内部監査はJIS Q 19011に沿って行うことが推奨されています。「平林良人の部屋」に掲載されている「内部監査とマネジメントレビューに関する質問100選」に加え、内部監査でのポイントをJIS Q 19011:2019に沿って分かりやすく解説します。

C:監査の実施
 ここでは内部監査の実施段階の質問を扱います。
【質問27】
初回会議について教えてください。
【回答27】
内部監査のスタートに当たって、最初に監査側と被監査側が打ち合わせをする会議を初回会議と言います。初回会議と言うと堅苦しく感じますが、この名称はISO第三者認証審査から来ています。
ご存じの方が多いと思いますが、ISO19011:2018には、初回会議のガイドがあります。箇条6.4.3「初回会議の実施」に、a)~c)に基本的なことが指針として示されています。その下にはスラッシュ(-)記号に15項目もの留意点が書かれています。
この回答の一番下に参考にお示ししますが、会社の中で行う内部監査の指針としては少し細かすぎる、あるいは大げさに感じます。
しかし、子会社、あるいは関係する取引先を監査する、大きな会社で事業部ごと異なる会社の如く日常業務が行われているような場合はある程度の「公式性」が求められますので、参考にすると良いと思います。

 中小企業が会社の中だけで行う内部監査は、監査側と被監査側がお互いをよく知っているので、次の3項目を確認する事で初回会議は終了するということでOKだと思います。
ISO19011の中にも「小規模な組織での内部監査では,初回会議は,単に監査がこれから行われることを伝え,その監査の性質を説明するだけでもよい。」とガイドされています。
 (1)監査員の自己紹介
 (2)監査計画の確認
 (3)今回監査の重点
なお、内部監査における留意事項としては次のようなことがポイントです。
 ・内部監査は個人の仕事のミスを探すものではない。
 ・会社の業績を上げるためにより効率が高く、効果の上がる方法を会社として見つけることが重要である。
 ・内部監査は業務の継続的な改善のために行うものである。

< JIS Q 19011:2019の該当する部分> (下線部は筆者追加)
6.4.3 初回会議の実施
初回会議の目的は,次の事項を行うことである。
a) 監査計画に対して,全ての参加者(例えば,被監査者,監査チーム)の合意を確認する。
b) 監査チーム及びその役割を紹介する。
c) 全ての計画した監査活動を行い得ることを確実にする。

初回会議は,被監査者の管理層,及び適切な場合には,監査の対象となる機能又はプロセスの責任者が,参加して開催することが望ましい。会議中,質問をする機会を与えることが望ましい。
詳細さの程度は,被監査者の監査プロセスへの精通度に合致したものであることが望ましい。多くの場合には,例えば,小規模な組織での内部監査では,初回会議は,単に監査がこれから行われることを伝え,その監査の性質を説明するだけでもよい。
それ以外の監査の場合では,初回会議は正式なものとしてよい。その場合には,出席者の記録を保持することが望ましい。初回会議では,監査チームリーダーが議長を務めることが望ましい。
次の事項の紹介を適宜考慮することが望ましい。
- オブザーバ及び案内役,通訳者を含むその他の参加者,並びにそれぞれの役割の概要
- 組織に対するリスクをマネジメントする監査方法。このリスクは,監査チームメンバーの存在に起因するかもしれない。

次の事項の確認を適宜考慮することが望ましい。
- 監査の目的,範囲及び基準
- 監査計画及び他の関連する被監査者との取決め,並びに必要な変更。取決めとは,例えば,監査チームと被監査者の管理層との間の,最終会議及び中間会議の日時。
- 監査チームと被監査者との間の正式なコミュニケーションチャネル
- 監査に使用する言語
- 監査中は,監査の進捗状況を被監査者に常に知らせること
- 監査チームが必要とする資源及び施設が利用可能であること
- 機密保持及び情報セキュリティに関係する事項
- 監査チームに対する,関連するアクセス,安全衛生,セキュリティ,緊急時及びその他の取決め
- 監査の実施に影響し得る現地(サイト)での活動

次の事項に関する情報の提示を適宜考慮することが望ましい。
- 存在する場合,格付基準を含む,監査所見の報告の方法
- 監査を打ち切ってよい条件
- 監査中に出てくる可能性のある所見の取扱い方
- 苦情又は異議申立てを含む監査所見又は監査結論についての,被監査者からのフィードバックのためのシステム
(次号へつづく)

ISO関連用語解説「19011とは」はこちらから