平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第65回

最高経営者は、月度事業レビューのプロセスにおいて次の事項を行います。

顧客満足目標に関して、製品と市場パフォーマンスを吟味する。
収入と利益目標に関して、製品と市場パフォーマンスを吟味する。
予算目標に関して、コストパフォーマンスを吟味する。
顧客満足、収入と利益、及びコストについて設定されたプロセス目標に関して、プロセスパフォーマンスを吟味する。各部門のパフォーマンスは、同意しているプロセスサポートをどの程度実施したかで評価される。レビューのこのステップでは、チームは次のような問いかけをすることができる。
なぜパフォーマンスは予想より良い(悪い)のか?この傾向は今回だけか、それとも継続的なものか?これは予期しなかったことか?そうだとすれば、なぜか?プロセスには欠陥があるのか?部門の優先事項がプロセスの優先事項に取って代わられてないか?我々の目標設定、計画、又は予算は不十分なのか?
目標を追加したり変更したりする必要があるのか?
資源を再割り当てする必要があるか?そうだとすれば、どのプロセス又は部門に多く割り当てるのか?どの程度、どこからか?

事業レビューミーティングにおいて、社長が質問をします。プロセスオーナーが大部分を答え、部門長がサポートします。その答えによって、最終的には活動課題となり個人に割り当てられる対応策が導かれます。これらの活動課題は文書化され、方針の変更、目標の変更、資源の変更、プロセスの変更、指示報告の変更、及び経営活動の変更に分類されます。
年2回のパフォーマンスレビューのプロセスにおいて、社長がプロセス、プロセスオーナー、及び部門長の格付けをします。これらの格付けで年間のボーナスが決まります。ボーナスの総額は会社の利益によって決定されます。このシナリオには伝統的な運営管理と異なる、次のような特徴があると理解しています。

評価指標は顧客志向となっているので、顧客の声はパフォーマンスレビューのプロセス全てに反映されています。
目標はプロセス中心の考え方から決まっているので、トップチームは業務のパフォーマンスを総合的に確認できます。
目標はプロセス中心の考え方から決まっているので、トップチームは結果と結果を出したやり方の両方を確認できる。チームはその結果の理由を理解しているので、事業をよりよく統制することができます。
プロセスオーナーはマネジメントプロセスの重要な役割を担っているので、「正しい業務推進方法」や「空白の管理」が他の問題でかき消されることはありません。
部門目標はプロセス目標の下位にあるため、どの部門長も、資源の不適切な配分を主張できません。
3レベルがパフォーマンスマネジネントのプロセスに組み込まれているので、変化はより知的に運営管理されます。トップチームは、プロセスレベルと業務/遂行者レベルにおける活動を含んだ実行計画の展開をすることなしに、戦略又は方針の決定をするという誤りをしなくなり、組織レベルと業務/遂行者レベルへの影響を明確にしないでシステム改善を開始するという誤りをしなくなるし、又組織レベルとプロセスレベルのニーズへの対応以外の、従業員のパフォーマンス向上に関する行動を取るという誤りもしなくなります。

システムマネジメントの企業カルチャー

我々は、システムが運営管理されている組織のカルチャーは、従来からの伝統的な組織のカルチャーと異なっていることを発見しました。表13.1は、伝統的(縦)カルチャーとシステム的(横)カルチャーの対比です。システム的カルチャーの中では、すべての階層のマネージャーが、表 13.2に含まれるシステムの運営管理に関する質問に対して「はい」と答えることができます。