内部監査はJIS Q 19011に沿って行うことが推奨されています。「平林良人の部屋」に掲載されている「内部監査とマネジメントレビューに関する質問100選」に加え、内部監査でのポイントをJIS Q 19011:2019に沿って分かりやすく解説します。

D:監査のチェック
 ここでは内部監査のチェック段階の質問を扱います。
【質問44
監査チームのリーダーの力量評価について教えてください。
【回答44
内部監査リーダーの力量評価も質問43で扱った監査員力量評価と同じように、監査リーダーの力量評価項目を評価基準として採用し、組織内で評価します。
評価する人は原則内部監査責任者になりますが、一緒に監査した監査員からも評価してもらうと良いと思います。

評価基準は、次の①、②のようなものになりますが、組織は自分たちに合った固有な評価基準を作り、数年は同じものを使用して継時的な分析ができるようにすることをお勧めします。
①監査実施の専門性
 a) 監査計画を作成する力
 b) 監査チームメンバーに監査業務を割り当てる力
 c) 被監査者のトップマネジメントと意見交換する力
 d) 監査チームメンバーと協力的な関係を構築する力
 e) 監査を推進する力
 f) 監査プログラムを管理する力
 g) 監査結論を導き出す力
 h) 監査報告書を作成する力

②統率力、マネジメント力
 a)統率力
  -発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
  -傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
  -柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
  -状況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
  -規律性:社会のルールや人との約束を守る力
  -ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
 b)マネジメント力
  -計画力:目標達成に向けたプロセスを明らかにし組み立て表現する力
  -主体性:物事に進んで取り組む力
  -働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
  -実行力:目標達成に向けて確実に行動する力
  -課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力

 < JIS Q 19011:2019の該当する部分> 
7.2.3.4 監査チームリーダーの共通的な力量
監査の効率的及び有効な実施を容易にするために,監査チームリーダーは,次の事項を行う力量を備えていることが望ましい。
a) 監査を計画し,個々の監査チームメンバーの固有の力量に応じて監査業務を割り当てる。
b) 被監査者のトップマネジメントと戦略的課題について意見交換する。これは,被監査者が組織として,そのリスク及び機会を評価
 する際にこれらの課題を考慮したかどうかを決定するためである。
c) 監査チームメンバー間に協力的な業務関係を構築し,維持する。
d) 次の事項を含む監査プロセスをマネジメントする。
 - 監査中に資源を有効に利用する。
 - 監査目的を達成することの不確かさをマネジメントする。
 - 監査中の監査チームメンバーの安全衛生を保護する。これには,監査員が関連する安全衛生及びセキュリティに関する取決めの
  順守を確実にすることを含む。
 - 監査チームメンバーを指揮する。
 - 訓練中の監査員を指揮及び指導する。
 - 必要な場合,監査チーム内のものを含めて,監査中に発生し得る利害抵触及び 問題を防ぎ,解決する。
e) 監査プログラムをマネジメントする人,監査依頼者及び被監査者とのコミュニケーションでは監査チームを代表する。
f) 監査チームを導いて,監査結論に達する。
g) 監査報告書を作成し,完成する。

(つづく)

ISO関連用語解説「19011とは」はこちらから