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内部監査はJIS Q 19011に沿って行うことが推奨されています。「平林良人の部屋」に掲載されている「内部監査とマネジメントレビューに関する質問100選」に加え、内部監査でのポイントをJIS Q 19011:2019に沿って分かりやすく解説します。
C:監査の実施
ここでは内部監査の実施段階の質問を扱います。
【質問33】
監査において記録の位置づけは重要だと思いますが、何年前まで遡って確認すべきでしょうか。
【回答33】
記録は組織の暦年の出来事を客観的に示すものの一つであり、その積み重ねが組織に固有な歴史を示すことになります。組織ごとに何を何年保管すべきかを決めておく必要がありますが、法律で保管期間を決めている記録が多くあります。
どこまでを監査対象にするのか(遡るのか)は、原則的には保管期間の総ての記録ということになります。保管されている記録は膨大なものになりますから、それら総てを内部監査で確認することは不可能です。したがって、サンプリングによって確認することになりますが、重要なことは「監査員がサンプリングをする」ということです「被監査者が持ってきたものを確認する」ことは、恣意的な対象選択になりますので避けるべきです。
記録の定義は、ISO9000:2015に「達成した結果を記述した、又は実施した活動の証拠を提供する文書」とあります。
法律で保管期間の定められた記録には次のようなものがあります(総てを網羅していない)。
・契約に関する文書(永年効力のもの) 永年
・重要刊行物(社報・社内報など) 永年
・重要設計図書(製品開発、製品設計に関するもの) 永年
・重要人事に関する文書 永年
・株主総会議事録 10年
・取締役会議事録 10年
・満期又は解約となった契約書 10年
・製品の製造、加工、出荷、販売の記録 10年
・労働安全衛生記録(特管物作業記録など) 30年(期間短縮条件あり)
・各種財務経理資料 7年
・労安関係(各種測定記録) 7年
・事業報告書 5年
・有価証券報告書 5年
・産業廃棄物管理票(マニフェスト) 5年
・従業員誓約書など 5年
・健康診断個人票 5年
・各種測定記録(放射性物質濃度など) 5年
・監査報告書 5年
・労働者名簿 3年
・賃金台帳 3年
・各種委員会議事録 3年
・日誌 1~2年
・雇用保険に関する書類 1~2年
・健康保険に関する保険 1~2年
組織が保管期間を定めた記録の例
・証明書発行記録 10年
・クレーム表 10年
・是正処置表 10年
・内部監査記録 10年
・マネジメントレビュー記録 10年
・履歴書 10年
・教育訓練計画兼記録 7年
・契約書 7年
・能力評価書 7年
・リスク分析書 7年
・影響評価表 7年
・継続観察表 7年
・部門別品質目標 5年
・実行計画書 5年
・名簿 5年
・外注業者表 5年
・外注評価書 5年
・チェックリスト 3年
・準備表 3年
・点検票 3年
・発行記録 3年
・往復文書 3年
・広報文書 3年
・申込書 1~2年
・注文書 1~2年
・検査書 1~2年
上記記録はあくまでも例です。内部監査は、法律に基づいて又組織自身の決定に基づいて記録が保管されていることをチェックすることがまず大切です。
< JIS Q 19011:2019の該当する部分> (下線は筆者が追加)
附属書A(参考)監査を計画及び実施する監査員に対する追加の手引
A.1 監査方法の適用
図 1-監査プログラムの管理フロー
(次号へつづく)
ISO関連用語解説「19011とは」はこちらから