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平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第18回
要約すると、組織目標のために答えなければならない質問は以下の通りです:
この戦略は、外部の脅威、機会、内部の強み及び弱みを考慮して、適切ですか?
この戦略を基に、組織の必要なアウトプットと各アウトプットからのパフォーマンスの期待レベルは決定されて、伝達されましたか?
これが目標に関する我々の最初の議論なので、ここで立場を明確にしておく良い機会だと思います。品質と生産性の権威者W. Edwards Demingの追随者の中には、目標設定に強く反対しているものもいます。彼らは、目標達成が継続的改善の障害となる自己過信に結びつくと考えています。それは起こりうることかもしれません。しかしながら我々は、変化する要求事項と能力に適応するように、目標は絶えず評価され、再設定されるべきであると考えています。目標がこのように変化に適応しておれば、これらの目標は継続的改善に対する崇高な追及を妨害するよりは支援すると思われます。(目標の再設定が、本章の後半で述べるパフォーマンスマネジメントの重要なステップのうちの1つであることに注意してください。)
組織設計。残念ながら、明確な組織目標を確立することは、ただの第一歩に過ぎません。マネージャーとアナリストは、目標が達成されうる組織を設計する必要があります。既存の組織が組織目標の達成をサポートするかどうか見出すために、我々は関係マップを考案しました。名前が示すように、このビジネスチャートの目的は、ビジネスを構成するラインとそのスタッフ部門の間の顧客-供給者関係を描写することにあります。関係マップが機能(部門)の間を流れるインプットとアウトプットを目に見えるようにし、組織図の箱の「空白」で何が起こっているかを示すことになります。図4.2はComputec社の伝統的な組織図を示しています。図4.3はComputec社の関係マップを表示します。
図4.2 Computec社の組織図(略)
図4.3 Computec社の関係マップ(略)
我々は関係マップを使用して、次のことを行います。
仕事が現在どう行われているかを理解する。(組織がシステムとしてどう行動するか)
「組織内の連携の断絶(欠落しているか、不要であるとされているか、取り違えているか、インプット又はアウトプットが誤って管理されているか)」を明確にする。
断絶のない機能(部門)間の関係を展開する。
要員のグループ分けおよび指示命令系統の確立に関する代替案を評価する。
したがって組織設計に対する我々の最初のアプローチは、機能(部門)の間のインプット-アウトプット関係を調べて改善することです。関係マップによって描かれた構造は、実際に仕事が行われる体制であり、最も重要です。議論の焦点が内部と外部の顧客-供給者関係にある場合、標準的な組織図はそれほど重要ではありません。しかしながら、指示命令系統は、仕事の流れを容易にすることもあり、また妨げることもあります。(第14章を組織構造の論議にあてます。14章で我々は、縦と横のシステムが対立することなく共存することの必要性について扱います)
要約すると、次の質問が組織設計の変数の基礎となるものです:
すべての部門が必要ですか?
機能(部門)間のインプットとアウトプットの現在の流れは適切ですか?
正式な組織体制は、戦略をサポートし、システムの効率を高めますか?
Computec社の関係マップを調べると、その組織目標を達成する会社の能力の妨げとなる組織設計における多くの断絶が明らかになります。これらの断絶は次のものを含んでいます。
マーケティング部門が販売予測の作成に参加していません。
マーケティング部門は現場活動に直結していません。
マーケティング部門は市場調査を通じてニーズの特定を行っていません。
顧客サービスを提供する機能(部門)がありません。
フロッピーディスクの注文は、受注分の生産開始前に販売部門と財務部門の両方を通らなければなりません。
製造予測が財務部門によって行われています。
あいにく断絶を特定することだけでは、それらをなくすことはできません。Computec社は、組織目標を達成するその能力の阻害となる断絶をなくす組織を設計する必要があります。(第12章では、組織構造を作るためにシステム的見方と関係マップの使用について議論します。断絶をなくするための組織構造作りの例を示すことに加えて、新生企業または部門を創造する新戦略を支援し、自動化や人員削減のようなシステムの改善を実施するのに、マップとそれから派生したツールをどのように利用できるかを示します。第13章は、作成された体制の運営管理を取り扱います)