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内部監査はJIS Q 19011に沿って行うことが推奨されています。「平林良人の部屋」に掲載されている「内部監査とマネジメントレビューに関する質問100選」に加え、内部監査でのポイントをJIS Q 19011:2019に沿って分かりやすく解説します。
C:監査の実施
ここでは内部監査の実施段階の質問を扱います。
【質問28】
監査の方法についてですが、インタビュー(質問)について教えてください。
【回答28】
内部監査ではプロセス(一連の活動)で何が起きているかを客観的に知ることが何より重要です。
業務が手順書通りスムーズに行われているか、どこかに問題を抱えていないか、トラブルに見舞われていないかなどの事実を把握するためにはいろいろな方法があります。代表的な方法として次の3種類があります。
1)行っている所を観察する(文書を見る)。
2) 担当者に聞く(インタビューする、質問する)。
3) 記録を見る。
客観的な事実把握手段の2番目がこの質問28になりますが、ここではインタビューという言葉を使っています。インタビューは海外からきたISOマネジメントシステム審査で使われている言葉です。日本語で「インタビュー」というとマスコミとか、ある権威が質問するイメージが強いのですが、実際は単なる「質問」と考えればよいと思います。
質問をするときの心構えは次の通りです。
1) 質問はできるだけ具体的に聞きます。
被監査者が理解できるように実際の仕事に関係したことを聞きます。
TQM(Total Quality Control)には、「3現主義」という用語がありますが、現実、現物、現場のことを意味します。
質問するときには、この3つの「現」を質問の中に含めると被監査者は理解しやすくなると思います。
2) 一度に2つの質問は避けなければなりません。
一度の質問に2つ以上の内容を含める監査員がいますが、これは答える人を惑わせることになるので避けるようにします。
何を聞きたいかを明確にしておかないと、つい幾つかの内容を質問に含めてしまいますので、事前に質問票を作成して
おくと良いと思います。
3) 答えやすい雰囲気をつくる。
被監査者は質問されることに慣れていません。もし監査員が自分より上位の人(年齢、経験、地位など)であると、
緊張のあまり沈黙する時間が長くなるかもしれません。また、質問したことに答えないかもしれません。そんな時に、
声を荒げたり、きつく対応することは決してあってはならないことです。
< JIS Q 19011:2019の該当する部分>
A.17 インタビューの実施
インタビューは情報を収集するための重要な手段であり,対面又はその他のコミュニケーション手段を通じて,その場の状況及びインタビュー対象者に合わせた形で行うことが望ましい。ただし,監査員は,次の事項を考慮することが望ましい。
a) インタビューは,監査範囲内で,活動又は業務を遂行している適切な階層及び機能の人々に対して行うことが望ましい。
b) 通常,インタビューは,通常の就業時間中に,実行可能であれば,インタビュー対象者の通常の就業場所で行うことが望ましい。
c) インタビューを始める前及びインタビュー中に,インタビュー対象者の緊張を解くことを試みることが望ましい。
d) インタビューを行う理由,及びメモをとるのであればその理由を説明することが望ましい。
e) インタビュー対象者の業務について説明を求めることによってインタビューを始めてよい。
f) 質問の種類を注意して選択することが望ましい[例えば,自由質問,選択質問,誘導質問,価値を認める質問(appreciative inquiry)]。
g) 仮想設定における限られた非言語コミュニケーションを認識する。その代わりに,客観的証拠を見出すために用いる質問の種類に焦点を当てることが望ましい。
h) インタビューの結果をまとめて,その内容をインタビュー対象者とレビューすることが望ましい。
i) インタビューへの参加及び協力に対して,インタビュー対象者に謝意を表することが望ましい。
(次号へつづく)
ISO関連用語解説「19011とは」はこちらから