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第13回
「私とマネジメントシステムそしてISO」の第13回目は「QCサークル活動その2」です。第5回に述べたTQC特徴6項目について
話が進んでいます。
TQC特徴6項目とは、第5回目でお話しした次の6項目です
5.1 全員参加の品質管理
5.2 品質管理の教育・訓練
5.3 QCサークル活動
5.4 QC診断
5.5 統計的方法の活用
5.6 国家的品質管理推進活動
今回は5.3「QCサークル活動その2から始めることになります。
(2) QCサークル発表大会
その時代、日本の企業は、日科技連等に所属のコンサルタントの方々の指導でQCサ-クル活動、創意工夫改善活動等の自主活動を活発に行っていました。QCサ-クル活動は自分たちの成果を外部発表するという形で発展していきました。社内で選抜されたQCサ-クルは、まず諏訪/松本地区の大会へ出ます。そこで選抜されると長野県、次は関東地区、そして全国大会へとそれぞれの規模の大会に順次参加し、その優秀さを競い合う仕組みが作られていました。信州精器村井事業所、広丘事業所も、QCサ-クルは活発に活動しており、共に松本地区の代表幹事会社となり、地区の活動の活発化、啓蒙に力を注いでいました。活動テーマは、自分達の身の廻りの小さな物から、徐々に力が付くにつれ、範囲、解決困難さ、効果の大きさなどが広がり、拡大していきました。一つのサ-クルから、二つ以上の連合サ-クルにも発展していくケースもありました。村井事業所からは関東大会へ出場し、優秀賞を獲得するという目を見張るサークルも出てきました。
日本で生まれたQCサ-クル活動が、世界的に認知されたのは、1973年の第一次オイルショック以降で、日本の製品の優秀さが認識される様になってからでしょう。そのベースにQCサークル活動があると知り、競って各国でQCサークル活動が導入され始め、拡大の一途を辿ったものです。私共Epsonに於いても例外で無く、幾つかの海外製造現法(EPI・EPH・ETL他)に波及させ、Epson世界QCサ-クル大会が開催されるまでになっております。これは会社の海外事業所への活発化の方針であり、最初はアメリカEPI (Epson Portland Inc) に強く活動を働き掛け、徐々に世界に拡大させていきました。後年私もETLにおいて一つの経営ツールとして、Seiko Epson本社大会を目指す展開をイギリスの中で行っていきました。その結果、QCサークルは当時世界大会にまでも拡大し、ETLからも日本の大会に参加するチームが現れることになります。
(3) QCサークル活動の展開
1962年4月に「現場とQC」誌が刊行されました。これは、品質管理の有用性を理解して実践する部課長や専門スタッフをその読者としていましたが、現場第一線に於いても「職場検討会」や「職場懇談会」で読まれていました。当時、管理図の活用など、統計的品質管理を中心とした「品質管理」がありましたが、現場第一線で働く者にとって、「易しく、気安く読め、勉強になり、他の情報も得られる」雑誌が欲しいとの要求に応えたものでした。その創刊「現場とQC」誌に、石川馨先生(当時、、東京大学教授)が、「この雑誌を中心にして、読者QCサークルを作って頂いて、現場に地に着いたQC活動が行える様に・・」
と呼び掛けがありました。
この呼び掛けが、「QCサークル活動」の誕生の「きっかけTriger」とされています。この「現場とQC」誌の基本方針には、次の3つが挙げられています。
① 現場第一線監督者の管理・改善能力向上の為の手法の教育・訓練・普及に役立つ内容とする。
② 多くの職・組長、作業者の方々に読んでいただくため、個人で買えるように、安い価格とする。
③ 職・組長をリーダーとし、作業者の方々を含めたグループを自主的に作り、これをQCサークルと呼び、雑誌を中心として勉強して
いただくとともに、これを活用して現場の問題を自発的に解決していただく。
この③項こそが、「QCサークル活動」誕生の元になったものだと思います(因みに委員長は石川馨先生でした)。QCサークルの普及・推進は、日科技連のQCサークル本部が担っていましたが、全国への普及とQCサークル大会発表希望増加に対応して、1964年9月に関東、東海、近畿、北陸の4地域にQCサークル支部が設置されましたが、その後発展を続け次の通りに編成されました。
QCサ-クル本部(日科技連)―北海道支部、東北支部、関東支部、東海支部、近畿支部、中国・四国支部、九州支部、沖縄支部――各県単位地区――各ブロック。
そして夫々に、顧問、本部長(支部長、地区長)、幹事長、幹事、事務局を置き、その地域に密着した大会等の行事が開催されていきました。この組織は、現在(2019年3月時点)も引き継がれています。
以上