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平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第58回
第2の事例から、結果ではなく行動を管理しようとするマネージャーと、一階層下の部下の仕事をしようとする傾向の、パフォーマンス情報を誤って使用することによる2つの副作用を見ることができます。ホテルの地区支配人は、前述した一連の行動を誘発するのではなく、次のようにすべきでした。
汚い灰皿は、整理整頓のプロセスがいいかげんである証拠として理解する。地区支配人の主要な関心は特定の灰皿にあるのではなく、整理整頓のプロセス状態にある。
地区支配人は、ホテル支配人と一緒に「汚い灰皿」を見て、整理整頓のプロセスについて次のような質問をする。
整理整頓のプロセスが、基準どおりに行われていると思いますか?
どのようにして整理整頓のプロセスが基準どおりであるかどうかを知るのですか?
我々は今の整理整頓の基準、又は目標に同意していますか?
必要なら、ホテル支配人に質問をしながら整理整頓のプロセス状態を、次のような質問を通し見直する。
手順マニュアルは最新化され使用されているか?
プロセスパフォーマンスは追跡されているか、そして、その情報は問題解決と意志決定に使用されているか?
必要なツールがあり使用されているか?
これらのデータに基づいて、地区支配人はホテル支配人と共に適切な是正処置を取る必要があるかも知れません。
汚い灰皿に代表されるように、整理整頓のプロセスが守られていない個所はどこであるかを明確にするため、ホテル支配人に整理整頓の担当監督者と会うことを勧める。彼らは共同で次の質問に答える。
プロセス及びプロセスの評価指標に欠陥があるか?
我々はプロセスの不適切に実行していないか? もしそうならば、整理整頓の係は適切に訓練されているのか? 彼らは十分な資源を与えられているか?
整理整頓の担当監督者は適切にプロセスを管理しているか?
ホテル支配人は、答えに基づいて問題の再発防止のために適切な処置を取るべきです。
これら両方の事例での課題は、パフォーマンスを高めるために評価データを知的に使用するということです。
パフォーマンスマネジメントシステム。パフォーマンスを効果的に管理したいならば、3つ全てのレベル(そして上述の「パフォーマンス論理」のあらゆる層で)で次のことを必要とします。
適切な評価指標と目標を確立する(プロセスレベルと業務/遂行者レベルにおいてはより高いレベルに連動することを含む)。
パフォーマンスを追跡する、そしてパフォーマンスと目標のギャップを明確にし、ギャップの原因を特定し、ギャップを埋めるための対策をとる。
マネジメント意志決定とパフォーマンス改善の基礎として評価情報を活用する。
図12.6にパフォーマンスマネジネントシステムのこれら3要素を示します。業務/遂行者レベルの例で説明します。
ステップ1:各業務のアウトプットとパフォーマンス期待値を明確にする(目標設定)。
ステップ2:業務/遂行者は、自分のパフォーマンスを継続的に監視でき、もし目標から外れていたら状況を調べ是正処置を取ることができることを確実にする。さらに、業務/遂行者の監督者とマネージャーは、業務/プロセスの重要な要素を追跡することができ、パフォーマンス目標からのズレに対策をとることができるべきである。しかし、業務/遂行者はパフォーマンスデータに関し監督者/マネージャーに頼らなくてもよいということを強調したい。業務/遂行者には必要な調整が許され、パフォーマンスデータは直接彼らに届くべきである。
ステップ3:業務/遂行者と監督者/マネージャーは、パフォーマンスを定期的に(四半期、半年ごとに)レビューすること。このレビューは、パフォーマンスが示す傾向に焦点が合っており、業務/遂行者とマネージャー(ステップ2に記述)との間で頻繁に行われる議論の再確認であるべきである。業務/遂行者はこの正式なレビューについて全てを知っているべきであり、このレビューは業績評価の要約となり、次のことに関しての決定につながる。
業務パフォーマンス向上に向けて業務/遂行者に要求される処置とマネージャーに要求される処置
業務/遂行者の昇進の可能性
業務/遂行者の報酬の調整
業務/遂行者が、現有業務のパフォーマンスを向上させるための、及び新しい業務に昇進するに備えての教育訓練と啓発
次期パフォーマンス評価への目標の変更