第40回

クアルンプールでISO9001の追補の検討がされていることと並行して、ISO中央事務局ではISOマネジメントシステム規格の共通テキスト化の検討を始めました。これがのちに附属書SLという共通テキスト化に結び付く(2012年)ことになるのですが、当時はまだそのような将来構想をきちんと描いてはいなかったと思います。ここでは、ISO 9001及びISO 14001の将来の改正が,共通テキスト及び専門用語…により、記述されるものが共通要素を有することを確実にすることを目指すjoint visionを掲載します。

ISO/TC176/SC2/N725
ISO/TC207/SC1/N480
JNC176/N591

Joint Vision案

ISO/TMBは2004年1月の会議において決議3/2004を採択した。当決議は,次のISO/TMBの依頼を含むものである。
「ISO/TC 176品質マネジメント及び品質保証,ISO/TC 207環境マネジメント並びにISO適合性評価委員会(CASCO)の各議長に対し,ISO 9001及びISO 14001の将来の改正が,共通テキスト及び専門用語…により記述される共通要素を有することを確実にするjoint vision作成のためのグループの設置する」

Joint Visionの作成任務は,その後,ISO/TC 176-ISO/TC 207JCG(Joint Co-ordination Group)の会議に従ってJTGへ委任された。又,JCGも下記の任務が拡大された:

– ISO 9001及びISO 14001の整合性ある改訂(aligned revisions)のためのJoint Visionを作成する

– ISO 9001及びISO 14001の改正作業を2008年に開始(ISO 9001の現在の追補作成が完了次第)し,並行して実施できるように,Joint Vision実現に向けた実施計画を作成する

作業範囲の拡大は,後にISO/TMB/SIGにより支持され,決議36/2004を通して確認された。

又,決議3/2004は,次を依頼した。

ISO/TC 176-ISO/TC 207JCGに対し,「ISO 9001品質マネジメントシステム,要求事項及びISO 14001環境マネジメントシステム-使用及び利用の手引き,…との間の両立性の改善を行うために取られた手順を,ユーザーに説明するコミュニケーションプログラムを確立する」

この課題は,同様にJCGからJTGへ委任された。

添付資料はメンバー機関による検討のためのJoint Vision案である。加えて,Joint Visionに続き,この文書に対する回答についてメンバー機関を導く若干の質問が準備されている。

実施計画及びコミュニケーションプログラムは,この時点でJTGによる作成が進められ,上記に関する最初の段階での協議の結果に基づき回付される。

ISO 9001及びISO 14001両方に対するこれら改正提案の基本的性質が受け入れられれば,我々は極力広範な協議に取り組むに際し,メンバー機関の助力を求めることになろう。

回答書は2005年9月1日前にご提出下さい。

ISO 9001及びISO 14001の整合性ある改訂(aligned revision)に関するJoint Vision案

1) Joint Vision Statement

ISO 9001及びISO 14001のこれから実施する改正は,次の事項の一致の促進を通じて整合(align)し,2つの規格間の両立性の現行水準についての一層の向上を求めるものである:

– タイトル
– タイトルの順序
– テキスト及び定義

両規格間の相違は,環境又は品質の管理において特別な相違が必要とされる部分についてのみ認められる。

2) 上位構造の概要

提案された2つの規格に関する上位構造は下記の通りである。現段階で予想される内容の如何なる記述も意図的に含めない;さらなる詳細については,アプローチの容認可能性に関するISO/TC 176/SC 2及びISO/TC 207/SC 1との最初の段階での協議が行なわれた後に加えられるであろう。

組織の状況
利害関係者(顧客及びステークホルダーを含む)のニーズ及び期待についての配慮

リーダーシップ
経営層によるコミットメント及び行動

支援
組織の機能発揮を可能にする資源及びその他の必要事項

運営
組織に目的を達成させる活動/プロセス

パフォーマンス評価
測定及びデータ収集,分析並びに利用

改善
組織のパフォーマンスを向上させる行動

(つづく)