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平林良人「品質マニュアルの作り方1994年対応版」アーカイブ 第24回
このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。今回は「品質マニュアルの作り方1994年対応版」全200ページです。
先に1987年版対応の「品質マニュアルの作り方」をお届けしましたが、今回はISO規格の改訂に伴い、全面的に1994年版規格に合わせた内容に更新したアーカイブです。
品質マニュアル
4.14 是正処置及び予防処置
4.14.1 一般
☆不適合の是正処置及び予防処置について一般事項を記述する。
- 品質保証部は,是正処置および予防処置の手順を文書化し,市場クレーム処理標準(KQM 121)と,重要品質問題処理標準(KQM 122)に規定化する。
- 品質保証部は,是正処置および予防処置の実施によって変更になった項目を標準書にフィードバックするとともに,関係者に速やかに徹底する。
- ① 品質保証部および標準書制定部門は,是正処置にともない関係する品質関連標準書類を改訂する。
- ② 改訂の履歴と記録は,標準書制定部門で保管される。
4.14.2 是正処置
☆不適合の是正処置(再発防止)について記述する。
B事業部で品質問題が発生した場合には,次の区分による責任部門がリーダーシップをとって是正処置(再発防止)の処置を行う。
品質問題
市場またはOEM客先で発生した品質問題
製品安全性に関する品質問題
出荷検査における品質問題
最終検査における品質問題
製造工程内における品質問題
購入検査における品質問題
再発防止責任部門
品質保証部
品質保証部
品質保証部
製造部
製造部(技術部)
品質保証部(技術部)
4.14.3 予防処置
☆不適合の予防処置について記述する。
- 品質保証部は毎月,前項で述べた品質問題ごとにデータをまとめ,グラフ化し過去からの傾向を分析するとともに,そのなかから潜在原因の摘出に努める。
- 品質保証部は,設計部,技術部,製造部と連係して,特別採用申請書,品質記録,サービス報告書,顧客の苦情などの分析をして,品質問題の予防処置を講じる。
☆社内に業務改善提案制度があれば,それについても記述する。
- B事業部は業務改善提案制度を品質問題の再発防止策の1つの柱と位置付け,促進に力を入れる。
- B事業部の業務改善提案制度の事務局は総務部に置く。
☆関係標準名と登録番号を記載する。
市場クレーム処理標準 KQM 121
業務改善提案制度標準 KAS 102
重要品質問題処理標準 KQM 122
品質マニュアル
4.15 取扱い,保管,包装,保存及び引渡し
4.15.1 一般
☆製品・部品の取り扱い,保管,出荷に関する標準書について記述する。
生産管理部は主管する倉庫における製品・部品の取扱い,保管,出荷に関する標準書作成し,管理する。
4.15.2 取扱い
☆取扱いによる損傷,劣化の防止について記述する。
- 生産管理部(倉庫)は,製品・部品の受入れ・払出し,出荷時において梱包に異常がないかチェックする。
- 生産管理部(倉庫)は,荷扱い機器(フォークリフト,ハンドリフト)を運転する者に対する教育訓練を実施する。
- フォークリフト運転者は社内資格の保持者に限られる。
- 製造部は,必要な工程では静電気対策を実施して,製品・部品を取り扱う。
4.15.3 保管
☆保管の方法,保管中のチェック,搬入・搬出管理について記述する。
- 生産管理部(倉庫)は,標準に従って製品・部品の保管を実施する。
- 基準保管期間以上のものを使用または出荷する場合は,生産管理部が品質保証部に評価を依頼する。
4.15.4 包装
☆包装,表示の方法について記述する。
- 技術部は,製品・部品の包装について技術通知で制定する。
- 技術部は,製品・部品の表示の方法について技術通知で制定する。
4.15.5 保存
☆保存の方法については記述する。
技術部は,製品・部品の保存処理について技術通知で制定する。
4.15.6 引渡し
☆顧客引渡しまでの品質保護について記述する。
