番外編

私のISO国際会議への参加体験談をお話ししています。2002年3月ロンドンWG会議から私のISO国際会議活動は始まりました。続いて2002年10月:アカプルコ(メキシコ)会議、そして2003年10月ブカレスト(ルーマニア)会議、2004年12月:クアラルンプール(マレーシア)会議へと国際会議への参加が続きました。

前回からクアルンプール会議の様子をお話しし始めましたが、ここで番外編を発信したいと思います。というのも、今回のISO国際会議への体験談を整理していましたら、いろいろな当時の資料が出てきました。
ここにお届けするものは、第33回でお話しした「品質計画書」に関するものです。第33回では英文でお伝えしたのですが、日本語の検討資料が出てきました。
せっかくですので、当時の「品質計画書」日本語原案を下記に掲載させていただきます。
まず、2002年3月のロンドンWG会議の様子【ロンドン Meeting Report】、それを受けて日本案の原案【日本原案】、そして2002年アカプルコ会議の後の国内エキスパートへのお願い文書【エキスパートへのお願い文書】と続きます。

【ロンドン Meeting Report】

2002/03/09
平林良人

1.会議名
 ISO/TC176/SC2 TG
 Quality Management System―Guidelines for Quality Plans:ISO10005:2003
2.年月日
 2002年3月4日~8日
3.場所
 London BSI会議室
4.Meeting内容
 ●3月4日

  • 1)出席者 6人
    Anhony Morgan(UK):convener
    Dominic Sichali(South Africa)
    Hans Jorn Reuss(Denmark)
    Colin Baker(UK)
    Yoshito Hirabayshi(Japan)
    Charles Corrie(UK)
  • 2)規格のScopeをQuality Planにするか 又はQuality Planningにするかで議論。
    SC2では、95年版のQuality Planのscopeを変えずに、内容を改定することになっている。今回のTGのreport(recommendation含む)及びWD1はアカプルコplenary(総会)にかけることにしたい。
  • 3)Quality Planを2つの種類に分けて考えることを議論し、その方向で検討することになった。
    ①organisational level ②project level

 ●3月5日
   6章(project level)から検討を始める。終日ISO9001:2000をベースに1clauseごとにguideを作成していく。

 ●3月6日

  • 1)5章(organisational level)の検討を始めるも、“内容が多岐に渡りすぎるので別の規格にした方がよい”とのconvenerの意見(あらゆる個所でquality planningの話になるので辟易しはじめた?)で5章(organisational level)の議論は中断。初日の2つのQuality Planの議論はどこへいったのか ⇒ introductionに入れる?最初からconvenerはそのつもりだった?
  • 2)no specific guide ⇒ できるだけto be addressed に変更して、ガイドの内容を豊かにする旨Charlesから指示あり。
  • 3)2000年11月実施のsystematic review(ISO/Tc176/SC2/N538)の内容を一つづつ確認していく。
     ISO/TR10013 Guidelines for quality management system documentationの内容を確認する。Quality planについては6行しか書かれておらず不十分であるとの結論。
  • 4)organisational levelのquality planは日本から別提案することになり、その旨を作成中のreport のrecommendationの中に入れることに決定。
  • 5)平林からISO10005のタイトルから“Quality Management System”を削除する提案をしたが、大勢は否定的。ただし、Charlesは今後検討する価値ありと発言。
     specific project、product、process or contractだけを扱う規格に“Quality Management System”のタイトルはふさわしくない、というのが発言の趣旨。
  • 6)SC2へのreport(recommendationを含む)ドラフト作成を開始する。

●3月7日

  • 1)継続してQuality Management System―Guidelines for Quality Plans:ISO10005:2003ドラフトを作成し、ほぼ完成する。
  • 2)一貫して主張しつづけたquality planningについては報告書のrecommendation4にあるように日本が何らかのguidelineドラフトを作成してSC2へ提案するのがよいとなった。
  • 3)今回のTGは、以降はE-mailで連絡を取り合うことになった。

(国内協議事項、以下平林の質問に答える形でCharles が回答)

① Q:日本が提案すると、どんな規格が可能性あるのか?
  A:Quality management System―guidelines for Quality Planningというタイトルにすることにして次の候補がある。(どんなタイトルがふさわしいかは要検討)
 ―Introduction & Support Package document(一番早い)
 ―ISO/TS(1,2年?)
 ―Standard(数年かかる)
② Q:原案作成の時期はいつ頃が適切か?
  A:どんな規格を提案するかも含めて、時期も日本に一任。もし、―Introduction & Support Package documentでいこうとするならば、今回のISO 10005 WD1に合わせてできるだけ早い時期が望ましい、2002年4月末~5月か?
③ Q:どんなフォーマットでどんな提案ルートか?
  A:―Introduction & Support Package documentは決められたフォーマットはない。
 ―ISO/TS、―StandardはDirectivesに決まっている。
 提案ルートは―Introduction & Support Package documentとするならば:
 日本 → POTG → WG18 → SC2member → WG18 TG(3ヶ月投票) →10月メキシコ のようなルートになるであろう。
 フォーマット、ルートについては、JSA(日本規格協会)が詳細を知っているであろう。

添付資料

  1. ISO/TC176/SC2/TG―Review of ISO10005 Agenda
  2. ISO/TC176/SC2/TG―Review of ISO10005 Objectives
  3. ISO/TC176/SC2/TG―Review of ISO10005 Nominations of TG members
  4. Document:ISO/TC176/SC2/N 538 Result of Systematic Review of ISO10005:1995
  5. New Zealand Submission to TC176/SC2 Review of ISO10005
  6. From:South African Bureau of Standards
  7. For the first discussion of the Scope & contents of ISO10005
  8. フロッピー:Report March 2002.doc
  9. フロッピー:ISO 10005 WD1.doc

以上
(つづく)