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平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第6回
1.5.4 具体性,具象的
品質マニュアルはISO9000シリーズ規格の要求事項にそって編集されるものだが,その要求事項は抽象的に表現されている場合が多い。その抽象的な規格に準じて社内の品質マニュアルを編集してしまうと,できあがった品質マニュアルも抽象的なものになってしまう。全産業を対象とした規格と,ある特定の製品またはサービスを対象とする企業の規格(品質マニュアル)では,自ずから規格内に規定する具体性は異なってくる。企業内の規格のほうが,より具体的でなければならないことは当然のことである。
【具体的な要求事項】
品質マニュアルのなかに特に具体的に記述しなければならないものは次の通りである。
- 1) 品質方針の制定
4.1.1 “品質方針”
“供給者の経営者は,品質に対する方針及び目標並びに品質についての責務(commitment) を明確にし,かつ,文書化する。・・・” - 2) 組織図と主だった経営管理者(社長以下,部門長,課長)の責任,権限の記述
4.1.2.1 “責任及び権限”
“品質に影響する業務を管理し,実行し,検証するすべての人々の責任,権限及び相互関係を明確にする。・・・” - 3) 管理責任者の指名
4.1.2.3 “管理責任者”
“供給者は,他の責任とかかわりなく,この規格の要求事項が確実に履行,維持されるようにするための明確な権限及び責任をもつ管理責任者を選任する。” - 4) 文書化した品質システムの制定
4.2 “品質システム”
“供給者は,製品が規定要求事項に確実に適合するようにするための手段として,書化した品質システムを確立し,維持する。…” - 5) 設計の審査
4.4.5 “設計検証”
“供給者は,設計を検証する機能を計画し,確立し,文書化し,かつ,有能な者に割り当てる。…” - 6) 文書管理
4.5.1 “文書の承認及び発行”
“供給者は,この規格の要求事項に関連するすべての文書及びデータを管理する手順を設定し,維持する。・・・” - 7) 装置類の校正
4.11 “検査,測定及び試験の装置”
“供給者は,製品が規定要求事項に適合していることを実証するために,供給者が保有,又は借用しているものでも,購入者から提供されているものでも,検査,測定,試験の装置を管理し,校正し,維持する。・・・” - 8) 改善活動
4.14 “是正処置”
“供給者は,次の事項に対し,手順を確立し,文書化し,維持する。・・・” - 9) 品質記録保管期間の明示
4.16 “品質記録”
“・・・品質記録の保管期間を確立し,記録する。・・・” - 10) 内部品質監査
4.17 “内部品質監査”
“供給者は,品質活動が計画された取り決めに従っているかどうかを検証するため,及び品質システムの有効性を判定するために,計画し,文書化した内部品質監査の包括的なシステムを運用する。…” - 11) 従業員教育訓練計画
4.18 “教育・訓練”
“供給者は,必要な教育・訓練を明確にする手順を確立し,維持するとともに,品質に影響する活動に従事するすべての要員の教育・訓練を行う。・・・” - 12) 統計的手法の応用
4.20 “統計的手法”
“適切な場合,供給者は,工程能力及び製品特性が受け入れ可能であることを検証するために必要な,適当な統計的手法を明確にする手順を確立する。”
以上,12点について,品質マニュアル編集上,特に具体的に記述すべき要点を掲げたが,以下の10項については,特に重点を掲げないが,できるだけ具体的に品質マニュアルのなかに記述しなければならない(詳しくは第2章“ISO9000シリーズ規格の解釈” を参照)。
4.3 “契約内容の見直し”
4.6 “購買”
4.7 “購入者による支給品”
4.8 “製品の識別及びトレーサビリティ”
4.9 “工程管理”
4.10 “検査及び試験”
4.12 “検査及び試験の状態”
4.13 “不適合品の管理”
4.15 “取扱い,保管,包装及び引渡し”
4.19 “付帯サービス”