- 生産管理部は,客先に製品を引き渡すまでの移動,輸送に関する品質確保に責任を負う。
- 品質保証部は,製品の移動に特別な保護が必要な場合は,品質保証通知で制定する。
☆関係標準書名と登録番号を記載する。
製品取扱標準 KPC 105
製品保管標準 KPC 106
製品包装標準 KTM 109
品質保証マニュアル
4.16 品質記録の管理
☆品質記録の識別,収集,見出し付け,ファイリング,保管,維持および廃棄について記述する。
- 技術部は,品質記録の識別のために,製品の機種名称,機種コード一覧表を制定する。
- 品質保証部および品質記録保管部門は,次の目的で品質記録を収集する。
- ① 必要品質の維持と向上のため。
- ② 品質システムが標準通りに運用されている証拠として。
- ③ トレーサビリティの確保のため。
- ④ 品質システムの見直しのため。
- 品質記録には,その内容を代表する見出しを付け,ファイリングをし,必要とする場合には即座に取り出せるようにしておく。
- 品質記録保管部門は,品質記録を,劣化または損傷,紛失を防ぐに適した場所に保管する。
- 品質記録保管部門は,品質記録管理標準(KQM105)に基づいて品質記録を廃棄する。
- 品質記録をコンピュータ・ファイル上に保管する場合は,必ずバックアップ用のコピーをとる。
☆品質記録の保管期間を明確にしておく。
品質記録は次の期間,保管する。
- 基本的保管期間は3年とする。
- OEM客先との契約がある場合は,その定められた期間。
- 法規上の定めがある場合は,その定められた期間。
☆関係標準書名と登録番号を記載する。
品質記録管理標準 KQM 105
製品・部品コード管理標準 KTM 104
品質マニュアル
4.17 内部品質監査
☆包括的内部品質監査の進め方について,資格者,実施回数,是正処置,フォローアップなどについて記述する。
- 品質保証部は,品質活動が計画された取決めに従っているかどうかを検証するために,文書化した内部品質監査を実施する。
- 監査実施者は「B事業部内部品質監査員認定コース」の履修者とする。
- 内部品質監査員は,被監査活動に直接責任を有しない独立した者が実施する。
- 品質システム全体を対象とした定期的内部品質監査を年2回実施する。
- 品質保証部は,監査した結果を報告書にまとめ,被監査部門の部長に報告する。不適合事項が存在する場合には是正処置の依頼をする。
- 被監査部門の部長は,自部門の内部品質監査の不適合の是正処置を実行して,品質保証部長に是正処置報告書を提出する。
- 品質保証部長は,是正処置が確実に実施されたかどうかを確認するためにフォローアップ監査を実施する。
- 品質保証部長は,内部品質監査の結果を,年2回,品質システム見直し会議に報告して,品質システムの改善に結び付ける。
- 内部品質監査に関する報告書,会議録などは,品質記録として品質保証部が5年間保管する。
☆関係標準書名と登録番号を記載する。
内部品質監査標準 KQM 123
品質マニュアル
4.18 教育・訓練
☆教育・訓練の計画,試験制度などについて記述する。
- B事業部の教育・訓練は人事部が主管し,教育訓練標準(KHR 103)に従って実施される。
- B事業部は,教育・訓練終了者には教育訓練標準(KHR 103)に基づき教育・訓練修了証害を発行する。
- 以下の特定業務に従事する者には,業務を主管する部門が教育・訓練を実施し,資格を授与する。
- ① 持殊工程従事者 製造部
- ② 最終検査・出荷検査員 品質保証部
- ③ 計測器校正員 本社品質保証部
- ④ フォークリフト運転者 技術部
- ⑤ 内部品質監査員 本社品質保証室
- 人事部は,教育・訓練に関する記録を,従業員が在籍している期間,保管する。
☆関係標準書名と登録番号を記載する。
教育訓練標準 KHR 103
4.19 付帯サービス
☆付帯サービスについて,具体的に実施している事項を記述する。
- OEM客先と契約において規定されている付帯サービスがある場合には,その契約に従う。
- 本社営業部は,顧客に対するサービス業務を主管し,B事業部はそのサポートとして,次の業務を行う。
- ① サービス・パーツの供給 生産管理部
- ② 市場クレームヘの対応 品質保証部
