。(6.倉庫保管手順書,10.出荷・配達手順書,9.品質手順書を参照)
    • 2. 劣化を検出するために,保管中の製品の状態を適切な間隔で評価する。(6.倉庫保管手順書を参照)
  • 4.15.4 包装
    • 会社は,包装,保存処理および表示の方法を管理し,また受入れ時点から会社の責任が終わるまでのあいだ,全製品の識別,保存処理,区分けを行う。(10.出荷・配達手順書を参照)
  • 4.15.5 引渡し
    • 会社は,完成製品の品質保護の対策を講じる。契約上要求されている場合,この保護は納入先への引渡しまで継続する。

条項4.16 品 質 記 録

  • 品質記録の識別,収集,保管などについて述べている。
  • 1. 各部門から指名された責任者は,記録を読みやすくし,見出し付きで保管しており, 即座に検索できるようにしておかなければならない。
  • 2. 保管期間は,契約にある場合はその期間,なければ3年間とする。
  • 3. 品質記録は,要求品質の達成および品質システムの効果的な運用を立証するために維持する。
  • 4. 品質記録は,劣化または損傷を最小にし,紛失を防ぐのに適した環境で保管する。
  • 5. コンピュータ・ファイルに保管されている品質記録はバックアップをとっておく。

条項4.17 内部品質監査

  • 品質システム見直しの前提となる内部品質監査についてポイントを述べている。
  • 1. 経営者は,会社内の品質システム監査を包括的かつ定期的に実施することによって,会社の品質システムが有効に維持されていることを確認する。
  • 2. 監査は,活動の状況および重要性に基づいて予定を立てる。
    • ① 監査終了時に,部門長は監査結果に同意をし,サインをする。
    • ② 部門長は,監査発見事項のコピーを1部受け取る。
    • ③ 是正処置と再監査の日程について協議同意をする。
    • ④ 監査結果の原紙は,品質課長が保管する。
    • ⑤ 内部監査についてのさらなる詳細は,部門規程9.品質手順書による。

条項4.18 教育・訓練

  • 従業員の受ける教育・訓練について述べている。
  • 4.18.1 一般
  • 教育・訓練計画は,教育・訓練手順書のなかに文書化されている。(7.教育・訓練手順書を参照)
  • 1. 会社は,新入社員全員に対して教育・訓陳プログラムを実行する。
  • 2. 品質に影響を与える活動に従事している従業員は,全員がその仕事に対して適切な経験を持っているか,教育・訓陳を受けている。
  • 3. 特定の仕事に従事している従業員は,教育・訓練または経験からなる適切な資格を持っている。
  • 4. 教育・訓練の記録は維持する。

条項4.19 付帯サービス

  • モデルC社の場合,OEM生産が主流であるが,契約のなかには特に付帯サービスについては取決めがない。
  • したがって,この条項は品質マニュアルのなかには記載されていない。

条項4.20 統計的手法

  • 会社のなかで活用されている統計的手法について具体的に述べている。ポイントは次の通りである。
  • 1. 一般
    • 適切な場合,工程能力および製品特性が受入れ可能であることを検証するために,必要な統計的手法が用いられる。
  • 2. 受入検査
    • BS 6001に記述されている抜取方法で行う。これは品質課長の責任の下に実施する。
  • 3. エ程管理
    • 品質計画書で規定してあるQC工程表を活用する。これは製造課長の責任の下に実施する。
  • 4. 完成品検査
    • 品質課長は,製品の品質計画書に規定してあるBS 6001の完成品抜取り計画にそって完成品監査を行う。

おわり