●ISO内部監査に向けて改めて業務運営基本マニュアルを読んでみました(その2)

営業部の鈴木一郎です。
このところ部長と当社の業務運営基本マニュアルについてのやり取りばかりで、かなり疲れています。でも内部監査を受けるために、このマニュアルが分かっていないと話にならない、というのは何となくですが(ここは部長にはナイショの部分です)わかってきたような気がしています。今日は先日部長に質問した内容について、かなりお恥ずかしいような内容ですが、恥を忍んでそのご報告をしたいと思います。

まず部長に改めて読み直して疑問に思ったこと、として聞いたことがマニュアルの名称です。
ISOの内部監査を受けるために使うマニュアルですから、ISOマニュアルとか、環境マニュアル、という名称でよいのかと思ったのですが、業務運営基本マニュアルという随分仰々しい名前になっています。
そしてその記載内容も、前々回お話ししたように、当社の理念や方針が冒頭に書いてあって、そのあとに目標の話が出てきます。あちこちで環境を意識した言葉が使われてはいるのですが、環境対応に特化したマニュアルでは全くないのです。だから文章量も多くなっていて、正直あまり読みたい、というものではありません。
まあ、さすがに部長にはそのままの感想をぶつけるわけにはいきませんから、無難にいくためにも、
「環境のISO監査を受けるための文書ということで環境に関するものに特化したマニュアルにすればよいのではないでしょうか」
と聞いてみたわけです。

そのアプローチで今回は正解でした。
部長からは、
「鈴木君、なかなか良いところに気づいたな。実は以前は、業務運営マニュアルと環境マニュアルは別立てになっていたんだよ。しかしながら、ただでさえなかなかマニュアル、というものは皆が面倒がって開かない、再確認をしない文書になってしまっている中で、まだ業務運営マニュアルは必要に迫られ、実際の仕事や教育上活用されているケースがほとんどの部署で確認できていたんだ。しかしながら環境マニュアルの方は殆どの部署で埃をかぶってしまう状態に陥る、という状況に至り、部長会議での議論検討の結果、両者を合体させよう、ということになり今に至っているのだよ」
という話をまず聞かされることになったのです。
それを聞いて思ったことは、
「なるほど、昔は自分と同じように皆も考えていたわけだ。その方がISO対応の内部監査をするうえでは簡便に対応できそうだもんな」
ということです。
ですがなぜ、それをわざわざ、さらに分厚くなってしまうのに、業務運営基本マニュアルとして両者を合体させたのだろう、という新たな疑問については、それ以上深掘りをするのは止めておきました。その質問をしたらまた部長からいろいろな宿題を出されそうな予感がしたからです。
それよりも、もともと考えていた次の質問に移りました。
「部長、過去の経緯はよく解りました。そこで次の質問をお願いしたいのですが、この分厚い業務運営基本マニュアルに基づいて内部監査をするとなると、どこについての監査を受けることになるのか、私なんかではピントを合わせることができません。まさかこの業務運営基本マニュアルの端から端まで監査する、ということではないですよね」
「たしかにその心配もわかる」
と部長の返答、今日はやけに静かです。そして部長の返答が続きます。
「鈴木君、我々が内部監査を受ける場合はあまり気にする必要はないのだが、内部監査を行う監査員側の人々は、このマニュアルだけではなく、手元にチェックリストというものを持っているんだ。このチェックリストとはどのようなものかというと、これらの質問をしていけば、内部監査における最低限必要なことを漏らさず、網羅することができるようになる、あんちょこのようなものなんだ」
「へえ~。そんな便利なものがあるのですか」
「もちろん便利とは言っても、事前に用意されているチェックリストは標準チェックリストと言って、基本的事項は網羅されているわけだか、あくまでひな形として活用されるものなので、その都度、その都度、アップデートが必要になることは忘れてはいけないんだ。要は、チューニング度合いは荒い状態の仕上げ方なので、内部監査員がその都度、ファインチューニングをする、つまり仕上げをしてこそ、本来あるべきチェックリストの姿になるんだな。話が込み入ってきたので、出発点に戻すがいいかな」
「はい、お願いします」 

「標準チェックリストは内部監査員になってまだ日の浅い、経験値の乏しい内部監査員にとってはとても重宝するものとして作成されているのだが、この標準チェックリストが実は業務運営基本マニュアルから、主に環境関連の部分を抜き出して作られているものなんだよ。だからマニュアルに書いてあってもISOの環境内部監査の際にはそれは割愛してよいだろう、という部分がすでに決められている状況になっている、というわけさ。これを作るときには私も多少は手伝ったがなかなか苦労したんだよ。まあそのおかげで、ISOに関すること、環境内部監査に関することはだいぶ理解できるようになったのだがね」
「なるほど、だいぶわかってきました。効率的に内部監査をするためにも、余分なところはバッサバッサ、カットしている、ということですね」
「うん、まあ、その『バッサバッサ』という表現は気になるのだが、場合によっては、だいぶそぎ落としている、という見方もできるかもしれないな。いやだが、必要なところは業務運営基本マニュアルの内容がすべて網羅されている部分もあるから、やはり『バッサバッサ』というのは違うな」
「はい、わかりました、あんまりそんな細かいところにこだわらないでください。取捨選択の上、適宜削られている、ということだと思っていますので。それよりほっとしたのは内部監査では、この前お客様から頂いたクレームについてまた蒸し返されるのかと思ってとても憂鬱な気持ちになりかかっていたのですが、そのクレームは環境問題とは程遠い話なので、気にしなくてよい、ということですよね」
「まあ一応そう考えて問題はないだろう。だがどのクレームのことを恐れて君が取り上げているのか今すぐピンと来ていないけれど、環境問題に絡むクレームもあることはあるんだから、その場合は色々聞かれることになる、という点は勘違いはしないでくれよ」
「はい、わかりました」

ここまで教えてもらうと、私も少しはISOの内部監査についても理解できるようになってきた気がします。その業務運営基本マニュアルについてもその内容について別な日に部長とやり取りする中で、
「これで君もようやくわが社の業務運営の基本、そしてその全容が見えてきたようだね」と言ってもらうことができましたのでホット一息です。
これでようやく内部監査を受けることができるのかな、と思えるようになってきた自分がいることを感じています。部長に感謝しないといけないですかね。
とはいえ、部長から繰り出される矢が尽きたわけでは全くありません。本当にあの人は部下を教育しようとしているのか、ただ単にいじり倒そうとしているのかよく解らないので、こちらも付き合っていく苦労を人一倍味合わないといけないので困っています。
とは言えこちらも知識がない部分なので、何とか耐え忍んで、部長から学ばねばなりません。何とか乗り切りたいと思います。

次回はこのマニュアル、そしてチェックリストの話を意識しながら、あくまで被監査側からの見方ということで、内部監査を受けるにあたっての心構えや準備の基本というレクチャーを受けたお話をしてみたいと思っています。

今回もお読みいただき、ありがとうございます。