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ISO審査員及びISO内部監査員に文部科学省の白書を参考に各種有用な情報をお届けします。
■研究者の研究時間割合
平成14年から5年に1度、大学等教員の職務活動時間割合を調べるため、「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査1」を実施しています。本調査によると、平成14年度調査に比べ、平成30年度調査では、研究時間割合や研究時間は減少しています。また、研究パフォーマンスを高める上での制約として、最も回答割合が高かったのは、研究時間でした。研究力向上の観点から、研究者の研究時間割合の確保が重要な課題です。
(研究時間割合)
全分野の大学等教員の職務活動時間割合の推移について概観します。
・教員の研究活動割合が減少する一方、教育活動と社会サービス活動の割合が増加しています。
・平成14年度と平成30年度の調査を比較すると、研究活動割合が13.6ポイント減少、教育活動割合が4.8ポイント増加、社会サービス活動割合が10.8ポイント増加しています。
・平成14年度と平成20年度の調査を比較すると、いずれの分野でも研究活動割合が減少しています。
・保健分野では、平成20年度調査以降も、引き続き、研究活動割合が減少する一方、社会サービス活動(診療活動等)が増加しています。
・保健分野(医学・歯学・薬学等)以外の分野では、平成20年度調査以降、大きな変化はありません。
以上のように、平成14年度調査時点に比べ、全分野で研究活動割合は減少しています。平成20年度調査以降、保健分野は一貫して減少していますが、それ以外の分野は横ばいです。
(年間総職務時間における研究活動時間)
大学等教員の年間総職務時間の推移について見ていきます。
・平成14年度と平成30年度の調査を比較すると、研究活動時間は、約65%に減少しています。
・研究活動割合の減少が大きい保健分野を除いた場合でも、研究活動時間は、平成14年度と平成30年度の調査を比較すると、約78%に減少しています。以上のように、大学等教員の研究活動時間は一貫して減少しており、研究活動時間のマネジメントの重要性が一層高まっています。
(年齢階層別の研究活動時間・割合)
年齢階層別の大学等教員の年間総職務時間・割合の推移について見ていきます。
・年齢が若いほど、研究活動の割合が高くなります。
・どの年齢階層においても、一貫して、研究活動時間は減少しており、例えば、25~34歳の研究活動時間について、平成14年度と平成30年度の調査を比較すると、約68%に減少しています。
(研究パフォーマンスを高める上での制約)
研究パフォーマンスを高める上での制約についてのアンケート調査結果について確認していきます。
・研究パフォーマンスを高める上での制約として最も回答割合が高かったのは、研究時間であり、次いで研究資金、研究人材、研究環境の順です。以上のように、大学等教員には、研究パフォーマンスを高める上で、研究時間の確保が最大の課題と認識されています。
(研究時間面と研究資金面における具体的制約事項)
研究パフォーマンスを高める上での制約として回答割合が高かった研究時間と研究資金について、具体的な制約事項を尋ねた結果をみていきます。
・研究時間においては、過重な教育負担と大学運営業務の二つを制約とする回答割合が高いです。
・研究資金においては、基盤的経費の不足についての回答割合が最も高く、これに競争的資金等、外部研究資金の確保が困難という回答が続いています。以上のように、研究パフォーマンスを高める上での具体的な制約事項として、教育負担や大学運営業務によって研究時間が確保できないことや、基盤的経費の不足等によって研究資金が確保できないことが挙げられています。
■研究人材
日本の研究者数は、世界第3位の規模ですが、研究時間割合を考慮した研究者数は、2000年代以降多くの主要国が増加する中、横ばいです。また、大学の本務教員については、40歳未満の若手の割合が一貫して低下しており、大学院博士課程の入学者数は、2003年度をピークに減少傾向です。また、我が国の女性研究者割合は、年々増加傾向にありますが、諸外国と比較すると、なお低い水準にあります。研究時間割合を考慮した研究者数、中でも若手研究者や女性研究者の確保が重要な課題です。
(研究時間割合を考慮した研究者数)
主要国等の研究者の推移について確認していきます。
・日本の研究者数は2021年3月31日現在において、89.1万人、研究時間割合を考慮した専従換算で68.2万人と、中国、米国に次ぐ世界第3位の研究者数の規模です。
・研究時間割合を考慮した専従換算の研究者数は、多くの主要国が増加する中、2000年代以降、横ばい傾向が続いています。
