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平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第19回
組織マネジメント。組織目標と組織設計が確立されると、その組織は運営管理される必要があります。システムとして横の組織を運営管理することは、4つの次元を含んでいます:
- 目標マネジメント:各部門は、組織目標の達成を支えるサブ目標を持つ必要があります。第2章で述べたように、効果的なサブ目標は、部門をサイロ化すること及び全体としてのシステムを阻害することを防ぎます。もしComputec社の各機能(部門)が会社全体に最大の貢献をするようにしたいならば、それらの機能(部門)は、戦略(組織目標)を基に策定された目標に対し評価されるべきで、そのことにより、他の部門が目標を達成する手助けとなります。例えばComputec社の製品開発部門は、以下のような目標を持つべきでしょう。
意欲的で迅速な新製品とサービスの開発を目指した組織目標を反映する。
新製品や新しいサービスが、技術的な妙技によってではなく、市場のニーズによって決まることを確実にする。
マーケティング部が売り込むことができる製品とサービスを設計するよう、部門に対し要求する。
顧客が要求する品質と納期を守り、Computec社が必要とする利益を出し、市場サービス部門及び製造部門が作り、売り、配送することができる製品を設計することを、部門に対し要求する。 - パフォーマンスマネジメント:目標を達成するためにパフォーマンスは、組織レベルで運営管理される必要があります。Computec社の製品開発例を継続すると、Computec社の上級マネジメントは、次のことをする必要があります。
Computec社の顧客から製品とサービスの有効性に関する定期的なフィードバックを得る。
製品開発と導入の組織目標への貢献に関して、製品開発、マーケティング及び市場サービス部門を評価する。
その製品開発と製品導入状況に関して、製品開発部門、マーケティング部門と市場サービス部門へのフィードバックを提供する。
組織横断的な問題解決チームが製品開発と製品導入問題を扱うことを確実にする。
もし市場に変化があるならば、製品開発と製品導入に関する目標を再確立する。組織という玉ねぎを1皮むくと、製品開発部のマネジメントは次のことをする必要があります。
定期的にComputec社の顧客から、及び製品開発部の内部顧客であるマーケティングと市場サービス部門から製品とサービスの有効性に関するフィードバックを得る。
確立した目標に関してパフォーマンスを評価する。(製品開発部門はパフォーマンスが評価される領域で成果を出します)
パフォーマンス情報を製品開発部門の中の各組織にフィードバックする。
部門の目標に対する進捗を妨害する問題を解決する。
内外の市場の現状に適合する目標を再確立する。 - 資源マネジメント:Computec社の製品開発部門には、「その目標を達成するための十分な要員と資金」及び「目標を満たすことができる製品開発の領域へのその資源配分」という2つの資源ニーズがあります。パフォーマンスマネジメントと同じように、このことはComputec社の上級マネジメントと製品開発のマネジメント両方に責任があることを示します。経営幹部会メンバーが経費を減らすことを望み、すべての部門で10%の人員削減を強制するのは愚かなことです。製品開発スタッフの10%を削減すればComputec社の重要な組織目標のうちの1つを確実に犠牲にするかもしれないことを、彼らは悟るべきです。恐らく、製品開発での人数削減をゼロとし、別の部門で20%減少すべきでしょう。組織目標が横の組織を通じてのみ達成されるので、トップマネジメントは、横の組織全体を睨み資源を配分しなければなりません。玉ねぎを1皮むくことにより、製品開発担当の副社長は、彼又は彼女の担当領域にある横の組織の繋がりを考慮して資源を配分することに責任を負うことになります。
- インタフェースマネジメント:Computec社の幹部マネージャーがパフォーマンスをシステム的見方で見ると、鍵となる組織目標達成への障壁と機会の両方が部門間の「空白」にあることを理解します。彼らは、製品開発及び製品導入システム(それはマーケティング、製品開発及び市場サービスの部門を含んでいる)がうまくいく場合のみ、製品導入目標が達成されることを悟ります。トップチーム(理想的には、関係マップを見ながら)は、これら3つの部門の中を流れるインプットとアウトプットに関し明晰であり、このフロー(このインタフェース)がスムーズになることを確実にするためにかなりの時間を費やすべきです。
製品開発の副社長は、その部門の中の様々な下位組織が効果的に、かつ効率的に調和して仕事をすることを確実にする責任を持っています。