内部監査はJIS Q 19011に沿って行うことが推奨されています。「平林良人の部屋」に掲載されている「内部監査とマネジメントレビューに関する質問100選」に加え、内部監査でのポイントをJIS Q 19011:2019に沿って分かりやすく解説します。

E:監査における処置
ここでは内部監査の処置段階の質問を扱います。
【質問49】
改善についてはISO9001の箇条10にその手順が載っていますが教えてください。
【回答49】

次に原因の明確化について説明します。
ISO9001箇条10は附属書SL箇条10と同じですので、他のマネジメントシステムとも共有できるように、下記の附属書SL「10.1. 不適合及び是正処置」(質問48で示したものと同じ)を使って説明します。

今回説明したい原因の明確化は、b)に要求されています。
 a) その不適合に対処し,該当する場合には,必ず,次の事項を行う。
  - その不適合を管理し,修正するための処置をとる。
  - その不適合によって起こった結果に対処する。
 b) その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため,
  次の事項によって,その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する。
  - その不適合をレビューする。
  - その不適合の原因を明確にする。
  -類似の不適合の有無,又はそれが発生する可能性を明確にする。
 c) 必要な処置を実施する。
 d) とった全ての是正処置の有効性をレビューする。
 e) 必要な場合には,XXX マネジメントシステムの変更を行う。
  是正処置は,検出された不適合のもつ影響に応じたものでなければならない。

質問48で、例として火事を出して説明しましたが、今回もなぜ火事が起こったのかについて考えてみたいと思います。
b)の2つ目のハイフン(- その不適合の原因を明確にする)は、なぜ火が付いたのか、火事となった原因を調べる活動であり、ここからが改善活動であると考えます。b)の3つ目のハイフン(-類似の不適合の有無,又はそれが発生する可能性を明確にする)は、考えている原因は、他の類似の不適合事象にも効果的に働くかを吟味する目的で規定されています。
このような検討、吟味、考察をした後、c)において決定した処置を実施し、d)において取った処置の有効性をレビューします。

以上がISO9001箇条10(附属書SL箇条10)における改善の一連の手順です。
この一連の手順でポイントとなるところは、質問45でも述べたようにb)における原因の明確化になります。

< JIS Q 19011:2019の該当する部分> 下線は筆者が追加した
6.7 監査のフォローアップの実施
監査の成果には,監査目的によって,修正若しくは是正処置の必要性,又は改善の機会を示すことができる。このような処置は,通常,合意した期間内に被監査者が決めて行う。適切な場合には,被監査者は,これらの処置の状況を,監査プログラムをマネジメントする人及び/又は監査チームに知らせておくことが望ましい。
これらの処置の完了及び有効性は,検証することが望ましい。この検証は,その後の監査の一部としてよい。成果は,監査プログラムをマネジメントする人に報告し,マネジメントレビューのために監査依頼者へ報告することが望ましい。
(つづく)

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