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平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第43回
第10章 プロセスの再設計
-そして、それが事実です。
– Walther Cronkite
プロセスは「それが事実」です。第2、3章及び第5章では、我々は業務がプロセスで達成される(又は、達成され得ない)と把握することの重要性を強調しました。プロセスパフォーマンスを改善できないということは、組織パフォーマンスを改善できないということです。効果的にプロセスを管理できないことは効果的にビジネスを経営できないことです。
ほとんどの大企業(シェル、フォード、ボーイング、GTE、アメリカンエキスプレス、モトローラ及びAT&Tを含んでいる)は、プロセス改善、及び/又はプロセスマネジネントの活動を実施しています。次の声明はいくつかの組織が横の組織の運営に重点おいていることを例証しています。
我々は、ビジネス活動を行なっているプロセスを継続的に改善することなしに、品質、コスト、時間通りのプログラムの完了に関する目標を簡単に達成し、維持することはできません。……プロセスにおける品質改善は、コスト削減の可能性のかなりの部分を占めると思われます(John Manoogian、フォード 自動車社、1989)。
IBMは総合的品質改善システムの5つの要素を特定しました。……これらの中の1つの要素は、すべての作業活動がプロセスとみなされるということに注目しており、後に、「品質に焦点をあてたビジネスプロセス」として知られるようになりました。(Edward J. Kane、品質、マーケティングサービス及びサポートシステムの取締役、IBM、1986)
すべての業務はプロセスとして特定できます・・・全ての人はプロセスを運営管理しています。(プロセスの品質マネジメントと改善のガイドライン、AT&T社、1987)
「達成のための鍵となる手法…品質改善の目標は作業プロセスの改善です。」(ボーイング社総合的品質の指針の「プロセスの改善」の章)
プロセスは、上記のような重要な役割を果たしており、かつ、プロセスマネジネントは伝統的なヒエラルキにおいては、しばしば反カルチャー的な活動を必要とするので、第2レベルのパフォーマンス(第5章で説明)の変数については特別な扱いをする必要があると考えています。しかし、最大限の影響を及ぼすプロセス改善プロジェクト及び不断のプロセスマネジネントには全3レベルのパフォーマンス(図10.1)における分析と処置が必要であると確信しています。
図10.1 ラムラー-ブラーシュプロセス改善及びマネジメント方法論(略)
フェーズ0:パフォーマンス改善計画
フェーズ0はプロセス改善とマネジネントの活動が、戦略上及び運用上の優先事項によって動かされていることを確実にするように設計されています。フェーズ0では、企業体(会社、公的機関、事業体、部門、又は課を含む)のリーダーは次のことを行ないます。第7章のチェック項目の最新の答えを含んでいることを確認しながら戦略を確立するか、又は明確にします。スーパーシステムマップ(第2章参照)は、戦略的筋書きを提供する手助けをします。
主要プロセス、補助プロセス、及びマネジメントプロセスの詳細リスト(第5章参照)を作成し、戦略の実現に最も重要な3から7つの「核」となるプロセスを特定します。
組織がビジネスをする環境(スーパーシステム)におけるワールドクラスのパフォーマンスに不可欠な変数である重要成功要因(CSF)は核となるプロセスの特定の手引きとして役立ちます。プロセスがどう連係しているかを示す「プロセス関係マップ」は、しばしば詳細リストと核となるプロセスを表すのに役立ちます。
戦略の成功に対して最も重要である脅威または機会となる重要経営課題(CBI)を特定します。これは組織全体にかかわることなので、重要経営問題は、往々にしてプロセスに固有のものではありません。通常、重要経営課題は収入、利益、又はシェアに関連します。
もし改善されるならば、核となる(または他の)のプロセスのどれが最も大きい影響をCBIに与えるかを決定します。この決定への強力なインプット情報は、活動基準原価計算(ABC)手法を使い計算されたプロセス毎の現在のコストです。
「誰によって」と「いつまでに」を含む次の二つのパーツからなる、プロセス改善及びマネジメント(PI&M)計画を立案します。
- プロセス改善プロジェクト(PIP)を通して重要経営問題(CBI)を取り扱うために取られる活動。これらのCBI/プロセスはフェーズ1に繋がります。
- プロセス改善プロジェクト(PIP)を必要としないが核となるプロセスを運営管理するために取られる活動。これらのプロセスは直接フェ-ズ4に繋がります。
フェーズ0の最後に、組織は、プロセス改善とマネジネントを展開する合理的な計画を持つことになります。