- ③ サービス・マニュアルの発行 品質保証部
- ④ サービス・ツールの供給 品質保証部
- ⑤ サービス教育の実施 品質保証部
☆関係標準書名と登録番号を記載
サービス標準 KQM 124
サービス・パーツ管理標準 KPC 107
品質マニュアル
4.20 統計的手法
4.20.1 必要性の明確化
☆工程能力,製品特性の検討などに統計的手法が必要かどうか明確にする。
B事業部では次の統計的手法を活用する。
- ① 購入検査と出荷検査 統計的抜取検査法
- ② 不適合データの処理 不良率の推定,検定
- ③ 設計,技術における評価,試験 信頼性技法(故障率)
- ④ 製造工程 グラフ、管理図
4.20.2 手順
☆社内で活用されている統計的手法の手順について記述する。
品質保証部は,4.20.1項で明確にした統計的手法の手順を統計的手法活用標準(KQM114)に規定化する。
☆QCサークル活動について記述する。
B事業部ではQCサークル活動を積極的に推進しており,QCサークル活動においては,問題の解決に統計的手法を活用している。
品質保証部がこの活動の推進事務局である。
☆関係標準書名と登録番号を記載する。
統計的手法活用標準 KQM 114
QCサークル活動推進標準 KQM 125
品質マニュアル
5.0 付録
☆各項目中に引用された標準書名と登録番号の一覧を掲載する。
部門名
部門マニュアル
登録記号
標準書名
登録番号
企画室 企画室マニュアル KPN 市場調査標準 KPN 101
総務部 総務部マニュアル KAS 文書管理標準 KAS 101・業務改善提案制度標準 KAS 102
人事部 人事部マニュアル KHR 組織標準 KHR 101・教育訓練標準 KHR 103
開発部 開発部マニュアル KDP 開発計測器管理標準 KDP 101
生産管理部 生産管理部マニュアル KPC 契約管理標準 KPC 101
注文書管理標準 KPC102
OEM客先支給品管理標準 KPC 103
製品取扱標準 KPC 105
製品保管標準 KPC 106
サービス・パーツ管理標準 KPC 105
購買部 購買部マニュアル KBJ 購買要求書発行標準 KBJ 101
外注契約書標準 KBJ 102
取引先管理標準 KBJ 103
取引先評価標準 KBJ104
購入製品特別採用処理標準 KBJ 105
設計部 設計マニュアル KDR 仕様制定標準設計 KDR 101
業務標準 KDR 102
製品企画標準 KDR 103
設計試作標準 KDR 104
設計審査標準設計 KDR 105
設計計画標準 KDR 106
試作評価標準 KDR 107
技術部 技術部マニュアル KTM 量産試作標準 KTM 101
量産認定標準 KTM 102
製品・部品コード管理標準 KTM 104
加工図面管理標準 KTM 105
機械設備管理標準 KTM 106
計測器類選定標準 KTM 108
製品・部品包装標準 KTM 109
品質保証部 品質保証マニュアル KQM 品質マニュアル標準 KQM 101
品質システム見直し標準 KQM 103
品質記録管理標準 KQM 105
品質標準書制定標準 KQM 106
部品受入検査標準 KQM 107
工程内検査標準 KQM 108
製品出荷検査標準 KQM 109
外注品質監査標準 KQM 111
検査規格制定標準 KQM 112
QC工程表標準 KQM 113
統計的手法活用標準 KQM 114
ロット管理標準 KQM 115
製品監査標準 KQM 116
計測器類管理標準 KQM 117
計測器類校正標準 KQM 118
製品識別管理標準 KQM 119
製品特別採用処理標準 KQM 120
市場クレーム処理標準 KQM 121
重要品質問題処理標準 KQM 122
内部品質監査標準 KQM 123
サービス標準 KQM 124
QCサークル活動推進標準 KQM 125
品質計画書標準 KQM 126
製造部 製造マニュアル KPT 工程品質管理標準 KPT 101
作業指示書制定標準 KPT 102
機械設備日常点検標準 KPT 103
工程異常処理標準 KPT 104
4M変動管理標準 KPT 105