平林良人「ISO 9001 有効活用のためのビジネス改善ツール」(2005年)アーカイブ 第21回

プロセスマネジメント

活用方法

要素 コメント
ISO 9001との関連 MR RM PR M&A Imp
活用範囲 あらゆるタイプの組織
製造とサービスの両方
機能
システムにおける変化の度合い 必用とされる変更の程度によって変わる
人々に関する変化の度合い 必用とされる変更の程度に依存して変わる
利益レベル 必用とされる変更の程度に依存して変わる
参加レベル 推進母体として
成熟レベル 初心者、経験者、及び世界クラスの者
時間尺度 プロセスマネジメントを十分理解し最初の利益を得るには12ヶ月以上かかるかもしれない
投資レベル 活用する改善手法に依る
実施方法 改革又はプロジェクト

背景

プロセスマネジメントは、すべての事業改善モデルの中心に位置します。それは組織のプロセスの選択、理解、改善及び継続的パフォーマンス監視を含みます。プロセスマネジメントはすべての組織に適用可能ですが、専門家のアドバイス及び支援なしで実施しようとすると困難な場合があります。

重要プロセスを管理することは、より高い利害関係者満足と低コストをもたらして、組織戦略目標の達成につながる、有効性と効率の双方を向上させることができます。

プロセスマネジメントは、一般的にさらに多くの内部利益を与えます。

  • 強化されたチームワーク
  • よりよい部門横断的コミュニケーション
  • より高い柔軟性
  • 高いスタッフ満足

原則

プロセスマネジメントにはいくつかの原則がありますが、これらはプロセス設計とプロセス運用の方法と関係します。すべてのプロセスは目的を持っており、インプットを受け取り、多くの活動を通じてそのインプットを、もっと価値のあるアウトプットに変えていきます。

  • プロセス目的:達成するために設計されたもの。
  • インプット:プロセスが変えるもの。それらは鉄棒のような物理的な物であるし、そうでない情報でもありえる。
  • アウトプット:同じように物理的な物であるし、サービスコストのような情報でもありえる。
  • 付加価値:情報又は物理的な業務が終わったとき、利害関係者の誰かにとってより価値あるものでなくてはならない。

プロセスの中で役割を果たす次のような他の要素があります。

  • コントロール:プロセスの運用における条件。それらは、労働安全衛生規則のような外部条件であったり、手順やパフォーマンス指標のような内部条件であったりする。
  • 資源:プロセスの運用中に変化しないインプット。人々、設備及び情報はすべて資源である。
  • プロセス能力:プロセスは何を達成できるかの指標。1枚の紙を手折りするプロセスを例にとる。1枚のA4紙は約8回以上折ることはできないし、作業を実行するには少なくとも5秒はかかる。

アプローチ

このアプローチは5つの段階に分けられます。

段階1:プロセスの選択

  • 焦点を当てる少数の事業重要プロセスを選んでください。組織の戦略的目的を考え、その達成に大きな影響力を持っているプロセスで、改善の必要性のあるものがよく選ばれます。

段階2:プロセスの理解

  • 選択されたプロセス(複数可)を定義してください。この定義にはプロセスの目的、範囲、インプット、アウトプット、コントロール及び資源を含みます。これらの要素は、ICOR命名法に含まれています。

段階3:プロセスの実行

  • プロセスのパフォーマンス見直しに備えて、従来のパフォーマンスデータを研究し収集してください。これには目標及びベンチマークのみならず、事実データと知覚データも含まれています。

段階4:プロセスの見直し

  • 改善すべき事項を優先的に明確にするために、目標及び外部比較対象に対して、プロセスの現状パフォーマンスを見直してください。到達目標は、計画されたパフォーマンスに対してパフォーマンス指標を与えますし、ベンチマークは潜在的なパフォーマンスに対してパフォーマンス指標を与えます。

段階5:プロセスの改善

  • プロセスを改善する最も適切な方法を選んでください。もしステップ変更が必要とされるならば、これは継続的改善アプローチ、あるいはリエンジニアリングアプローチでありえます。