ISO審査員及びISO内部監査員に経産省の白書を参考にした製造業における有用な情報をお届けします。

■学校教育におけるものづくり教育

1.初等中等教育において講じた施策
(1)スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(13百万円の内数)
社会の変化や産業の動向等に対応した、高度な知識・技能を身に付け、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するため、先進的な卓越した取組を行う専門高校をスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)として指定し、その取組を支援した。
(2)全国産業教育フェアの開催(22百万円)
全国の専門高校等の生徒の学習成果を総合的に発表する場を提供し、学習意欲等を高めるとともに、産業界、教育界をはじめ、国民一般に広く産業教育への理解を深めてもらうため、専門高校等の生徒の研究発表や作品展示等を行う全国産業教育フェアを2021 年10 月30 日に埼玉県においてオンラインにより開催した。
(3) 地域との協働による高等学校教育改革推進事業(2億19百万円)
高等学校が自治体、高等教育機関、産業界等と協働してコンソーシアムを構築し、地域課題の解決等を通じた探究的な学びを実現する取組を推進している。この取組のうちプロフェッショナル型において、地域に求められる人材を育成するため、地域の産業界等と連携・協働しながら地域課題の解決等の探究的な学びを実現する取組を支援した。
(4) マイスター・ハイスクール(次世代地域産業人材育成刷新事業)(2億7百万円の内数)
第4次産業革命の進展、デジタルトランスフォーメーション(DX)、6次産業化等、産業構造や仕事内容は急速に変化しており、アフター・コロナ社会においては、こうした変化が一層急激になることが予見される中、産業人材育成を担う専門高校においては、成長産業化を図る産業界と絶えず連動した職業人材の育成が喫緊の社会的要請になっている。この変化に連動した最先端の職業人材を育成するため、中核となって取組を行う専門高校をマイスター・ハイスクールに指定し、専門高校とその設置者、産業界、地方公共団体が一体となって地域の持続的な成長を牽引する人材育成に資するよう教育課程等を刷新する取組を支援した。
(5) 教員研修の実施((独)教職員支援機構の運営費交付金の内数)
職業に関する教科の教員等を対象とした研修を実施した。
(6)産業教育施設・設備の整備
公立高等学校における産業教育施設の整備に係る費用について、学校施設環境改善交付金の対象としてその一部を補助した。また私立高等学校における産業教育施設・設備の整備に係る経費については、それぞれ高等学校産業教育設備整備費補助及び私立高等学校産業教育施設整備費補助の対象としてその一部を補助した。
さらに、2020 年度第3次補正予算においては、最先端のデジタル化に対応した産業教育装置の整備について国が緊急的に補助した。
(7)スーパーサイエンスハイスクール(国立研究開発法人科学技術振興機構運営費交付金の内数等)
将来国際的に活躍しうる科学技術人材の育成を図るため、先進的な理数系教育を実施する高等学校等を指定し、学習指導要領によらないカリキュラムの開発・実践や課題研究の推進、観察・実験等を通じた体験的・問題解決的な学習等を推進する。
(8) 理数教育充実のための総合的な支援(19億12百万円)
理科教育における観察・実験や指導の充実に向けた指導体制を整えるための理科観察・実験アシスタントの配置の支援や、理科教育振興法(昭和28 年8月8日法律第186 号)に基づき、観察・実験に係る実験用機器を始めとした理科、算数・数学教育に使用する設備の計画的な整備を進めている。
(9) 知的財産に関する創造力・実践力・活用力開発事業、知財力開発校支援事業((独)工業所有権情報・研修館運営費交付金の内数)
アイデアを知的財産へ具体化、模擬的な出願書類を作成する過程等を通じて、新しいものや仕組みを企画・提案する「創造力」、その企画・提案を実社会のルールの中で実現させていく「実践力」、更にアイデアや創意工夫を実社会の中で形にして活用する「活用力」を付けてもらうことを目的として、知的財産に関する創造力・実践力・活用力開発事業を実施した。また、2020 年度からは知的財産の保護や権利の活用についての知識や情意、態度を育む取組を支援することを目的として、知財力開発校支援事業も実施した。

2 専修学校教育において講じた施策
(1) 専修学校による地域産業中核的人材養成事業(9億84百万円)
専修学校等を始めとした教育機関が産業界等と協働して、分野に応じた中長期的な人材育成に向けた協議体制の構築等を進めるとともに、これからの時代に対応した教育プログラム等の開発や効果的な産学連携教育の実施のためのガイドラインの作成等の取組を実施した。
(2)「 職業実践専門課程」の認定
2014 年度から、企業等との密接な連携を通じ、より実践的な職業教育の質の確保に組織的に取り組む専修学校の専門課程を文部科学大臣が認定する「職業実践専門課程」制度を実施(認定学校数:1,083 校、認定学科数:3,154 学科(2022 年3月25 日現在))。
(3)「 キャリア形成促進プログラム」の認定
2018 年度から、専修学校における社会人が受講しやすい工夫や企業等との連携がされた実践的な短期プログラムを「キャリア形成促進プログラム」として文部科学大臣が認定する制度を創設(認定学校数:13校、認定課程数:17課程(2022年年3月25日現在))。