・なお、日本の研究者(実数)を組織別にみると、企業が約6割、大学等が約4割、公的機関等が1割以下となっています。
以上のように、日本の専従換算の研究者数は世界第3位の規模ですが、多くの主要国が増加する中、横ばい傾向が続いています。各国の規模に鑑み、人口1万人当たりの研究者数で比較したものです。
・2009年までは主要国の中で最も高い人数でしたが、2010年に韓国、2019年にはドイツが日本(専従換算)を上回っています。
(国立大学等における分野別研究者数)
我が国の国立大学等における分野別研究者数(研究専従換算をしていない値)の推移についてみていきます。
・我が国の国立大学等における分野別研究者数の推移を見ると、保健分野では本務教員数及び医局員
・その他研究者は増加していますが、保健分野以外の分野では研究者数はおおむね横ばいで推移しています。
(大学本務教員の年齢階層別の構成割合)
大学本務教員の年齢階層別の構成割合の推移について確認してきます。
・40歳未満の教員の割合は一貫して低下しており、2001年度では29.5%、2019年度では22.1%です。
・一方で、50~59歳及び60歳以上の割合は上昇しており、2019年度では28.1%、19.8%に増加しています。
・なお、40歳未満の教員の数は、2001年度は44,727人、2019年度は41,072人となっています。
(女性研究者の割合)
主要国における女性研究者の割合の推移について確認していきます。
・研究者の多様性向上の観点からも女性研究者の活躍は期待されています。我が国の女性研究者割合は、年々増加傾向にありますが、その割合は、諸外国と比較すると、なお低い水準にあります。
・なお、日本の女性研究者数は、2003年は88,674人、2021年は166,304人となっています。
(博士課程入学者数)
博士課程入学者数の推移についてみていきます。
・我が国の大学院博士課程の入学者数は、2003年度をピークに減少傾向にあり、2021年度は約1.5万人となっています。
・社会人博士課程入学者数は、増加傾向であり、全体に占める割合は2003年度と比較すると約2倍となっています。修士課程から博士後期課程等への進学者数・進学率の推移です。
・修士課程から博士後期課程等への進学率は減少傾向であり、2021年度では9.7%です。
(人口当たり博士号取得者数)
人口百万人当たりの博士号取得者数について各国の状況をみていきます。
・2018年度においては、英国(375人)、次いでドイツ(336人)が多く、日本(120人)は英独の3分の1程度です。
(研究支援者数)
主要国等の研究者1人当たりの研究支援者数について状況を確認していきます。
・研究支援者は、研究開発の担い手として重要な存在ですが、我が国における研究者1人当たりの研究支援者数は0.25人であり、主要国等との比較では低い水準にあります。
■研究開発費
日本は、他の主要国と比較して、研究開発費(研究機関が実際に使用した研究費)や科学技術予算の対GDP比は高い水準にありますが、近年、大学部門、公的機関部門、企業部門の研究開発費は停滞しています。
(研究開発費総額の対GDP比率の推移)
主要国における官民合わせた研究開発費の対GDP比率の推移について確認していきます。
・日本は、他の主要国と比較して、研究開発費の対GDP比は、高い水準にあります。
・なお、日本の研究開発費については、企業部門が約73%、大学部門が約19%、公的機関部門が約7%を占めています。
(主要国の政府負担研究費の対GDP比率の推移)
主要国における政府が負担する研究費の対GDP比率の推移についてみていきます。
・政府が負担する研究費の対GDP比は、主要国と同程度です。
(主要国政府の科学技術予算の対GDP比率の推移)
主要国政府の科学技術予算の対GDP比率の推移についてみていきます。
・日本(地域を含む最終予算)は、2019年は1.03%であり、1.08%の中国や1.09%の韓国とともに、他の主要国と比較して高い水準にあります。第1-1-29図は、主要国のGDPの推移です。
・他の主要国がGDPを伸ばす中、日本は微増にとどまっています。
(研究開発費の推移)
2000年を1とした場合の大学部門、公的機関部門、企業部門の研究開発費(名目額(OECD購買力平価換算))の推移について、各国の状況について確認していきます。
・いずれの部門においても、中国や韓国が大きく伸びる中、日本は停滞しています。
・特に、大学部門について、他の主要国との差が大きくなっています。
(大学部門の研究本務者1人当たりの研究費)
大学部門の研究本務者1人当たりの研究費の推移について確認してきます。
・大学部門の研究本務者一人当たりの研究費は横ばいに推移しており、2004年度は1,248万円、2021年度は1,230万円です。
(つづく)Y.H
(出典)
文部科学省 令和4年版科学技術・イノベーション白書
科学技術・イノベーション白書