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■バブル崩壊から33年経って2
私の手元に「Japan is back」という成長戦略を描いた政府の文書があります。何回か改定されていますが、第二次安倍内閣の経済政策(アベノミクス)の「第三の矢」である成長戦略を2013 年6月 14 日に閣議決定したものが初回発信で、日本語タイトルは「日本再興戦略」です。それから10年経って産業界でも賃上げの機運が出てきて、2024年春闘での5%を超える賃上げという情報に接しますと、日本の産業界もやっと成長への道筋が描けるのではないかと思います。競争力強化の鍵を握るのはあくまでも民間です。企業に眠る膨大な内部留保資金を将来の価値を生み出す投資へと向かわせる必要があります。古くなった設備・資産を大胆に処分し、設備を最新鋭のものに置き換える必要があります。もう一度世界のトップに躍り出るためには研究開発を加速し、成長分野に資金・人材・設備を積極的に投入することも大切です。こうした形で経営者が動き出せば、日本の企業が再び元気を取り戻し、設備投資の増加や生産性の向上を実現することを通じて、魅力的な新製品・サービスを次々と生み出し、国際的な競争に勝ち抜き、世界の市場を獲得していくことが期待できるようになります。このため、政府としては、安定的なマクロ経済環境の整備や経済連携の立ち後れの解消、低コストでのエネルギー供給の実現、投資を阻害する諸規制・制度の見直しなど、我が国企業の競争条件の改善に向けて、これまで以上の強化に取り組むべきことが肝要です。生産設備や事業の新陳代謝を促す枠組みを構築し、思い切った投資減税で法人負担を軽減すること等によって積極姿勢に転じた企業を大胆に支援していくことを検討していただきたいと思います。経営者に大胆な新陳代謝や新たな起業を促し、それを後押しするため、設備投資促進策や新事業の創出を従来の発想を超えたスピードと規模感で大胆かつ強力に推進することだとおもいます。加えて、株主等が企業経営者の前向きな取組を積極的に後押しするようコーポレートガバナンスを見直し、日本企業を国際競争に勝てる体質に変革することも視野に入れなければならないと思います。
「民間の投資を引き出す際に何よりも重要となるのが、投資先で民間の創意と工夫が十分に発揮できる仕組みが用意されるのか、これまで規制で縛られていた分野がこれからどう変わるのかという点である。 医療・介護・保育などの社会保障分野や、農業、エネルギー産業、公共事業などの分野は、民間の創意工夫が活 い かされにくい分野と言われてきた。このことは、これらの分野はやり方次第では、成長分野へと転換可能であり、また、良質で低コストのサービスや製品を国民に効率的に提供できる大きな余地が残された分野である ことを意味する。これまで民間の力の活用が不十分であった分野や、そもそも民間が入り込めなかった分野で規制・制度改革と官業の開放を断行し、「規制省国」を実現する。単に、 規制分野や官業への民間参入を促すだけにとどまらず、これらの分野に民間の資金、 人材、技術、ノウハウを呼び込み、意欲ある人材や新技術が積極的に投入されるようにして、新たな日本経済の成長エンジン、雇用機会を提供する産業に仕立て上げ ることを目指す。
国が担ってきた社会資本整備に、コンセッション(concession:委託)方式による PPP/PFI(Public , Private , Partnership/Private Financial Initiative)を活用することで大胆に民間の資金や知恵を導入し、より安全で便利な、より強靱な社会インフラを効率的に整備していく計画もあると聞きます。また、世界最高水準の事業環境を整備し、ビッグデータや公共データなど IT を活用したイノベーションを起こすことも国の政策として考えられています。このように民間の活力を最大限引き出すことを目指して、新陳代謝とベンチャーの加速、規制・制度改革と官業の開放を断行することで、グローバル競争に勝ち続ける製造業の復活、付加価値の高いサービス産業の創出を図っていくことが望まれます。例えば、国民の関心の高い健康分野については、日本版NIH の創設や先進医療の対象拡大によって革新的な医療技術を世界に先駆けて実用化していくとともに、一般用医薬品のインターネット販売の解禁や、医療・介護・予防の ICT 化を徹底し、世界で最も便利で効率的で安心できるシステムを作り上げる政策もあります。農業については、農地中間管理機構を整備・活用して、農地集約を加速化した上で、リース方式により企業を含めた多様な担い手の農業参入を促進することも計画されているようです。
(つづく)Y.H