3 高等専門学校において講じた施策
社会的要請が高い分野における実践的・創造的な技術者を育成する国立高等専門学校の教育活動を支える基盤的な経費の充実を図るとともに、高専教育の高度化、日本型高専教育制度の海外展開と国際化を一体的に推進する取組を重点的に支援した。

4 大学教育において講じた施策
(1) Society5.0に対応した高度技術人材育成事業(2億85百万円)
大学と企業等の産業界が連携し、我が国の成長を牽引する分野の専門人材を育成する実践的な教育を促進するため、「Society5.0 に対応した高度技術人材育成事業」を実施している。そのうち、情報技術を活用して社会課題を解決できる人材を育成する「成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成(Education Network for Practical Information
Technologies, enPiT)」において、拠点大学を中心とした産学教育ネットワークを構築するとともに、社会人を主な対象とする体系的で高度な短期の実践教育プログラムの開発・実施を進めた。
(2)職業実践力育成プログラム(BP)
社会人の職業に必要な能力の向上を図る機会の拡大を目指し、大学等における社会人や企業等のニーズに応じた実践的・専門的なプログラムを「職業実践力育成プログラム」(BP) として文部科学大臣が認定する制度を実施(認定課程数:357 課程(2021 年12 月現在)。
(3)卓越大学院プログラム(60億32百万円)
各大学が自身の強みを核に、これまでの大学院改革の成果を生かし、国内外の大学・研究機関・民間企業等と組織的な連携を行いつつ、世界最高水準の教育力・研究力を結集した5年一貫の博士課程学位プログラムを構築することで、あらゆるセクターを牽引する卓越した博士人材を育成するとともに、人材育成・交流及び新たな共同研究の創出が持続的に展開される卓越した拠点を形成する取組を推進する。

(一般市民や若年層に対する普及啓発)
(1) 日本科学未来館での取組 (国立研究開発法人科学技術振興機構運営費交付金の内数)
2021 年度においては新型コロナウイルス感染症対策の観点から、接触の多い体験型コンテンツは実施を一部休止した(親子で体験する無料スペース「”おや?”ちびっこひろば」、実験やゲームなどにより先端科学と暮らしとのかかわりを紹介する「アクティビティ@コ・スタジオ」等)。一方、オンラインによるトークイベントやワークショップを拡充し、来館にとらわれない科学コミュニケーション活動の普及展開を推進した。また、小・中・高等学校等への遠隔授業として、学校団体向けプログラムを実施し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況下における学習支援活動も推進した。
(2)「 子どもゆめ基金」事業による科学体験活動等への支援
(独)国立青少年教育振興機構では、「子どもゆめ基金」事業により、民間団体が行う子供の自然体験活動や科学体験活動などの様々な体験活動等に対して助成を行っている。2021 年度は、4,919 件の応募に対し、3,903 件を採択した。
(3)(独)国立科学博物館での取組
国立科学博物館では、自然史や科学技術史に関する調査・研究と標本・資料の収集・保管・活用を行い、人々のものづくりへの関心を高める展示・学習支援活動を実施している。2021 年度においては、木の性質を利用して、木と木をすき間なく組み合わせる木組の技術を紹介する国立科学博物館・竹中大工道具館共同企画展「木組分解してみました」を開催した。その他、ヒットネット【HITNET】ミニ企画展「音の誘惑-日本の産業技術-」や「未来技術遺産 登録パネル展」を開催し、日々の生活を支え、豊かな文化を育んできた産業技術やその歴史を紹介した。また、当館が保有する戦後初の国産旅客機「YS-11量産初号機」を始めとした重要な航空資料について、茨城県筑西市に開館予定である科博廣澤航空博物館での一般公開に向けて引き続き準備を行った。
(4) 文化財の保存技術の保護(4億55百万円)
選定保存技術の保持者・保存団体が行う伝承者養成や技術の錬磨等に対して補助を行うとともに、支援が必要な文化財の保存技術を対象として保存団体等が行う伝承者養成等に補助を行った。また、選定保存技術の公開事業として「文化庁日本の技フェア」を開催した。>?

2 技術者に対する生涯学習の支援
(1) 研究人材キャリア情報活用支援事業(国立研究開発法人科学技術振興機構運営費交付金の内数)
研究人材・技術者のキャリア形成・能力開発に資するため、能力開発や再教育のためのe ラーニング教材をポータルサイト上で提供した。

(出典)経済産業省 2022年版ものづくり白書
 ・https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2022/index.html

(つづく)Y.H