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平林良人「ISO 9001 有効活用のためのビジネス改善ツール」(2005年)アーカイブ 第20回
プロセス分類枠組み(PCF)
活用方法
プロセス分類枠組みは普遍的なツールです。プロセスマネジメントを最初に実施する者には、特に有用なものです。
要素 | コメント | ||||
ISO 9001との関連 | MR | RM | PR | M&A | Imp |
✓ | |||||
活用範囲 | あらゆるタイプの組織 製造とサービスの両方 機能、部門又は組織 |
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システムにおける変化の度合い | 適用なし | ||||
人々に関する変化の度合い | 適用なし | ||||
利益レベル | 中 | ||||
参加レベル | 推進母体として | ||||
成熟レベル | 初心者 | ||||
時間尺度 | 3ヶ月以内 | ||||
投資レベル | 安い | ||||
実施方法 | プロジェクト |
背景
アメリカ生産性品質センター(APQC)は、生産性、品質、及び労働生活の質を改善するための非営利組織として、事業者、労働者、政府、及び学界によって共同で1977年に設立されました。その主な目的は、知識及び最良の慣行を組織に移転することによって、アメリカの生産性を改善することです。APQCは主として、ベンチマーキングの分野に焦点を当てます。
プロセス分類枠組みは、1991年にプロセス改善を容易にするために、APQCとアーサーアンダーセンによって開発されました。
原則
ベンチマーキングを実施する時、組織ごとに異なる分掌範囲と異なる部門名称のために、対象組織のプロセスに対する自分達のプロセスが特定できない、ということがよくあります。プロセス分類枠組みは、ベンチマーキング実施において対象領域を特定することができるように、単純な形式をもつ「翻訳」の役割りとして開発されました。
組織活動を多くの共通なプロセスに分解すると、「ほとんど同じである」領域になり、それらを比較することで、どこのプロセスが特に違うのかをみることが簡単になります。
アプローチ
このアプローチの主な目的は次の通りです。
- 部門別の視点からではなく、プロセスの視点から組織活動を見ることを奨励する。
- 組織を向上させるために異種業界のプロセスを採用する、というような「岡目八目」的発想を奨励する。
- 組織のプロセスをより理解するための支援をする。
- 組織が産業界を超えて情報交換をし、情報を共有するための支援をする。
- 様々な形式に情報を分類する。
この枠組みは13のトップレベルのプロセスを網羅し、かつ次のように2つに分けられます。
- 7つの「運用」プロセス
- 6つの「マネジメントと支援」プロセス
それぞれのトップレベルのプロセスは、多くのサブプロセスに分解され、サブプロセスはまた多くのより低いレベルのプロセスに細分されます。トップレベルの「運用」プロセスは以下に図示されます。
トップレベルの「マネジメントと支援」プロセス
- 人材開発と人材管理
- 情報管理
- 財務管理と設備管理
- 環境マネジメントの実行
- 外部関係の管理
- 改善管理と変更管理(出所:APQC)
プロセス分類枠組みは、ベンチマーキング活動のために設計されたものですが、組織プロセスを特定することは、他の目的のためにも優れた支援になります。これらは、継続的改善又はBPR活動の一部としてのプロセス分析を含み、部門を横断してのプロセス間接点を特定することを含みます。ISO 9001のシステムを構築するときには非常に貴重な支援になります。